いつも傍に(銀時)
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「詩織!?」
その音に今度は銀時が反応する。たった今までグダグダだったのが嘘のように機敏な動きで、詩織の元へと駆け寄った。
「心配すんな」
そう言って銀時が抱きしめた詩織の体は、ガタガタと震えている。銀時の腕の中で真っ青な顔をした詩織が見つめていたのは、何故か足音の聞こえていた玄関の方ではなく、ベランダだった。
「落ち着け。銀さんがこうして傍にいるから大丈夫だ」
「銀さんが……?」
まるで自分が抱きしめられていたことに今気付いたかのごとく、ゆっくりとベランダから銀時へと視線を移す。そして一瞬泣きそうな顔を見せると、唇を噛み締めて俯いた。
「ひょっとして……知ってた?」
「まァな」
「誰から聞いたの?」
「直接聞いたのはババアからだ」
そこまで言った銀時は、一旦玄関の外に意識を向ける。相変わらず足音は聞こえていたが、この部屋からは少し離れているようだ。
危険は無さそうだと判断した銀時は、「ここじゃ何だしな」と呟きヒョイと詩織を抱き上げる。「え!?」と驚きに目を丸くする詩織を抱いたままベッドに向かうと、そのまま腰を下ろした。
「ちょ、ちょっと銀さん……」
強引に銀時の膝の上に座らされ、動揺する詩織。だが銀時はそんな事などどこ吹く風といった風に話し始めた。
「数日前、逃走中の犯人がベランダからこの部屋に侵入した。お前を人質に立て籠もったが、ほどなくして真選組が捕縛。幸いお前は無傷のまま解放された。だよな?」
「うん……」
「だがそれ以来、ドアの鍵が閉められなくなっちまった。犯人がベランダから入ってきた時、気が動転してドアの鍵を開けられず、部屋から出られなかったから。そして廊下から複数の足音が聞こえると、事件当日の真選組の足音と重なって、またベランダから犯人が押し入ってくるんじゃないかと不安に駆られちまうようになった。……違うか?」
「……うん……」
まさに銀時の言った通りだった。事件以降、詩織は何かに付けてまた同じことが起きるのではないかと不安な日々を送っていたのだ。体に傷を負うことは無かったが、心の傷は深かった。
「ホントはよォ、銀さんの出る幕じゃねーとは思ってたんだがな。その場にいなかった俺が変に関われば、お前の傷を抉っちまうかもしんねーし。でも……」
「でも?」
「犯人の仲間がこの辺りに潜伏してるって話を聞いて放置できるほど薄情でもないんだわ」
「かと言って真選組を部屋に入れさせたかねーし」と呟く銀時の頬は赤い。
「銀さん……」
そんな銀時を詩織が先ほどとは違う驚きで見る。ただ涼みに来ただけだと思っていたのに、実は自分を心配しての来訪だったということが分かり胸が熱くなった。
その音に今度は銀時が反応する。たった今までグダグダだったのが嘘のように機敏な動きで、詩織の元へと駆け寄った。
「心配すんな」
そう言って銀時が抱きしめた詩織の体は、ガタガタと震えている。銀時の腕の中で真っ青な顔をした詩織が見つめていたのは、何故か足音の聞こえていた玄関の方ではなく、ベランダだった。
「落ち着け。銀さんがこうして傍にいるから大丈夫だ」
「銀さんが……?」
まるで自分が抱きしめられていたことに今気付いたかのごとく、ゆっくりとベランダから銀時へと視線を移す。そして一瞬泣きそうな顔を見せると、唇を噛み締めて俯いた。
「ひょっとして……知ってた?」
「まァな」
「誰から聞いたの?」
「直接聞いたのはババアからだ」
そこまで言った銀時は、一旦玄関の外に意識を向ける。相変わらず足音は聞こえていたが、この部屋からは少し離れているようだ。
危険は無さそうだと判断した銀時は、「ここじゃ何だしな」と呟きヒョイと詩織を抱き上げる。「え!?」と驚きに目を丸くする詩織を抱いたままベッドに向かうと、そのまま腰を下ろした。
「ちょ、ちょっと銀さん……」
強引に銀時の膝の上に座らされ、動揺する詩織。だが銀時はそんな事などどこ吹く風といった風に話し始めた。
「数日前、逃走中の犯人がベランダからこの部屋に侵入した。お前を人質に立て籠もったが、ほどなくして真選組が捕縛。幸いお前は無傷のまま解放された。だよな?」
「うん……」
「だがそれ以来、ドアの鍵が閉められなくなっちまった。犯人がベランダから入ってきた時、気が動転してドアの鍵を開けられず、部屋から出られなかったから。そして廊下から複数の足音が聞こえると、事件当日の真選組の足音と重なって、またベランダから犯人が押し入ってくるんじゃないかと不安に駆られちまうようになった。……違うか?」
「……うん……」
まさに銀時の言った通りだった。事件以降、詩織は何かに付けてまた同じことが起きるのではないかと不安な日々を送っていたのだ。体に傷を負うことは無かったが、心の傷は深かった。
「ホントはよォ、銀さんの出る幕じゃねーとは思ってたんだがな。その場にいなかった俺が変に関われば、お前の傷を抉っちまうかもしんねーし。でも……」
「でも?」
「犯人の仲間がこの辺りに潜伏してるって話を聞いて放置できるほど薄情でもないんだわ」
「かと言って真選組を部屋に入れさせたかねーし」と呟く銀時の頬は赤い。
「銀さん……」
そんな銀時を詩織が先ほどとは違う驚きで見る。ただ涼みに来ただけだと思っていたのに、実は自分を心配しての来訪だったということが分かり胸が熱くなった。