雷鳴を忘れて(銀時)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
バラバラと、窓を強く叩く雨音が響いていた。時折激しい稲光がカーテンの隙間から部屋に差し込み、ガシャーンと耳をつんざく大きな音が辺り一帯に響いている。
子供の頃から雷は苦手で、いつも雷鳴が遠のくまで母親に抱きついて震えていた。
でも今この部屋にいるのは私一人。近所に友達はいないし、例えいたとしてもこんな激しい雷雨では、家から出るのも誰かを呼ぶのも無理な話だ。
「早く……早く遠くに行っちゃってよ……!」
布団にくるまり、耳をふさいで雷鳴が遠のくのを待つが、音は近く大きくなってくる。そしてーー。
ガシャーン!
「きゃぁぁぁぁっ!」
これまでで一番大きな音に、思わず悲鳴を上げた。家の中なら何の影響も無いと頭では分かっていても、心が耐えられない。
「もうやだぁ……っ!」
パニックになり、被っていた布団を強く引っ張る。と同時にパタンと床に何かが落ちた音がした。
恐る恐る布団の隙間から覗くと、落ちていたのはスマホ。枕元に置いていたはずが、布団を引っ張ったはずみで落としてしまったようだ。
慌ててスマホに手を伸ばす。もし壊れでもしたら、何かあっても誰とも連絡がつかなくなってしまうから。
雷の恐怖に混乱しながらも、掴んだスマホを布団の中に引き入れる。カバーを開いて電源ボタンを押せば、いつも通りの待ち受け画面が表示され、ホッと小さく溜息が出た。
そのお陰で少しだけ気持ちが緩んだのか、ふと思いついたのは雷の恐怖を紛らわせる方法。早速私は電話アプリを開くと、さりげなく一番に登録しておいた銀さんの名前を表示させた。
「この天気だから、きっと万事屋にいるよね? 繋がってくれますように!」
そう強く願いながら、番号をタップしようとした時ーー。
「え?」
パッと液晶の表示が変わる。思わず咄嗟に触れたのは電話の受信ボタンで。改めて液晶を確認すると、相手は丁度今私がかけようとしていた銀さんだった。
「は?」
スマホから、驚きの声が聞こえる。
「もしもし? あー……詩織、だよな?」
電話してきた当人の銀さんが戸惑っているのは何故なのか。不思議に思いながらも訊ねた。
「うん……そういう貴方は銀さんだよね?」
「そーだけど、いやァ、呼び出し音が鳴る前にいきなり繋がったから何事かと思ったぜ」
「あぁ、なるほど、そういうことね。私も今銀さんに電話しようとしてた所だったんだ」
お互いの状況を確認し、合点がいく。要するに、タイミングが良過ぎたわけだ。
「なんかすげェな。同じタイミングで電話するなんてよォ」
「ホント、なかなか無いよね、こんな事」
何だか嬉しくなって頬が緩む。電話をかけようとした相手から丁度かかってくるという奇跡に、感動すら覚えていた。
子供の頃から雷は苦手で、いつも雷鳴が遠のくまで母親に抱きついて震えていた。
でも今この部屋にいるのは私一人。近所に友達はいないし、例えいたとしてもこんな激しい雷雨では、家から出るのも誰かを呼ぶのも無理な話だ。
「早く……早く遠くに行っちゃってよ……!」
布団にくるまり、耳をふさいで雷鳴が遠のくのを待つが、音は近く大きくなってくる。そしてーー。
ガシャーン!
「きゃぁぁぁぁっ!」
これまでで一番大きな音に、思わず悲鳴を上げた。家の中なら何の影響も無いと頭では分かっていても、心が耐えられない。
「もうやだぁ……っ!」
パニックになり、被っていた布団を強く引っ張る。と同時にパタンと床に何かが落ちた音がした。
恐る恐る布団の隙間から覗くと、落ちていたのはスマホ。枕元に置いていたはずが、布団を引っ張ったはずみで落としてしまったようだ。
慌ててスマホに手を伸ばす。もし壊れでもしたら、何かあっても誰とも連絡がつかなくなってしまうから。
雷の恐怖に混乱しながらも、掴んだスマホを布団の中に引き入れる。カバーを開いて電源ボタンを押せば、いつも通りの待ち受け画面が表示され、ホッと小さく溜息が出た。
そのお陰で少しだけ気持ちが緩んだのか、ふと思いついたのは雷の恐怖を紛らわせる方法。早速私は電話アプリを開くと、さりげなく一番に登録しておいた銀さんの名前を表示させた。
「この天気だから、きっと万事屋にいるよね? 繋がってくれますように!」
そう強く願いながら、番号をタップしようとした時ーー。
「え?」
パッと液晶の表示が変わる。思わず咄嗟に触れたのは電話の受信ボタンで。改めて液晶を確認すると、相手は丁度今私がかけようとしていた銀さんだった。
「は?」
スマホから、驚きの声が聞こえる。
「もしもし? あー……詩織、だよな?」
電話してきた当人の銀さんが戸惑っているのは何故なのか。不思議に思いながらも訊ねた。
「うん……そういう貴方は銀さんだよね?」
「そーだけど、いやァ、呼び出し音が鳴る前にいきなり繋がったから何事かと思ったぜ」
「あぁ、なるほど、そういうことね。私も今銀さんに電話しようとしてた所だったんだ」
お互いの状況を確認し、合点がいく。要するに、タイミングが良過ぎたわけだ。
「なんかすげェな。同じタイミングで電話するなんてよォ」
「ホント、なかなか無いよね、こんな事」
何だか嬉しくなって頬が緩む。電話をかけようとした相手から丁度かかってくるという奇跡に、感動すら覚えていた。
1/2ページ