永劫の間で(九尾銀時)
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「え……?」
女が驚きを表した時にはもう、銀時は体を起こしていた。目にも止まらぬ速さで額の針を抜き捨て、その手を女に向けて伸ばす。
「嘘っ! 術が解けたの!?」
「残念ながらこの程度の術じゃァ、俺を捕らえることなんざできねェよ。んなことよりその痕もっとよく見せろ」
「やだ、ちょっと何なのよ急にーー」
「良いから見せろってェの!」
強引に体を引き寄せようとする銀時に捕まるまいと、女は咄嗟に飛び下がった。だが一瞬の差で銀時の爪が襟に引っかかる。破れて露わになった鎖骨には、鮮やかな紅が浮かび上がっていた。その痕を主張するように、これまで抑え込まれていた妖気と、懐かしい甘い香りが銀時の鼻孔をくすぐる。
「やっぱりか……! この匂い、変わってねェな」
そう言った銀時の顔に浮かんだのは、これ以上無い愛おしさ。なのにそれは悲しげでもあって、反撃しようと構えた女の動きを止めた。
「変わって無い?」
銀時の言葉を拾って女が言う。
「急に襲ってきたかと思えば、匂いがどうのと言い出すわ、そんな辛そうな顔を見せるわ……一体何だってのよ。ひょっとしてこの痕に見覚えでもあるわけ?」
「あァ……大ありだ」
当たり前のように肯定されてしまったことに納得がいかなかったのだろう。バカバカしいとは思いながらも、女は重ねて訊ねた。
「ホントに? まさかアンタがこれを付けた張本人だとか言わないでしょうね」
「そのまさかだ。お前、ぎ……俺のこと何も覚えてないのか?」
今度は銀時が訊ねる。しかし詩織は本当に銀時のことなど知らないようだった。
「覚えているも何も、アンタと顔を合わせたのは初めてだし、この刻印は生まれつきの物だもの」
「そりゃまァ俺がそれを付けたのは、お前の前世に当たる時だからな。ちなみにその痕は俺が生きている限り、お前が何度生まれ変わってもその場所に現れる」
「そんな……嘘でしょ?」
「嘘じゃねェよ。けどよォ、普通なら何かしら俺と関われば過去の記憶が戻るはずなんだがなァ。一向に俺を思い出せねェってのはどういうことだ?」
心底困ったように言う銀時。だが妖怪の銀時に分からないことが、女に分かるはずもない。
「そんな事を言われても知らないわ。それよりも、本当にこの刻印を付けたのがアンタだって言うのなら聞かせてもらおうじゃない。何度生まれ変わってもだなんて、前世の私にそこまで執着する理由でもあるの?」
「それは……」
核心に触れる疑問を正面からぶつけられ、銀時が口籠る。まるで昨日のことのように思い出せる幸せだった日々の記憶と、未だ忘れることの出来ない悲しい記憶が、銀時の心の内で交錯していた。
女が驚きを表した時にはもう、銀時は体を起こしていた。目にも止まらぬ速さで額の針を抜き捨て、その手を女に向けて伸ばす。
「嘘っ! 術が解けたの!?」
「残念ながらこの程度の術じゃァ、俺を捕らえることなんざできねェよ。んなことよりその痕もっとよく見せろ」
「やだ、ちょっと何なのよ急にーー」
「良いから見せろってェの!」
強引に体を引き寄せようとする銀時に捕まるまいと、女は咄嗟に飛び下がった。だが一瞬の差で銀時の爪が襟に引っかかる。破れて露わになった鎖骨には、鮮やかな紅が浮かび上がっていた。その痕を主張するように、これまで抑え込まれていた妖気と、懐かしい甘い香りが銀時の鼻孔をくすぐる。
「やっぱりか……! この匂い、変わってねェな」
そう言った銀時の顔に浮かんだのは、これ以上無い愛おしさ。なのにそれは悲しげでもあって、反撃しようと構えた女の動きを止めた。
「変わって無い?」
銀時の言葉を拾って女が言う。
「急に襲ってきたかと思えば、匂いがどうのと言い出すわ、そんな辛そうな顔を見せるわ……一体何だってのよ。ひょっとしてこの痕に見覚えでもあるわけ?」
「あァ……大ありだ」
当たり前のように肯定されてしまったことに納得がいかなかったのだろう。バカバカしいとは思いながらも、女は重ねて訊ねた。
「ホントに? まさかアンタがこれを付けた張本人だとか言わないでしょうね」
「そのまさかだ。お前、ぎ……俺のこと何も覚えてないのか?」
今度は銀時が訊ねる。しかし詩織は本当に銀時のことなど知らないようだった。
「覚えているも何も、アンタと顔を合わせたのは初めてだし、この刻印は生まれつきの物だもの」
「そりゃまァ俺がそれを付けたのは、お前の前世に当たる時だからな。ちなみにその痕は俺が生きている限り、お前が何度生まれ変わってもその場所に現れる」
「そんな……嘘でしょ?」
「嘘じゃねェよ。けどよォ、普通なら何かしら俺と関われば過去の記憶が戻るはずなんだがなァ。一向に俺を思い出せねェってのはどういうことだ?」
心底困ったように言う銀時。だが妖怪の銀時に分からないことが、女に分かるはずもない。
「そんな事を言われても知らないわ。それよりも、本当にこの刻印を付けたのがアンタだって言うのなら聞かせてもらおうじゃない。何度生まれ変わってもだなんて、前世の私にそこまで執着する理由でもあるの?」
「それは……」
核心に触れる疑問を正面からぶつけられ、銀時が口籠る。まるで昨日のことのように思い出せる幸せだった日々の記憶と、未だ忘れることの出来ない悲しい記憶が、銀時の心の内で交錯していた。
