永劫の間で(九尾銀時)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何だこりゃァ!?」
「緊縛の術よ。逃げようとは思わないことね」
そう言って高い草をかき分け出てきたのは一人の女。シンプルなハイネックのカットソーにジーパンという出で立ちは、到底登山客とは思えない。年の頃なら二十代半ばだろうか。銀時の姿を確認すると口角を上げ、「初っ端から九尾のような大物を捕らえられるなんて、ラッキーだわ」と言いながらゆっくりとこちらに近づき、大の字に倒れたままの銀時を上から見下ろす。
「あ、先に言っておくけど、私に幻術は効かないわよ。防御用のコンタクトをしてるからね」
目元を指差して勝ち誇ったように言った女は、その指を今度は銀時の額に向けた。
「今貴方に刺したこの縛針 は、私にしか抜けないわ。それが刺さっている限り、貴方は私の傀儡となる。無理に抗えば容赦なく消滅させるから、覚悟しておいてね」
「……女の祓い屋か……」
それまでずっと黙って女の話を聞いていた銀時が呟く。体は動かせないが、目や口の自由までは奪われてはいない。術の不快感で眉間にシワを寄せながら、銀時は探るように女を見た。
どうやら先程の妙な感覚は、この女が関係しているようだ。その証拠に、いつもの銀時ならこんなヘマなどはしないだろう。
「なかなかやるねェ、お姉さん」
少し探りをかけようと、軽口を叩く。そんな銀時に詩織は余裕の笑みを浮かべて答えた。
「それはどうも。これでも祓い屋仲間の間では名が知られてるのよ」
「へェ……そんじゃ、その知られてる名前を教えてくんない?」
「は? 駄目に決まってるでしょ。妖怪に名を知られたら、呪をかけられちゃうじゃない」
呆れたように言いつつも、銀時から感じる妙な余裕が気になる。念のためにもう一度術の効果を確認しておこうと、女は銀時の傍へとしゃがみ込んだ。
「ん、術はちゃんとかかってそうね。でも長くは保てなさそうだし、早速こちらの質問に答えてもらうわ」
「質問だァ? 何を聞こうってんだよ。妖怪の巣の在り処でも教えろってか? 残念ながら俺に仲間はいねェぞ」」
「違うわ。私が聞きたい事は一つ。妖怪が付ける刻印の意味を教えて」
「刻印……?」
女の言葉に、銀時のまぶたがピクリと震えた。
「ひょっとしてお前、妖怪に痕を付けられたとでも言うんじゃねーだろうな?」
「付けられたというか、付いていたというか……」
「何だそりゃ。でもまァどうせ虫に刺されたかなんかだろ。お前の体からは妖怪の気を全く感じねェ。もしそんなモンがありゃァ、俺が真っ先に気付いてるはずだ」
身動きは取れずとも、気配を探ることはできる。だがどんなに意識を集中してみても、女から感じられるのは最初と同じ人間としての気配のみで。妖怪が自らの所有物の証とする、痕独特の妖気を感じ取ることは出来なかった。
しかしその疑問はあっさりと解決する。
「ああ、だってこの服、特別な術を施してあるんだもの。分からなくて当然よ。妖怪だらけのこの山で刻印をひけらかすなんて、自殺行為だわ。でもこうすれば……ほら、嘘じゃないってことが分かるでしょ?」
そう言って首元に手をかけた女は、襟を引き下げた。と、その瞬間、銀時の目が見開かれる。
「まさか……っ!」
「緊縛の術よ。逃げようとは思わないことね」
そう言って高い草をかき分け出てきたのは一人の女。シンプルなハイネックのカットソーにジーパンという出で立ちは、到底登山客とは思えない。年の頃なら二十代半ばだろうか。銀時の姿を確認すると口角を上げ、「初っ端から九尾のような大物を捕らえられるなんて、ラッキーだわ」と言いながらゆっくりとこちらに近づき、大の字に倒れたままの銀時を上から見下ろす。
「あ、先に言っておくけど、私に幻術は効かないわよ。防御用のコンタクトをしてるからね」
目元を指差して勝ち誇ったように言った女は、その指を今度は銀時の額に向けた。
「今貴方に刺したこの
「……女の祓い屋か……」
それまでずっと黙って女の話を聞いていた銀時が呟く。体は動かせないが、目や口の自由までは奪われてはいない。術の不快感で眉間にシワを寄せながら、銀時は探るように女を見た。
どうやら先程の妙な感覚は、この女が関係しているようだ。その証拠に、いつもの銀時ならこんなヘマなどはしないだろう。
「なかなかやるねェ、お姉さん」
少し探りをかけようと、軽口を叩く。そんな銀時に詩織は余裕の笑みを浮かべて答えた。
「それはどうも。これでも祓い屋仲間の間では名が知られてるのよ」
「へェ……そんじゃ、その知られてる名前を教えてくんない?」
「は? 駄目に決まってるでしょ。妖怪に名を知られたら、呪をかけられちゃうじゃない」
呆れたように言いつつも、銀時から感じる妙な余裕が気になる。念のためにもう一度術の効果を確認しておこうと、女は銀時の傍へとしゃがみ込んだ。
「ん、術はちゃんとかかってそうね。でも長くは保てなさそうだし、早速こちらの質問に答えてもらうわ」
「質問だァ? 何を聞こうってんだよ。妖怪の巣の在り処でも教えろってか? 残念ながら俺に仲間はいねェぞ」」
「違うわ。私が聞きたい事は一つ。妖怪が付ける刻印の意味を教えて」
「刻印……?」
女の言葉に、銀時のまぶたがピクリと震えた。
「ひょっとしてお前、妖怪に痕を付けられたとでも言うんじゃねーだろうな?」
「付けられたというか、付いていたというか……」
「何だそりゃ。でもまァどうせ虫に刺されたかなんかだろ。お前の体からは妖怪の気を全く感じねェ。もしそんなモンがありゃァ、俺が真っ先に気付いてるはずだ」
身動きは取れずとも、気配を探ることはできる。だがどんなに意識を集中してみても、女から感じられるのは最初と同じ人間としての気配のみで。妖怪が自らの所有物の証とする、痕独特の妖気を感じ取ることは出来なかった。
しかしその疑問はあっさりと解決する。
「ああ、だってこの服、特別な術を施してあるんだもの。分からなくて当然よ。妖怪だらけのこの山で刻印をひけらかすなんて、自殺行為だわ。でもこうすれば……ほら、嘘じゃないってことが分かるでしょ?」
そう言って首元に手をかけた女は、襟を引き下げた。と、その瞬間、銀時の目が見開かれる。
「まさか……っ!」
