永劫の間で(九尾銀時)
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詩織を里に見送ってからしばしの時が過ぎ、迎えた最初の春。暦を持たぬ妖怪としては瞬きほどの時間だったが、銀時は初めてそれを長いと感じていた。
詩織が傍にいないというだけで、時間の流れが遅く感じられるのだ。これまでと同じ過ごし方をしているはずなのに、何をしていても何を見ていてもつまらなくて。
「今頃アイツは何してんだろうなァ……」
考えるのは詩織の事ばかり。
それでも今日まで銀時が事を起こそうとしなかったのは、この春という季節を待っていたから。詩織を見送ったあの日、刻んだ痕などに頼ること無く、今を生きる詩織に会いに行こうという気持ちは定まっていたが、心配していたであろう家族との時間を過ごさせてやり、花が咲いたらそれを手土産に里へ向かおうと決めていたのだ。
そしてようやく待ち侘びた春を迎え、山に色とりどりの花が咲き始めた頃ーーその知らせは飛び込んできた。
「おい、銀時!」
やっと詩織に会いに行けると、朝日に照らされた花畑をにやけ顔で歩いていた銀時の耳がピクリと動く。声の聞こえた方向を見ると、血相を変えて走ってくる男の姿が見えた。
「よォ、どうした? お前がそんな風に慌てるなんて珍しいじゃねェの」
それは銀時の知己である、黒狼の十四郎。いつもは沈着冷静な彼が、銀時の言うように珍しく慌てふためいている。しかもその顔には悲壮感が漂っていることに気付き、思わず銀時は拳を握ったが、努めて冷静に聞いた。
「何かあったのか?」
「落ち着いて聞けよ……女が殺された」
「……は? 殺された?」
十四郎の言葉の意味を理解できず、聞き返す銀時。だがその時にはもう、銀時の全身は粟立っていた。
「なァ、もっと銀さんに分かるよう言ってくんない?……誰が殺されたって?」
銀時の体から、強い妖気が立ち上る。その鋭い冷たさに煽られながらも、十四郎は銀時をまっすぐ見つめて言った。
「あの人間の女……詩織とか言ったか? アイツが殺されたんだよ」
「……ッ!」
非情な答えに言葉を失う銀時。
咄嗟のこととは言え嘘だ、と言わなかったのは、十四郎の情報にはいつだって嘘偽りの無いことを知っているから。否定をしたくとも、それは決して覆すことのできぬ事実なのだと、銀時は本能で理解していた。
詩織が傍にいないというだけで、時間の流れが遅く感じられるのだ。これまでと同じ過ごし方をしているはずなのに、何をしていても何を見ていてもつまらなくて。
「今頃アイツは何してんだろうなァ……」
考えるのは詩織の事ばかり。
それでも今日まで銀時が事を起こそうとしなかったのは、この春という季節を待っていたから。詩織を見送ったあの日、刻んだ痕などに頼ること無く、今を生きる詩織に会いに行こうという気持ちは定まっていたが、心配していたであろう家族との時間を過ごさせてやり、花が咲いたらそれを手土産に里へ向かおうと決めていたのだ。
そしてようやく待ち侘びた春を迎え、山に色とりどりの花が咲き始めた頃ーーその知らせは飛び込んできた。
「おい、銀時!」
やっと詩織に会いに行けると、朝日に照らされた花畑をにやけ顔で歩いていた銀時の耳がピクリと動く。声の聞こえた方向を見ると、血相を変えて走ってくる男の姿が見えた。
「よォ、どうした? お前がそんな風に慌てるなんて珍しいじゃねェの」
それは銀時の知己である、黒狼の十四郎。いつもは沈着冷静な彼が、銀時の言うように珍しく慌てふためいている。しかもその顔には悲壮感が漂っていることに気付き、思わず銀時は拳を握ったが、努めて冷静に聞いた。
「何かあったのか?」
「落ち着いて聞けよ……女が殺された」
「……は? 殺された?」
十四郎の言葉の意味を理解できず、聞き返す銀時。だがその時にはもう、銀時の全身は粟立っていた。
「なァ、もっと銀さんに分かるよう言ってくんない?……誰が殺されたって?」
銀時の体から、強い妖気が立ち上る。その鋭い冷たさに煽られながらも、十四郎は銀時をまっすぐ見つめて言った。
「あの人間の女……詩織とか言ったか? アイツが殺されたんだよ」
「……ッ!」
非情な答えに言葉を失う銀時。
咄嗟のこととは言え嘘だ、と言わなかったのは、十四郎の情報にはいつだって嘘偽りの無いことを知っているから。否定をしたくとも、それは決して覆すことのできぬ事実なのだと、銀時は本能で理解していた。
