キスまでの距離(銀時)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
いつだってキスは俺からだった。
もちろん拒否をされることはないし、唇が離れた時の照れた笑顔が可愛いから、それはそれで嬉しい。
でもやっぱ時にはキスされる立場にもなってみたいじゃないですか。だから今日俺は、外出先で二人切りになったのを見計らって強引に仕掛けてみる事にした。
周りに誰もいない事を確認し、そっと肩を抱き寄せる。
「銀さん?」
「しっかしお前はいつまで経ってもちみっこいまんまだよなァ。でもまァ背伸びすりゃ丁度良いか」
「いきなり何の話よ。っていうか、何が丁度良いの?」
からかわれていると思ったのか、少しムッとした表情で俺を見上げる詩織。普段頭のつむじを眺めている程度の身長差だ。この状態では未だ、詩織の唇は遠かった。
そこで俺は言ってやる。
「あん? 何がって? んなもん決まってんだろ」
詩織の唇にチョンと触れ、続けて俺の唇に触れた。
「……キスまでの距離、だよ」
「……っ!」
俺の言わんとした事が分かったんだろう。詩織の顔が一気に赤く染まる。小さく震える肩が動揺を伝えてきたが、俺はその肩をしっかりと抱いたまま言った。
「銀さん、詩織からのキスが欲しいんだけど」
いつもは俺が前かがみになり高さを合わせている。でも今日は詩織にキスされるまで、何時間でも待っててやるつもりでいた。
すると詩織がおずおずと手を伸ばす。俺の衿を掴むと、ゆっくり背伸びをした。恥ずかしさからか、少し泣きそうな表情が目の前に近づき、吐息のかかる距離で一瞬止まる。
「……目、瞑ってよ」
「へーへー」
言う通りにしてやれば、ほんの一瞬だが甘い温もりが唇に触れた。
「……そんだけ?」
片目を開け、からかうように言ってやる。だが俺の胸元に額を押し付け、力強く頭を横に振る詩織に、もうこれ以上を望むのは無理そうだ。
「ま、初めての事だしな」
本当はこれだけでも十分嬉しかったんだがな。
その気持ちは隠したまま、余裕の笑顔を見せてやった俺は、少しだけ強引に詩織の顎を持ち上げる。
「次は濃厚なやつを頼むな。こんな風にーー」
期待を込めたキスは、自分でも驚くほどに深く甘いものになった。
〜了〜
もちろん拒否をされることはないし、唇が離れた時の照れた笑顔が可愛いから、それはそれで嬉しい。
でもやっぱ時にはキスされる立場にもなってみたいじゃないですか。だから今日俺は、外出先で二人切りになったのを見計らって強引に仕掛けてみる事にした。
周りに誰もいない事を確認し、そっと肩を抱き寄せる。
「銀さん?」
「しっかしお前はいつまで経ってもちみっこいまんまだよなァ。でもまァ背伸びすりゃ丁度良いか」
「いきなり何の話よ。っていうか、何が丁度良いの?」
からかわれていると思ったのか、少しムッとした表情で俺を見上げる詩織。普段頭のつむじを眺めている程度の身長差だ。この状態では未だ、詩織の唇は遠かった。
そこで俺は言ってやる。
「あん? 何がって? んなもん決まってんだろ」
詩織の唇にチョンと触れ、続けて俺の唇に触れた。
「……キスまでの距離、だよ」
「……っ!」
俺の言わんとした事が分かったんだろう。詩織の顔が一気に赤く染まる。小さく震える肩が動揺を伝えてきたが、俺はその肩をしっかりと抱いたまま言った。
「銀さん、詩織からのキスが欲しいんだけど」
いつもは俺が前かがみになり高さを合わせている。でも今日は詩織にキスされるまで、何時間でも待っててやるつもりでいた。
すると詩織がおずおずと手を伸ばす。俺の衿を掴むと、ゆっくり背伸びをした。恥ずかしさからか、少し泣きそうな表情が目の前に近づき、吐息のかかる距離で一瞬止まる。
「……目、瞑ってよ」
「へーへー」
言う通りにしてやれば、ほんの一瞬だが甘い温もりが唇に触れた。
「……そんだけ?」
片目を開け、からかうように言ってやる。だが俺の胸元に額を押し付け、力強く頭を横に振る詩織に、もうこれ以上を望むのは無理そうだ。
「ま、初めての事だしな」
本当はこれだけでも十分嬉しかったんだがな。
その気持ちは隠したまま、余裕の笑顔を見せてやった俺は、少しだけ強引に詩織の顎を持ち上げる。
「次は濃厚なやつを頼むな。こんな風にーー」
期待を込めたキスは、自分でも驚くほどに深く甘いものになった。
〜了〜
1/1ページ
