嘘かまことか(銀時)
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今日は年に一度の嘘が許される日、エイプリルフールだ。
というわけで世の中の流行に乗らんと、詩織は偶然街で見かけた銀時に嘘を吐いてみることにした。
「ねえねえ、銀さん」
ツツツと歩み寄り、顔を覗き込む。
「私、前から銀さんが好きだったの」
「……へ!?」
突然の告白に驚き、ぽかんと口を開けて固まる銀時。その姿にしてやったりの詩織は、ガッツポーズをして言った。
「な〜んちゃって。今日は何の日でしょ〜か?」
銀時のことだ。きっとすぐに告白の理由を理解してツッコムなり笑うなりしてくれると思っていたのだろう。気の置けない友人をからかう感覚で「びっくりした?」と嬉しそうに話しかけた詩織だったが、その数秒後。今度は詩織が固まることとなる。
「銀さん……?」
詩織を見つめる銀時の目は、今まで見たことのないくらい悲しげだった。
何だかとてつもなく悪いことをした気がして、詩織の胸がチクリと痛む。どうしようと慌てる詩織に、銀時は言った。
「エイプリルフール……だもんなァ」
「う、うん……」
なんと言えば良いか分からず、小さく頭を縦に振る詩織。すると銀時はそっと手を伸ばし、詩織の頬に触れた。
「でも俺は、ずっとお前を……」
ゆっくりと顔を近づけ、鼻先をくっつける。
「……え?」
何が起きているのか分からず、固まったまま目を見開いた詩織の唇に、銀時の唇が触れそうになった時だった。
「……な〜んつって」
「は……?」
近づく時とは対象的に、パッと離れた顔は意地悪くにやりと笑っていた。
「するわけねーだろ。ったく、すーぐ騙されんのな。今日は何の日ですかァ?」
「な……っ! ひっど〜い!」
「酷いのは詩織だろうが。最初にしかけてきたのはどっちだっつーの」
「もう、銀さんのばかぁっ! 嘘つきっ!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にして、銀時をポカポカと殴りながら怒る詩織。
すると銀時が笑いながら言った。
「どーせ銀さんは嘘つきだっつーの。でも嘘つきの嘘ってのは……どっちの意味になるんだろーなァ」
「それは……」
銀時の不意の言葉が詩織を混乱させる。しかも与えられた難問に頭を抱える詩織に、銀時が追い打ちをかけるから。
「なァ、『嘘から出たまこと』って言葉、知ってるか?」
「……っ」
再び近付いた銀時の唇が、今度こそ詩織の唇に触れる。
その瞬間詩織の心臓はドキリと大きく跳ね、詩織の中に『まことの想い』を芽生えさせたのだった。
〜了〜
というわけで世の中の流行に乗らんと、詩織は偶然街で見かけた銀時に嘘を吐いてみることにした。
「ねえねえ、銀さん」
ツツツと歩み寄り、顔を覗き込む。
「私、前から銀さんが好きだったの」
「……へ!?」
突然の告白に驚き、ぽかんと口を開けて固まる銀時。その姿にしてやったりの詩織は、ガッツポーズをして言った。
「な〜んちゃって。今日は何の日でしょ〜か?」
銀時のことだ。きっとすぐに告白の理由を理解してツッコムなり笑うなりしてくれると思っていたのだろう。気の置けない友人をからかう感覚で「びっくりした?」と嬉しそうに話しかけた詩織だったが、その数秒後。今度は詩織が固まることとなる。
「銀さん……?」
詩織を見つめる銀時の目は、今まで見たことのないくらい悲しげだった。
何だかとてつもなく悪いことをした気がして、詩織の胸がチクリと痛む。どうしようと慌てる詩織に、銀時は言った。
「エイプリルフール……だもんなァ」
「う、うん……」
なんと言えば良いか分からず、小さく頭を縦に振る詩織。すると銀時はそっと手を伸ばし、詩織の頬に触れた。
「でも俺は、ずっとお前を……」
ゆっくりと顔を近づけ、鼻先をくっつける。
「……え?」
何が起きているのか分からず、固まったまま目を見開いた詩織の唇に、銀時の唇が触れそうになった時だった。
「……な〜んつって」
「は……?」
近づく時とは対象的に、パッと離れた顔は意地悪くにやりと笑っていた。
「するわけねーだろ。ったく、すーぐ騙されんのな。今日は何の日ですかァ?」
「な……っ! ひっど〜い!」
「酷いのは詩織だろうが。最初にしかけてきたのはどっちだっつーの」
「もう、銀さんのばかぁっ! 嘘つきっ!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にして、銀時をポカポカと殴りながら怒る詩織。
すると銀時が笑いながら言った。
「どーせ銀さんは嘘つきだっつーの。でも嘘つきの嘘ってのは……どっちの意味になるんだろーなァ」
「それは……」
銀時の不意の言葉が詩織を混乱させる。しかも与えられた難問に頭を抱える詩織に、銀時が追い打ちをかけるから。
「なァ、『嘘から出たまこと』って言葉、知ってるか?」
「……っ」
再び近付いた銀時の唇が、今度こそ詩織の唇に触れる。
その瞬間詩織の心臓はドキリと大きく跳ね、詩織の中に『まことの想い』を芽生えさせたのだった。
〜了〜
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