ビタースイート(銀時)
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可愛い女にはなれないから、チョコなんて渡さない。
素直な女にはなれないから、愛なんて囁かない。
もうすぐバレンタインデーも終わる。結局今年も私の思いは宙ぶらりんのままだ。
「さみしー人生送ってんな、私」
ため息を吐きながら飲むココアはいつもより苦くて、思わず涙が出た。
「何泣いてんだよ」
不意に聞こえた声に驚いて振り向くと、そこにいたのは銀時。
「……ここ、私の家なんだけど」
鍵を閉め忘れていたのだろうか。いつの間にか部屋に入ってきていた銀時は、私の言葉に答えることなくドカリと横に座った。
「何しに来たのよ」
「なァ、これもらって良いか?」
「はい?」
何を言ってるのか分からない銀時の指先にあるのは、飲みかけのココア。
「喉が渇いてるんなら、お茶淹れるけど」
「これが良い」
「いや、それ私が口を付けてるから……」
「だから良いんだっての」
そう言った銀時は、私が止めるのも聞かずにココアを飲み干してしまった。
「何なのよ一体……」
銀時の行動の意味を理解できない私が戸惑っていると、彼は拗ねた表情で私を見る。
「今日はバレンタインだってのにいくら待っても姿を見せねーから、こっちから来てやったんだよ」
そして空になったココアのカップを私に見せながら言った。
「ホットチョコレート、ごっそーさん」
「……あ!」
「気付くのが遅ェんだよコノヤロー。もう時間ギリギリだってーの。ラストチャンス、素直に言っとけ」
時計を見れば、日付が変わるまであと少し。私は大きく深呼吸すると、目の前の銀時に向けて言った。
「飲んだココアはちゃんと返してよね!」
「お前なァ、こんな時くらい素直に――」
「ホワイトデーは、私から行くから……」
素直になりきれなくて、遠回しな言い方しか出来ない。でも銀時は察してくれたようだ。
「ばァか。そんなの待たずにいつでも来いよ」
そう言った銀時は、私に優しくキスをして答えてくれた。
~了~
素直な女にはなれないから、愛なんて囁かない。
もうすぐバレンタインデーも終わる。結局今年も私の思いは宙ぶらりんのままだ。
「さみしー人生送ってんな、私」
ため息を吐きながら飲むココアはいつもより苦くて、思わず涙が出た。
「何泣いてんだよ」
不意に聞こえた声に驚いて振り向くと、そこにいたのは銀時。
「……ここ、私の家なんだけど」
鍵を閉め忘れていたのだろうか。いつの間にか部屋に入ってきていた銀時は、私の言葉に答えることなくドカリと横に座った。
「何しに来たのよ」
「なァ、これもらって良いか?」
「はい?」
何を言ってるのか分からない銀時の指先にあるのは、飲みかけのココア。
「喉が渇いてるんなら、お茶淹れるけど」
「これが良い」
「いや、それ私が口を付けてるから……」
「だから良いんだっての」
そう言った銀時は、私が止めるのも聞かずにココアを飲み干してしまった。
「何なのよ一体……」
銀時の行動の意味を理解できない私が戸惑っていると、彼は拗ねた表情で私を見る。
「今日はバレンタインだってのにいくら待っても姿を見せねーから、こっちから来てやったんだよ」
そして空になったココアのカップを私に見せながら言った。
「ホットチョコレート、ごっそーさん」
「……あ!」
「気付くのが遅ェんだよコノヤロー。もう時間ギリギリだってーの。ラストチャンス、素直に言っとけ」
時計を見れば、日付が変わるまであと少し。私は大きく深呼吸すると、目の前の銀時に向けて言った。
「飲んだココアはちゃんと返してよね!」
「お前なァ、こんな時くらい素直に――」
「ホワイトデーは、私から行くから……」
素直になりきれなくて、遠回しな言い方しか出来ない。でも銀時は察してくれたようだ。
「ばァか。そんなの待たずにいつでも来いよ」
そう言った銀時は、私に優しくキスをして答えてくれた。
~了~
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