BLEACH(現在13編)
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せっかくのバレンタインだと言うのに、ここ最近香織の表情は浮かない。
何故なら今年は、バイト先である浦原商店が、初のバレンタインフェアを開催していたから。案の定、閉店後の浦原は満面の笑みだった。
「いやぁ、大当たりでしたよ、この企画」
「でしょうね。買ってすぐ喜助さんに渡してる子もいたみたいだし」
「アタシもまだまだ捨てたもんじゃないッスね」
「鼻の下伸ばしてんじゃないわよ」
「やけに棘がある言い方ですねぇ。しかしこれだけチョコに囲まれると、さすがに辟易ッスよ」
「辟易……?」
「でもまぁ商売としてはーー」
バシッ!
「へ?」
浦原の顔に突如、投げつけられた何か。訳が分からず足元に落ちた物を拾い上げれば、それは形の崩れてしまった小さな箱で。ハッとしたように香織を見た浦原の目に映ったのは、ポロポロと涙を零す香織の姿だった。
「香織さん……」
「帰る!」
踵を返し、店を出ようとする香織。だが浦原はそれを許さず、強引に香織の腕を掴んで抱き寄せた。
「アタシのために作ってくれてたんですか?」
「知らないっ」
「嬉しいッス」
「嘘つき。辟易してるくせに」
「店の商品は、ですよ。これ、今食べて良いッスか?」
許可を待たずに箱を開けた浦原は、チョコを口に放り込んだ。
「美味い……!」
「お世辞なんかいらない」
「お世辞じゃないです。こんなに美味いチョコは初めてッスよ」
「嘘ばっかり。そんな言葉、信じられるはず無いじゃない!」
怒りの収まらない香織が、浦原の腕から逃れ出ようと暴れる。すると浦原は言った。
「だったら嘘じゃないって証明しますよ」
「……え?」
「証明?」と聞くより先に、浦原が次のチョコを口に含む。それは唇越しに香織の口内へと押し込まれた。広がる甘さと熱が、香織の心を溶かして行く。
「ね? 嘘じゃないでしょう?」
香織の頬にかかる吐息は、甘い。
「これ以上美味いチョコなんて、存在してませんよ。……ボク にとっては、ね」
そう言った浦原の顔に浮かんでいたのは、蕩けるように甘い笑顔だった。
*創作時の決まり事
テーマはバレンタイン/1,000文字以内
【バレンタイン】をテーマにしたこのお話。
実は【空の彼方】の風待雪花様との『創作力を上げよう企画』の一端となっております。
→風待様の企画ページは【こちら】
今後はこのお話に条件を付けて交換し、お互いが自分なりに相手の作品を書き換えていく予定です。
企画自体が手探りの上、どこまで出来るかは分かりませんが、とにかく楽しみながら作品を増やしていきたいと思っておりますので、宜しければお付き合いくださいませ♪
2020/2/14
何故なら今年は、バイト先である浦原商店が、初のバレンタインフェアを開催していたから。案の定、閉店後の浦原は満面の笑みだった。
「いやぁ、大当たりでしたよ、この企画」
「でしょうね。買ってすぐ喜助さんに渡してる子もいたみたいだし」
「アタシもまだまだ捨てたもんじゃないッスね」
「鼻の下伸ばしてんじゃないわよ」
「やけに棘がある言い方ですねぇ。しかしこれだけチョコに囲まれると、さすがに辟易ッスよ」
「辟易……?」
「でもまぁ商売としてはーー」
バシッ!
「へ?」
浦原の顔に突如、投げつけられた何か。訳が分からず足元に落ちた物を拾い上げれば、それは形の崩れてしまった小さな箱で。ハッとしたように香織を見た浦原の目に映ったのは、ポロポロと涙を零す香織の姿だった。
「香織さん……」
「帰る!」
踵を返し、店を出ようとする香織。だが浦原はそれを許さず、強引に香織の腕を掴んで抱き寄せた。
「アタシのために作ってくれてたんですか?」
「知らないっ」
「嬉しいッス」
「嘘つき。辟易してるくせに」
「店の商品は、ですよ。これ、今食べて良いッスか?」
許可を待たずに箱を開けた浦原は、チョコを口に放り込んだ。
「美味い……!」
「お世辞なんかいらない」
「お世辞じゃないです。こんなに美味いチョコは初めてッスよ」
「嘘ばっかり。そんな言葉、信じられるはず無いじゃない!」
怒りの収まらない香織が、浦原の腕から逃れ出ようと暴れる。すると浦原は言った。
「だったら嘘じゃないって証明しますよ」
「……え?」
「証明?」と聞くより先に、浦原が次のチョコを口に含む。それは唇越しに香織の口内へと押し込まれた。広がる甘さと熱が、香織の心を溶かして行く。
「ね? 嘘じゃないでしょう?」
香織の頬にかかる吐息は、甘い。
「これ以上美味いチョコなんて、存在してませんよ。……
そう言った浦原の顔に浮かんでいたのは、蕩けるように甘い笑顔だった。
〜了〜
テーマはバレンタイン/1,000文字以内
【バレンタイン】をテーマにしたこのお話。
実は【空の彼方】の風待雪花様との『創作力を上げよう企画』の一端となっております。
→風待様の企画ページは【こちら】
今後はこのお話に条件を付けて交換し、お互いが自分なりに相手の作品を書き換えていく予定です。
企画自体が手探りの上、どこまで出来るかは分かりませんが、とにかく楽しみながら作品を増やしていきたいと思っておりますので、宜しければお付き合いくださいませ♪
2020/2/14
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