BLEACH(現在13編)
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【1万回の『好き』をアナタに】
どんなに長い時を生きていても、思いがけない出来事には遭遇するもので。
浦原喜助は今まさに、それを体感していた。
「これは一体どういう事っすか?」
突然押し倒され、尻餅をついた状態で呆気にとられている浦原に、にじり寄っているのは香織。一体何をしたいのかは分からないが、香織は必死の形相で浦原を見つめていた。
「えーっと……香織さん?」
もう一度問いかけてみる。すると何故か香織は、人差し指を立てて言ったのだ。
「静かに!」
「……はあ」
しかもその人差し指を、浦原のトレードマークでもある帽子のつばに当てて持ち上げる。
いつもは影になって隠れている浦原の目が現れ、香織と正面から視線がぶつかると、今度は香織の表情がふにゃりと崩れた。
「あの……」
「黙って!」
再び口を開こうとした浦原を強く止めた香織だったが、浦原をじっと見つめたまま一つ大きく深呼吸すると、ゆっくりと顔を近付けて来た。
そして感じる、愛しい熱。
「……っ!」
あまりの驚きに、浦原は目を見開いた。何故なら、初めて口付けを交わしてからこれまで、一度たりとも香織からのキスを受けた事が無かったから。
いつだって受け入れる事は出来ても、自ら行動するのは恥ずかしいと拒んでいたのだ。
そんな彼女が今、自分からキスをして来た。それは浦原にとって、大きな衝撃だった。
「香織さん……何かあったんすか?」
少し不安になり、そっと香織を抱き寄せながら浦原が尋ねる。しかしその答えは、思いもよらぬものだった。
「あのね……一万回、なの」
「一万回って、何がっすか?」
「私が喜助さんに出会ってから、喜助さんを好きだなって思った回数が、さっき丁度一万回になったの。ずっと決めてたんだ。一万回喜助さんを好きだと思ったら、どんなにはずかしくても自分から喜助さんにキスしようって。こんなにも貴方が好きだって、行動で示してみようって」
詳しく聞かずとも、自ら一息で語った香織は、緊張から解放されたからかほうっと大きく息を吐く。そして照れ臭そうな笑みを浦原に見せた。
その笑顔に、ギュッと胸が締め付けられる。
そうで無くとも大切な存在だと常々思っていたのに。こんなにも可愛い事をされてしまったらーー!
「あの……嫌、だった?」
感動のあまりフルフルと震える浦原の姿を見て、不安になったのか香織が聞く。
「そんな事ある訳ないじゃないっすか……凄く嬉しかったっすよ」
そう言ってニコリと笑った浦原は、優しく香織の髪を撫でた。
「香織さんが、アタシをどれだけ好きでいてくれてるか、しっかり伝わりました。でも一万回ってよく数えてましたね。途中で面倒になりませんでした?」
「だってそれだけ喜助さんを見てるって証でしょ? 好きな人を見てるのに、面倒な気持ちなんてあるはずないわ」
当たり前のように言われ、ますます胸が熱くなる。
「全く、貴女って人は……」
愛おしさが止まらない。
「そんじゃ、一万回記念のお礼に、アタシからも愛情をプレゼントしますよ。男性からのお返しは、やっぱり3倍返しが基本だろうから……キスのAは一番目ですし、ABCの三番目はCって事で、お返しは決定っすね」
ニヤついた笑みでふざけた返しをしながらも、既に余裕を無くした浦原は、香織の顎に手をかける。
「え? ちょ……喜助さんっ!?」
「でも実はアタシなんて、その何倍も香織さんを好きだと思ってましたけどね」
瞬時に真剣な顔を見せ、囁くようにそう言った浦原は、この溢れんばかりの想いが唇から伝わるようにと深く香織に口付けた。
〜了〜
どんなに長い時を生きていても、思いがけない出来事には遭遇するもので。
浦原喜助は今まさに、それを体感していた。
「これは一体どういう事っすか?」
突然押し倒され、尻餅をついた状態で呆気にとられている浦原に、にじり寄っているのは香織。一体何をしたいのかは分からないが、香織は必死の形相で浦原を見つめていた。
「えーっと……香織さん?」
もう一度問いかけてみる。すると何故か香織は、人差し指を立てて言ったのだ。
「静かに!」
「……はあ」
しかもその人差し指を、浦原のトレードマークでもある帽子のつばに当てて持ち上げる。
いつもは影になって隠れている浦原の目が現れ、香織と正面から視線がぶつかると、今度は香織の表情がふにゃりと崩れた。
「あの……」
「黙って!」
再び口を開こうとした浦原を強く止めた香織だったが、浦原をじっと見つめたまま一つ大きく深呼吸すると、ゆっくりと顔を近付けて来た。
そして感じる、愛しい熱。
「……っ!」
あまりの驚きに、浦原は目を見開いた。何故なら、初めて口付けを交わしてからこれまで、一度たりとも香織からのキスを受けた事が無かったから。
いつだって受け入れる事は出来ても、自ら行動するのは恥ずかしいと拒んでいたのだ。
そんな彼女が今、自分からキスをして来た。それは浦原にとって、大きな衝撃だった。
「香織さん……何かあったんすか?」
少し不安になり、そっと香織を抱き寄せながら浦原が尋ねる。しかしその答えは、思いもよらぬものだった。
「あのね……一万回、なの」
「一万回って、何がっすか?」
「私が喜助さんに出会ってから、喜助さんを好きだなって思った回数が、さっき丁度一万回になったの。ずっと決めてたんだ。一万回喜助さんを好きだと思ったら、どんなにはずかしくても自分から喜助さんにキスしようって。こんなにも貴方が好きだって、行動で示してみようって」
詳しく聞かずとも、自ら一息で語った香織は、緊張から解放されたからかほうっと大きく息を吐く。そして照れ臭そうな笑みを浦原に見せた。
その笑顔に、ギュッと胸が締め付けられる。
そうで無くとも大切な存在だと常々思っていたのに。こんなにも可愛い事をされてしまったらーー!
「あの……嫌、だった?」
感動のあまりフルフルと震える浦原の姿を見て、不安になったのか香織が聞く。
「そんな事ある訳ないじゃないっすか……凄く嬉しかったっすよ」
そう言ってニコリと笑った浦原は、優しく香織の髪を撫でた。
「香織さんが、アタシをどれだけ好きでいてくれてるか、しっかり伝わりました。でも一万回ってよく数えてましたね。途中で面倒になりませんでした?」
「だってそれだけ喜助さんを見てるって証でしょ? 好きな人を見てるのに、面倒な気持ちなんてあるはずないわ」
当たり前のように言われ、ますます胸が熱くなる。
「全く、貴女って人は……」
愛おしさが止まらない。
「そんじゃ、一万回記念のお礼に、アタシからも愛情をプレゼントしますよ。男性からのお返しは、やっぱり3倍返しが基本だろうから……キスのAは一番目ですし、ABCの三番目はCって事で、お返しは決定っすね」
ニヤついた笑みでふざけた返しをしながらも、既に余裕を無くした浦原は、香織の顎に手をかける。
「え? ちょ……喜助さんっ!?」
「でも実はアタシなんて、その何倍も香織さんを好きだと思ってましたけどね」
瞬時に真剣な顔を見せ、囁くようにそう言った浦原は、この溢れんばかりの想いが唇から伝わるようにと深く香織に口付けた。
〜了〜