万事屋騒動記(オールキャラ)【完結】
いつだって、思いもよらぬ出来事は唐突に起きるものだ。
もちろんそれは、万事屋も例外では無い。
『本日午後3時頃に参上つかまつる』
そんな手紙が配達されたのは、そろそろ昼時を迎えようとしていた頃。いつものように依頼もなく、暇を持て余していた万事屋メンバーは、例のごとくグダグダとしながらこの手紙について語り合っていた。
「一体何なんでしょうね、この手紙は。差出人はおろか、用件も書かれてないなんて、ただの悪戯じゃ無いですか?」
「意味もなくここに手紙を送ったってか? 郵便料金払ってまで、こんな悪戯をするような物好きなんているかよ」
「分からないアルよ。3時頃にこの手紙が爆発するかもしれないアル。さっさと捨てるヨロシ」
「いやいや、どう見ても普通の紙だから。爆発したらむしろ凄いから」
テンポよく会話をしているが、見れば銀時はジャンプを読んでいるし、神楽は酢昆布をかじりながらソファに寝転がっている。かろうじて真面目に手紙を確認しているのは、新八だけだ。
「う〜ん、でもこの手紙の文字、どこかで見た事がある気がするんですよね。二人とも心当たりありませんか?」
眉間にしわを寄せつつ手紙を眺めていた新八に促され、ようやく二人も手紙を見る。しかし新八と同様、何となく見たことがあるような……という感想しか出てこない。
「ま、悩んでても仕方ねェし、時間になって誰かが来りゃソイツだろ。とりあえず待ってようぜ」
「そうネ。頭を使うと腹が減るし、まずは何か食べるとイイネ。おいメガネ、何か食いモン出せや」
「単に考えるのが面倒になって、お腹が減ったってだけでしょうが! あんたらホントにやる気のない人生送ってんな」
「な〜に言ってんの。銀さんはいつだってやる気満々ですよ? ジャンプだって真面目に発売日の早朝に買いに行ってるよ?」
「私だって、いつでも胃袋スタンバイOKアルよ。ほら駄眼鏡、飯は未だか?」
「……あんたらに聞いた僕が間違いでしたよ……」
頭を抱えつつ、トボトボと台所へ向かう新八。
いつものように万事屋には、無駄に平和な時間が流れているのだった。
――そう。手紙の予告にあった、午後3時までは。
やがて訪れた午後3時。
念の為、と体裁を整えて時間を迎えた万事屋の三人が、時計を見つめていた時――
ドンドンドン! ガシャーンッ!
玄関から凄まじい音が聞こえて来たかと思うと、白い物体が恐ろしい速さで部屋に突っ込んで来た。
「なっ!?」
驚いた三人が慌ててソファの影に隠れると、その物体はドンッとテーブルに乗って踏ん反り返った。
そうっとソファの上から頭を覗かせ、正体を確認すると……。
「エリザベスさんっ!」
それはなんとエリザベスで。驚く三人を見下ろして立ちながら、いつものようにプラカードを掲げる。
『間に合ったようだな』
「何が間に合っただコラ! 人ん家打ち壊してんじゃねーよ、弁償しろや!」
銀時が怒りながら睨みつけるが、エリザベスは涼しい顔……と思われるいつもの無表情で華麗にスルーし、次々とプラカードを掲げていった。
『壊してない。壊れただけだ』
『そんな事より桂さん達が大変だ』
『手に負えない。ボスケテ』
「ボスケテって何だーっ!」
「セクシーコ〇ンドーか? ボスは私アルか?」
「っつーか壊れただけってテメェ、ヅラと同じような言い訳を……ん? ヅラ達が大変?」
プラカードの突っ込みどころが多すぎたせいか、大切な部分が伝わるまでに時間がかかってしまったようだ。ようやく桂の名前に気付いた銀時が疑問形を発したことで、話は核心に迫る事となる。
『もうどうして良いか分からない』
『このままでは命も危うい』
「ちょ、ちょっと待って下さいエリザベスさん。命も危ういって、桂さんに危険が及んでるんですか? そもそも桂さん達の『達』って誰の事なんですか?」
「どうせ友達のいない桂アル。犬とか猫とか空気嫁とか、そんなやつらネ」
「神楽ちゃん、失礼にも程があるって。攘夷志士の皆さんが捕まったとか、そういう事じゃないんですか?」
勝手な想像で話す二人に、エリザベスが答えようとした時だった。
キュピーン! と鋭い殺気のようなものを、銀時とエリザベスが同時に感じ取る。
「今のは……?」
『しまった、予想以上に早い!』
「エリザベス?」
珍しく焦りを見せるエリザベスに、銀時も緊張し始めた。
『奴らが……奴らが来るっ!』
もちろんそれは、万事屋も例外では無い。
『本日午後3時頃に参上つかまつる』
そんな手紙が配達されたのは、そろそろ昼時を迎えようとしていた頃。いつものように依頼もなく、暇を持て余していた万事屋メンバーは、例のごとくグダグダとしながらこの手紙について語り合っていた。
「一体何なんでしょうね、この手紙は。差出人はおろか、用件も書かれてないなんて、ただの悪戯じゃ無いですか?」
「意味もなくここに手紙を送ったってか? 郵便料金払ってまで、こんな悪戯をするような物好きなんているかよ」
「分からないアルよ。3時頃にこの手紙が爆発するかもしれないアル。さっさと捨てるヨロシ」
「いやいや、どう見ても普通の紙だから。爆発したらむしろ凄いから」
テンポよく会話をしているが、見れば銀時はジャンプを読んでいるし、神楽は酢昆布をかじりながらソファに寝転がっている。かろうじて真面目に手紙を確認しているのは、新八だけだ。
「う〜ん、でもこの手紙の文字、どこかで見た事がある気がするんですよね。二人とも心当たりありませんか?」
眉間にしわを寄せつつ手紙を眺めていた新八に促され、ようやく二人も手紙を見る。しかし新八と同様、何となく見たことがあるような……という感想しか出てこない。
「ま、悩んでても仕方ねェし、時間になって誰かが来りゃソイツだろ。とりあえず待ってようぜ」
「そうネ。頭を使うと腹が減るし、まずは何か食べるとイイネ。おいメガネ、何か食いモン出せや」
「単に考えるのが面倒になって、お腹が減ったってだけでしょうが! あんたらホントにやる気のない人生送ってんな」
「な〜に言ってんの。銀さんはいつだってやる気満々ですよ? ジャンプだって真面目に発売日の早朝に買いに行ってるよ?」
「私だって、いつでも胃袋スタンバイOKアルよ。ほら駄眼鏡、飯は未だか?」
「……あんたらに聞いた僕が間違いでしたよ……」
頭を抱えつつ、トボトボと台所へ向かう新八。
いつものように万事屋には、無駄に平和な時間が流れているのだった。
――そう。手紙の予告にあった、午後3時までは。
やがて訪れた午後3時。
念の為、と体裁を整えて時間を迎えた万事屋の三人が、時計を見つめていた時――
ドンドンドン! ガシャーンッ!
玄関から凄まじい音が聞こえて来たかと思うと、白い物体が恐ろしい速さで部屋に突っ込んで来た。
「なっ!?」
驚いた三人が慌ててソファの影に隠れると、その物体はドンッとテーブルに乗って踏ん反り返った。
そうっとソファの上から頭を覗かせ、正体を確認すると……。
「エリザベスさんっ!」
それはなんとエリザベスで。驚く三人を見下ろして立ちながら、いつものようにプラカードを掲げる。
『間に合ったようだな』
「何が間に合っただコラ! 人ん家打ち壊してんじゃねーよ、弁償しろや!」
銀時が怒りながら睨みつけるが、エリザベスは涼しい顔……と思われるいつもの無表情で華麗にスルーし、次々とプラカードを掲げていった。
『壊してない。壊れただけだ』
『そんな事より桂さん達が大変だ』
『手に負えない。ボスケテ』
「ボスケテって何だーっ!」
「セクシーコ〇ンドーか? ボスは私アルか?」
「っつーか壊れただけってテメェ、ヅラと同じような言い訳を……ん? ヅラ達が大変?」
プラカードの突っ込みどころが多すぎたせいか、大切な部分が伝わるまでに時間がかかってしまったようだ。ようやく桂の名前に気付いた銀時が疑問形を発したことで、話は核心に迫る事となる。
『もうどうして良いか分からない』
『このままでは命も危うい』
「ちょ、ちょっと待って下さいエリザベスさん。命も危ういって、桂さんに危険が及んでるんですか? そもそも桂さん達の『達』って誰の事なんですか?」
「どうせ友達のいない桂アル。犬とか猫とか空気嫁とか、そんなやつらネ」
「神楽ちゃん、失礼にも程があるって。攘夷志士の皆さんが捕まったとか、そういう事じゃないんですか?」
勝手な想像で話す二人に、エリザベスが答えようとした時だった。
キュピーン! と鋭い殺気のようなものを、銀時とエリザベスが同時に感じ取る。
「今のは……?」
『しまった、予想以上に早い!』
「エリザベス?」
珍しく焦りを見せるエリザベスに、銀時も緊張し始めた。
『奴らが……奴らが来るっ!』
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