帳簿の確認をしていた時。お店の中からふと通りを見ると、数日ぶりに坂田さんの姿を見かけた。
　長髪の綺麗な男の人と、白い大きな天人と思しき生物と一緒に歩きながら、何かを話しているようだ。その真剣な表情は初めて見るもので、ちょっぴり心配になってしまう。

「何か大変な事でもあったのかな？　それにしても不思議な組み合わせ」

　三者三様。全く共通点のなさそうな並びは、なんとも形容しがたい。それでも一つだけハッキリとしているのは、長髪の男性もまた、坂田さんと同じ匂いを感じるという事だ。

「この町には、同じような雰囲気を持ってる人がたくさんいるのかもしれないな」

　その時は、そんな結論に達していたけれど。

　数時間後。外回りの際に通り過ぎたキャバクラの前で、長髪の男性と白い天人が客引きをしている姿を見かけた私の最終結論は、

「全くの別物だったわ。私の感覚、色々とおかしくなってるみたい」

だった。