今日は余裕をもって家を出た事で、コンビニなどに寄る事無く店に向かう。
　とはいえ先週同様、雑誌コーナーで争う二人の男性の姿は、ガラス越しに見えていた。

「坂田さんって不思議な人だなぁ。でもこれから毎週あの姿を見る事になるんだろうか」

　クスクスと笑いながら横目で坂田さんを見ていると、どうやらこちらに気付いたらしい。片手はジャンプと思しき雑誌を引っ張りながら、もう片方の手をヒラヒラと振ってくれた。

「行ってきます」

　私も手を振り挨拶すれば、微笑んでくれる坂田さん。
　彼の笑顔があまりにも優しくて温かかったから。

　――毎週見られたら良いな。

　そんな風に思ってしまうのは、当然の事だよね？