土方十四郎(現在51篇)

「もう行かはるん?」

年に数回の出張時にだけ許される逢瀬は、いつだって短く儚い。

「また来るさ。いずれ、な」
「ずるいお人や。待つ方の身にもなっとくれやす」

口を尖らせて拗ねれば、困った顔を見せる土方さん。

「俺も待ってるんだがな」

そう言うと土方さんは私に櫛を差し出した。

20180115(月)17:39
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