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坂田銀時(現在95篇)

きっかけは、些細な事だった。
言い争いになり、引くに引けぬまま喧嘩別れしたのは昨日の事。あれから銀ちゃんとは顔も合わせる事も出来ず、もうすぐ2度目の日付を跨ごうとしている。

ーーよりによって、こんな大切な日に……!

後悔しても遅い。あと30分ほどで今日という日は終わってしまうのだから。
悩みに悩んだ末、私は携帯に手をかけた。
朝から何度もかけては、着信前に切っていた万事屋の番号。
リダイヤルでかければ、ワンコールで繋がった。

「今どこだ?」

相手が誰かも確認せず、怒った声で言った銀ちゃんに、思わず私は答える。

「万事屋の……」

そこまで言ったと同時に聞こえた、受話器が落ちた音。驚いた私が「銀ちゃん!?」と叫んだ時にはもう、万事屋の戸は開かれていた。

「……来んのが遅ェ」
「ごめんね、銀ちゃん。私……」

顔を見るのが怖くて俯く私に、銀ちゃんは言った。

「今銀さんが欲しいのは、謝罪の言葉じゃねェよ。今日があと30分しか無いの、分かってんだろ?」

その声の優しさに安心した私は、ゆっくりと顔を上げる。そして今日一日、ずっと言いたかった言葉を紡いだ。

「お誕生日おめでとう」
「……ん、サンキュ」
「せっかくのお誕生日だったのに、ギリギリになっちゃってごめんね」
「ホントだぜ。こりゃァ、お祝いの言葉だけじゃ足りねェわ」
「え……?」

言っている意味が分からずに首を傾げた私に、不意に重ねられた唇。

「このくらいはしてもらわなきゃな」

そう言って、銀ちゃんは満足げに笑った。

20181010(水)23:44
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