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坂田銀時(現在95篇)

【冷めた紅茶】

せっかく約束の時間に合わせて紅茶を淹れたのに。もう湯気は全く見えなくなっている。
時刻は午後4時過ぎ。ティータイムと言うには遅い時間だ。

「香りもすっかり飛んじゃった」

焼き上がりの時間を計算していたアップルパイも、冷たくなってしまった。

「……嘘つき」

冷めた紅茶に砂糖を入れてかき混ぜる。一息に飲み干すと、ザラついた砂糖の感触が舌に残った。
紅茶は苦いのに、砂糖の甘さばかりが気になってしまう。

「甘……」

思わずボヤいて舌を出すと、不意に目の前が暗くなった。
驚いた時にはもう、舌に熱い物が触れていて。

「ホントだ。甘ェ」
「銀時!」

たった今触れた舌で自らの唇を舐めた銀時は、ニヤリと笑いながら言った。

「悪ィ、待たしちまった」

そして当たり前のように冷めた紅茶に手をつけ、アップルパイを頬張る。

「やっぱお前のお茶は美味いよな。このパイもサイコー。でも……」
「でも、何よ」

遅刻した事を怒っているのだと伝えるべく、睨んでいる私に、銀時は飄々とした表情で悪びれる事なく言った。

「お前とのキスが、一番美味ェや」

ああ、これだから私は結局彼を許してしまうのだ。
ゆっくりと近付き重ねられた唇の熱は、私の中にあった怒りを一瞬で溶かしてしまった。

20180730(月)21:54
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