坂田銀時(現在95篇)

お客様来店のチャイムが鳴った。

「いらっしゃいま……せぇっ!?」

振り向くと、目の前に突然現れたのは銀さんのドアップ。
あまりの近さに驚いて、思わず叫び声をあげながら倒れそうになった私を、銀さんが慌てて抱きとめてくれた。

「ちょぉっと、人の顔見るなり叫んで倒れるって酷くない?銀さん傷付いちゃったんだけど」
「ご、ごめん!まさか真後ろにいるとは思わなくて……」

顔見知りとは言え、さすがにこれは失礼だ。
焦りながら謝る私に、銀さんは少し拗ねた顔をしながらも、何故かジッとこちらを見つめていた。

「あの……銀さん、怒ってます?」

私の背中を支える手に力が入るのを感じ、身を竦める。すると、銀さんは言った。

「いんや全然。それよかお前って、近くでじっくり見ると可愛かったんだな。いつも店でくるくる動き回ってるから、気付いてなかったわ」

そのままニヤリと笑うと、ゆっくり顔を近付けてくる。

「ぎ……んさん……?」
「なァ、銀さんを傷付けちゃったお詫びに、仕事が終わったらデートしねェ?」

耳元で囁かれた、信じられないお誘い。
その声は少し緊張しているようにも感じたけれど、さすがにこれはふざけているとしか思えない。

「もう、そういう冗談は他でやってよね」

そう言って銀さんから離れようとした瞬間、私と目があった銀さんの顔は真っ赤になっていて。

「あの……?」
「冗談でこんな事言えるかってーの」

消え入りそうな声で言った銀さんの瞳は、これ以上無く真剣なものだった。

20180725(水)09:53
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