坂田銀時(現在95篇)

‪目の前にある鏡に映るのは、銀時に後ろから深く束縛されている私。‬
‪一糸纏わぬ二人の体が妖しく揺れてぶつかる様は、自らの姿にも関わらず別の誰かを見ているようで、現実味が無かった。‬

「存外冷めてやがんのな」

苦笑いしながらも、動きを止めない銀時。
やがて終わりを迎え、鏡の中にいるのが私一人になると、瞳を閉じて小さく息を吐いた。

「不満そうだな」

冷蔵庫から飲み物を持ってきた銀時に言われ、ゆっくりと視線を銀時に向ける。

「言いたい事があるなら言えよ。俺ァ鈍いからな」

横に座り、こちらを見つめてくる銀時に向かって、私は言った。

「鏡越しの視線はいらない。自分の姿も見たくない。私はただ、本当の銀時だけを見ていたかった」

その言葉にようやく銀時も、私の心を理解してくれたらしい。

「悪ィ。でっけェ鏡に興奮して、つい調子に乗っちまった。そんじゃ今度は正面から……な」

鏡を背にして座る私に、銀時は優しいキスを落とした。

20180703(火)00:10
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