坂田銀時(現在95篇)

「こっち来いよ」

そう声をかけられて拒否できるくらいだったら、最初からやってる。

「待たせんなっての。俺の事好きなんだろ?」

少し意地悪くニヤリと笑いながら、私に向けて言うその言葉の意味も分かっているはずなのに、拒否が出来ない。

――惚れた方が負け、か。

「バーカ。私は銀時なんて大嫌……」

精一杯の悪態も、全てを紡ぎきる前に塞がれてしまう。

「相変わらず素直じゃねーのな」
「私がそんな可愛い女の子じゃ無い事くらい、知ってるでしょ。嫌なら捨てれば良いじゃない」

体が火照り始めているのを感じながらも、なけなしの理性で抵抗を見せれば、銀時の笑みが深くなる。

「冗談。捨てるどころか、俺からぜってェ逃げられねェように、もっときつく縛り付けてやるよ」

心底嬉しそうに言った銀時が重ねて来た唇は、言葉とは裏腹にとても優しい物だった。

20180619(火)09:23
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