坂田銀時(現在95篇)
『白』は好きじゃない。
ほんの小さなシミでも、はっきりと目立たせてしまう白色は、私が最も嫌いな色だ。
全てを包み隠さず、誰の目にも明らかにしてしまう『白』。
だから私は決して白を纏わない。
白に焦がれる事は無い。
攘夷戦争の最中。
白夜叉と恐れられたその青年は、夜叉の名に相応しい働きで敵をなぎ倒していく。
真っ白な衣装を染める返り血の紅。
それがまた絶妙なコントラストで、敵の戦意を失わせる。
でも……。
もしその血が白夜叉本人の物だったら?
白地だからこそ分かる、紅に染めた血の持ち主。
範囲が広がるほどに弱っていく事が分かってしまい、敵を鼓舞する材料にもなる。
お陰で私も目が離せなくなって――。
「危ない!」
咄嗟に庇った白夜叉に、敵の刃は届かなかった。
驚きで目を見開いた白夜叉は、夜叉に似つかわしくない悲しげな瞳をしていて。
心の白さを見せつけられ、私は苦笑いをするしか無い。
「だから……白は嫌いなのよ……」
薄れゆく意識の中、最後に目にしたのは新たに白夜叉を染める紅。
ああ、私の血で白を染めたくなんてなかったという後悔の中、私はゆっくりと瞳を閉じた。
20180318(日)07:56
ほんの小さなシミでも、はっきりと目立たせてしまう白色は、私が最も嫌いな色だ。
全てを包み隠さず、誰の目にも明らかにしてしまう『白』。
だから私は決して白を纏わない。
白に焦がれる事は無い。
攘夷戦争の最中。
白夜叉と恐れられたその青年は、夜叉の名に相応しい働きで敵をなぎ倒していく。
真っ白な衣装を染める返り血の紅。
それがまた絶妙なコントラストで、敵の戦意を失わせる。
でも……。
もしその血が白夜叉本人の物だったら?
白地だからこそ分かる、紅に染めた血の持ち主。
範囲が広がるほどに弱っていく事が分かってしまい、敵を鼓舞する材料にもなる。
お陰で私も目が離せなくなって――。
「危ない!」
咄嗟に庇った白夜叉に、敵の刃は届かなかった。
驚きで目を見開いた白夜叉は、夜叉に似つかわしくない悲しげな瞳をしていて。
心の白さを見せつけられ、私は苦笑いをするしか無い。
「だから……白は嫌いなのよ……」
薄れゆく意識の中、最後に目にしたのは新たに白夜叉を染める紅。
ああ、私の血で白を染めたくなんてなかったという後悔の中、私はゆっくりと瞳を閉じた。
20180318(日)07:56