坂田銀時(現在95篇)

風に乗って聞こえてきたピアノの音に惹かれ、音楽室に足を向けると、中にいたのは坂田君。
プロ並みの腕前と綺麗な音色が胸を打った。

「素敵な曲ね」
「シューマンの『献呈』って曲。お前を思いながら弾いてた」
「私を……?」

音楽に疎い私が首を傾げると「これ」と言ってスマホを見せられる。
そこには『シューマンが妻に送ったラブレター』という説明と、歌の歌詞が書かれていて。
その内容に驚きながら顔を上げると、坂田君が頬を赤らめ真剣な表情で私を見つめていた。

「そろそろ答えをくれても良いんじゃねェ?」

熱く深い口付けは、彼の本気を伝えてくる。
だからこそーー私は未だ、答えを出せないでいた。

****************************

このシリーズを書き始めた当初、こんなに続けるつもりはありませんでした。
もちろん結末なんて考えてなくて、ちょっとした駆け引きを楽しめたら良いなくらいの気持ちだったんですよ。
でも書いている内に愛着が湧いて、やめられなくなっちゃって。
しかもどちらも選べないという泥沼状態。
ええ、私が答えを出せていません。どうしよう。
よくヒロインを二人以上のキャラが取り合うってあるけど、皆さんどうやって終着点を見つけてるんだ?あ、最初から決めてあるのか!

(学内王子シリーズ21)
20180311(日)00:13
42/95ページ
応援👍