坂田銀時(現在95篇)

 最初は、内緒話にかこつけて触れてきた耳へのキス。ゾクゾクと背中を走る不思議な感覚に、思わず「何すんのよっ!」と悲鳴をあげた。
 あれは彼と出会って1週間目のこと。

 その次は、「お前のつむじ、ここにあんぞ」とわざわざ教える迷惑なキス。慌てて飛び退く私に向けられていた顔は、意地悪く笑っていた。
 それが一昨日の話。

 そして今、彼がキスをしているのは私のまなじり。泣いていた私を見つけ、何も言わずに歩み寄った彼は、そのまま唇で涙を拭った。

「三度目の正直にしたかったんだけどよォ」

 そう言って彼は、私の顎を掴む。

「四度目は幸せの証って事で良いよな?」

 重ねられた唇は、今までで一番熱かった。

〜了〜
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