土方十四郎(現在51篇)
【もう少しこのままで】
それは、この冬初めての雪。
ふと目を覚まして布団を抜け出し窓の外を見れば、一面真っ白になっていた。
「どうりで寒いはずだ」
ブルリと身震いし、再び布団に潜り込む。同時にヒヤリとした空気を運び込んでしまったせいで、隣に寝ていたトシさんを起こしてしまった。
「ん……もう朝か?」
「ごめんね、起こしちゃった?」
「いや、良い。しかし随分冷えるな」
「雪が積もってるのよ。今日の隊務は厳しそうね」
そう言ってもう一度ブルリと震えた私は、口元まで布団を引き上げる。するとその動きに合わせてトシさんが、腕を私の首の下に差し込んできた。
その意味を理解した私は、いつものようにそのままトシさんに身を預ける。私を抱きしめた腕と、寝乱れてはだけた胸元は、彼の体温をダイレクトに伝えてきた。
「あったかい」
「お前は少し冷たいな。風邪引くなよ」
「大丈夫よ。トシさんがこうしてくれてる限り、ね」
「そうか」
未だ少し寝ぼけ眼のまま、そっと私の額にキスを落とすトシさん。
温かくて、幸せで。自然と私の頬は緩み、笑みが浮かんだ。
「起床時間まで未だあるから、もう少しこのままでも良い?」
顔を見上げながら私が素直に甘えると、トシさんはやれやれとわざとらしくため息を吐きながらも口角を上げる。
抱きしめる力を少しだけ強めたトシさんがくれた答えは、優しく深い口付けだった。
〜了〜
2018/1/12
それは、この冬初めての雪。
ふと目を覚まして布団を抜け出し窓の外を見れば、一面真っ白になっていた。
「どうりで寒いはずだ」
ブルリと身震いし、再び布団に潜り込む。同時にヒヤリとした空気を運び込んでしまったせいで、隣に寝ていたトシさんを起こしてしまった。
「ん……もう朝か?」
「ごめんね、起こしちゃった?」
「いや、良い。しかし随分冷えるな」
「雪が積もってるのよ。今日の隊務は厳しそうね」
そう言ってもう一度ブルリと震えた私は、口元まで布団を引き上げる。するとその動きに合わせてトシさんが、腕を私の首の下に差し込んできた。
その意味を理解した私は、いつものようにそのままトシさんに身を預ける。私を抱きしめた腕と、寝乱れてはだけた胸元は、彼の体温をダイレクトに伝えてきた。
「あったかい」
「お前は少し冷たいな。風邪引くなよ」
「大丈夫よ。トシさんがこうしてくれてる限り、ね」
「そうか」
未だ少し寝ぼけ眼のまま、そっと私の額にキスを落とすトシさん。
温かくて、幸せで。自然と私の頬は緩み、笑みが浮かんだ。
「起床時間まで未だあるから、もう少しこのままでも良い?」
顔を見上げながら私が素直に甘えると、トシさんはやれやれとわざとらしくため息を吐きながらも口角を上げる。
抱きしめる力を少しだけ強めたトシさんがくれた答えは、優しく深い口付けだった。
〜了〜
2018/1/12
