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坂田銀時(現在95篇)

「今夜、抱きに行くから」

 今朝、店の前ですれ違いざま銀さんに言われて以降、落ち着かない時間を過ごしていた。
 付き合い始めて3ヵ月。キスだけの関係だった私達が、いよいよ一線を超える時が来たのだと思うと、震えが止まらなかった。

 彼とそうなる事は、決して嫌じゃ無い。ただ、誰よりも好きな人だからこそ、色々な事を考えてしまって不安だったから。

 夜を迎え、予告通りにやってきた銀さんは、慣れた手つきで私を抱き寄せ、いつものようにキスをする。自然な流れで私をベッドまで誘導し、床ドンの体勢で口付けを続ける彼に、私がただ震えながら身を任せていると、銀さんが言った。

「そんなに震えちまうほど、俺に抱かれるのが嫌か?」

 口付けをやめて私を見るその表情は、傷付いているのか悲しそうに見える。だから私は慌てて答えた。

「あ、違うの、そうじゃなくて……私、自分に自信がないから、幻滅されるんじゃないかって不安で……」

 付き合いたての頃、銀さんがこれだけは守って欲しいと言った、『例え相手を傷付ける結果となっても、その場で本音を伝え、嘘はつかない』という約束。それを守りたかったから。
 そんな私に、フッと笑って銀さんは言った。

「バァカ、お前はもっと自信持てよ。銀さんが惚れた女なんだからよ」
「でも私、お妙ちゃんや月詠さんみたいに美人じゃないし、それに……」
「ストップ! そこまで、な」

 私の言葉を遮るように、銀さんがキスをする。

「世の中良い女はたくさんいるかもしんねェが、俺はそん中からお前を選んだんだ。他人の事なんざ気にすんな」

 その言葉は私の心に優しく浸み込み、震えを止めた。

「銀さん……ありがとう」
「おう」

 ニッと笑って再びキスをしてくれた銀さん。と、その時初めて銀さんが小さく震えている事に気付く。

「銀さん……?」

 伺うように名を呼んだ私に、銀さんは小さく舌打ちをした。

「ちっ、バレちまったか。かっこ悪ィな……俺だって緊張してんだ。惚れた女を抱くのがこんなにも怖いだなんて、知らなかったんだよ。今朝の予告だって、どんだけ勇気がいったか……」

 そう言って恥ずかしそうに頬を染め、唇を尖らせた銀さんはとても可愛らしく見える。
 いつも飄々として見える銀さんが今日一日、私と同じ思いだったのだと気付いた事で、私の頬は幸せに緩んだ。

2018/11/5
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