高杉晋助(現在16篇)

晋助に抱かれるのが好きだった。

逞しい胸に耳を当て、鼓動が聞こえると安心するから。
いつも危険を顧みず、真っ先に死地へと赴く男が未だ生きている事を、触れた箇所から伝わってくる温もりで確かめられるから。

「……ねえ晋助、抱いてよ」
「あん?相変わらず積極的な女だな、てめぇはよ」
「別に良いでしょ。減るもんじゃなし」
「それもそうだな。……来いよ」

いつものように、着流しで寛ぐ晋助に寄り添う。でも今触れている肌は、いつもとは違って冷たかった。トクトクと聞こえてくる鼓動が不規則な事にも気付き、私は近い終わりを悟る。

「ねぇ、晋助」
「何だよ。これじゃ不満か?」
「そうだね。だから……」
「だから?」

胸にある、普通ならありえない大きな傷に手を当てながら、私は言った。

「私を満足させる為に、『最期の瞬間』まで私を抱いていてよね」

20181008(月)16:54
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