山崎退(現在13篇)

ここ最近、眠りが浅い。
ヒンヤリとした布団に体を横たえ、瞼を閉じればこんなにも静かで。
眠りを妨げる物は無いはずなのに、どうして私の体は癒される事が無いのだろう。

そんな事を考えながら過ごしていたある日。

「ただいま」の声が聞こえたと同時に、布団に入ったばかりの私を背中から抱きしめたのは山崎さん。
冷たかったはずの布団が一瞬で温かくなり、ふんわりとした心地良さを感じた。

「お帰りなさい」
「やっと張り込みが終わったんだ。疲れてるから一緒に寝かせてよ」

優しい声で囁かれ、私は一つコクリと頷く。
やがて聞こえて来た山崎さんの寝息は、私を深い眠りへと誘った。
翌朝、すっきりと目覚めた事で気付く。

「山崎さんがいなかったから、眠れなかったんだ」
「何の事?」

寝ぼけ眼で聞いてくる山崎さんの胸に頬を摺り寄せ、幸せを噛み締めながら「何でもないよ」と私は答えた。

20180307(水)16:58
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