山崎退(現在13篇)

監察の部屋を覗くと、山崎さんが机に突っ伏して眠っていた。
よっぽど疲れてたんだろうなぁ。本当は一言伝えたかったんだけど、仕方ないか。
諦めてそっと机の端にプレゼントの包みを置き、部屋を出ようとした時。

「これだけなの?」

不意に山崎さんの声が聞こえ、手を引かれた。
バランスを崩した私は、山崎さんの腕の中に倒れ込む。

「やだ、起きてたの?」
「君の気配でね。あと君からの誕生日のプレゼントは、このあんぱんともう一つ欲しいんだけどな」
「もう一つって…?」
「あんぱんより甘くて柔らかい、君の唇」

そう言って山崎さんは、私に口付けた。

20180206(火)21:17
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