沖田総悟(現在18篇)

 無事任務を終え、労いの意味を込めて開かれた酒宴にて、私は一人部屋の隅で手酌酒をしていた。
 仲間の隊士達も、私が一人で飲むのが好きな事を知っているため、最初の一杯のみお互いの無事を祝って注ぎ合いはしたものの、それ以降は声をかけてくる者はいない。お陰で酒は進み、良い感じに酔いが回って来た……はずだったんだけどねぇ。

「何すんのよ」

 次の酒を注ごうとしていた時、取り上げられた空のコップ。確認せずともその犯人は分かっている。

「せっかく人が良い気持ちで飲んでるってのに、邪魔しないでくれる? 総悟」
「流石に飲み過ぎですぜ、姐さん。こんなに酔ってちゃ、いざって時に困りまさァ」
「そん時は、もう一人の副長さんにお任せすれば良いのよ。トッシーは頼りになるからね」
「相変わらず、信頼してるんですかイ?」
「そりゃぁ、同じ役職で相棒だもん。あったりまえっしょ」

 何を今更と思いながら、私は弟分である総悟の手の中のコップを取り上げようとした。ところが。

「気に入らねェな」
「はい?」
「副長ってだけで信頼されるあの男は、絶対俺が引き摺り落としてやる」
「え? ちょっと総悟、何を……」

 纏った殺気とは裏腹に、優しい腕が私を抱きしめた。

「副長の椅子は……アンタの横の席は俺ンだ」

 抗おうにも酔った体では力が入らず。しかも総悟の腕の中は、見た目よりもずっと大きく逞しくて。思わず胸に押し付けられた頬が熱くなってしまった。

20181015(月)19:47
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