沖田総悟(現在18篇)
スーパーの前に置かれているカプセルトイ。
いつもならスルーしているのに、偶然目に入ったクローバーのアクセサリーが気になってしまった。
見れば見る程好みのデザインではあったけれど、なんだか子供っぽい気がして買う勇気が出ず、機械の前でしばらく悩んでいると……。
「ちょっと良いですかィ?」
不意に後ろからかけられた声に驚いて振り向けば、呆れたような顔をした沖田さんが立っていた。
「お、沖田さん! 何でこんなとこに……?」
「おもちゃを眺めて立ち尽くしてる大人がいれば、不審人物を疑って職質もしまさァ。んな事より、どうしたんでィ? ここを離れられないくらいのお宝でもあったんですかィ?」
そう言って私の肩越しに機械を覗き見た沖田さんは、一瞬目を丸くする。そして私をチラリと見てニヤリと笑った。
「なるほどねェ。アンタはこういうのが好きってわけだ」
「悪い? 子供の頃からクローバーには目が無いんだもん!」
恥ずかしくなってしまった私がキレ気味に答えると、何故か沖田さんは機械の前にしゃがみ込んだ。しかもポケットから財布を取り出し、カプセルを一つ購入する。
興味なさげに中身を確認した沖田さんは、それがネックレスだと分かると私に差し出した。
「初めて買ってみたが、こういうやつなんですねィ。ま、俺には必要ねー代物だし、アンタにあげまさァ」
「へ? 良いの? せっかく買ったのに……」
「俺がこんなのを付けてる姿を想像してみてくだせェ。隊長の名も形無しでさァ」
言われてみれば確かにそうだと思った私は、コクリと頷く。
「じゃあ、その分のお金を払うね」
さすがにただでもらうわけにはいかないと、私は財布を取り出した。ところが沖田さんはそれを制止する。
「いや、金はいらねェ」
「え? でも……」
「代わりと言っちゃァなんですがね」
未だ沖田さんの手の中にあったネックレスの留め金がはずされ、私の胸元をクローバーが飾るのと同時に、重ねられた唇。
「お代はこれで」
そう言った沖田さんの頬は、紅く染まっていた。
20180323(金)00:49
いつもならスルーしているのに、偶然目に入ったクローバーのアクセサリーが気になってしまった。
見れば見る程好みのデザインではあったけれど、なんだか子供っぽい気がして買う勇気が出ず、機械の前でしばらく悩んでいると……。
「ちょっと良いですかィ?」
不意に後ろからかけられた声に驚いて振り向けば、呆れたような顔をした沖田さんが立っていた。
「お、沖田さん! 何でこんなとこに……?」
「おもちゃを眺めて立ち尽くしてる大人がいれば、不審人物を疑って職質もしまさァ。んな事より、どうしたんでィ? ここを離れられないくらいのお宝でもあったんですかィ?」
そう言って私の肩越しに機械を覗き見た沖田さんは、一瞬目を丸くする。そして私をチラリと見てニヤリと笑った。
「なるほどねェ。アンタはこういうのが好きってわけだ」
「悪い? 子供の頃からクローバーには目が無いんだもん!」
恥ずかしくなってしまった私がキレ気味に答えると、何故か沖田さんは機械の前にしゃがみ込んだ。しかもポケットから財布を取り出し、カプセルを一つ購入する。
興味なさげに中身を確認した沖田さんは、それがネックレスだと分かると私に差し出した。
「初めて買ってみたが、こういうやつなんですねィ。ま、俺には必要ねー代物だし、アンタにあげまさァ」
「へ? 良いの? せっかく買ったのに……」
「俺がこんなのを付けてる姿を想像してみてくだせェ。隊長の名も形無しでさァ」
言われてみれば確かにそうだと思った私は、コクリと頷く。
「じゃあ、その分のお金を払うね」
さすがにただでもらうわけにはいかないと、私は財布を取り出した。ところが沖田さんはそれを制止する。
「いや、金はいらねェ」
「え? でも……」
「代わりと言っちゃァなんですがね」
未だ沖田さんの手の中にあったネックレスの留め金がはずされ、私の胸元をクローバーが飾るのと同時に、重ねられた唇。
「お代はこれで」
そう言った沖田さんの頬は、紅く染まっていた。
20180323(金)00:49