沖田総悟(現在18篇)

【束縛の果てに】

無機質な鎖がカシャリと音を立てる。
冷たいはずの金属が私の体温で温まってから、もうどれだけの時が経ったのか。既に体を起こすのも億劫だ。

物理的に縛り付けて私を弄ぶ彼。
翻弄されながらも常に頭の中は冷静な私。
甘い言葉の一つもなく、欲を受け止めるだけの器に成り下がる気は毛頭ない。

「こんなまやかしじゃない、本気の恋をしてみたら?」
「アンタがそれを言うんですかィ? 何も知らねェくせに」

呆れたように言う彼の目は何処か寂しそうで。思わず絆されそうになった自分を叱咤する。

「生憎私は思い人がいるわ」

火照る体を持て余しながらも挑むように言うと、不意に彼の瞳が狂気の色に染まった。

「だから……俺ァ本気でアンタを縛り付けてるんでさァ」

20180216(金)20:45
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