それが王道
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その日、柚希がいつものようにスーパーで品物を選んでいると、新商品コーナーで『魔法のプ◯ッツ』という文字を見かけた。
どうやら新商品と既存の物とを一緒に食べると味が変わるらしい。
「なるほどねぇ。でもまぁよくあるタイプの物かな」
そう思って通り過ぎようとした柚希だったが、むしろそういう物ほど喜ぶ人間が傍にいる事を思い出す。
「今日のおやつって事にしちゃえばいっか」
無邪気に喜ぶ万事屋の面々の姿を想像して笑みを浮かべた柚希は、並べられていた数種類をカゴに放り込むとレジへと向かった。
一通りの買い物を終えて万事屋に戻れば、早速銀時が寄って来る。柚希が袋の中身を取り出すそばから品定めをし、今夜のメニューを予想していた。
そんな中、目の前に現れた複数のプ◯ッツ。
「へェ……普段あんまこういう菓子は買ってこねェのに、珍しいな」
「うん、新商品ってのが気になっちゃって。せっかくだから今日のお茶請けにしようと思ったの。駄目だった?」
「いや、全然」
「じゃあお茶の準備するね。寒いからあったかい緑茶にするよ」
早速ヤカンを火にかける。
買ってきた食材を所定の位置に片付け終えた頃には、ヤカンからピーッと沸騰を告げる音がした。
「そう言えば、神楽ちゃんと新八くんは?」
急須に湯を注ぎながら柚希が言う。
銀時いわく、神楽は沖田に呼び出され、新八はお通ちゃん親衛隊の会合に行ってしまったらしい。
「じゃあ今は私達だけか。だったらもっと大人向けのおやつにしておけば良かったかな」
箱を開け、中身を種類ごとに深めのコップに移し替えた柚希は、お盆を持って客間に向かった。
「でも今日はこれしか無いし、ごめんね」
「何で謝んだよ。俺がこういうのを好きなのは知ってんだろ?」
柚希の後を追ってソファに座った銀時が早速手を伸ばす。まずは素材の味からと各々を味わい、次に二種類を一度に口に運べば、確かに新しい味を感じることができたようだ。
「なるほどねェ」
「どんな感じ?」
お茶を煎れながら柚希が訊いた。
「悪かねーな。想像通りっつーか、普通に食べやすいわ」
「そっか」
「お前も食ってみろよ」
「うん、ありが……」
自然な流れで礼を言おうとした柚希の言葉が途切れる。その口には、銀時によってプ◯ッツが差し込まれていた。
「んむっ……」
「な? 結構イケるだろ?」
「ん……、確かに美味しいけど、急に突っ込まないでよ。びっくりするじゃない」
「まーまー良いじゃねーの」
悪びれず、自分の口にも次々と運んでいく銀時。そんな姿に呆れながらも、気に入っている証拠だと嬉しくなった柚希は微笑む。
すると銀時が言った。
「でもよォ、こういうのはやっぱ王道が一番美味くねェか?」
「王道?」
「そ。どんなに高級な調味料を使って味付けしても、絶対超えられねェ唯一無二の味」
「そんなに美味しい味ってどれのことよ」
銀時の言う王道とは何か知りたくて、店頭に並んでいた商品を思い出してみる。柚希の知る限りの王道は、今日は買っていなかった。
「好みがはっきりしてるなら、言っておいてくれれば次から買っておくよ」
「そいつはありがてェが、残念ながらそんじょそこらで買えるような代物じゃねェんだわ」
「はい? それってどういうこと?」
「分かんねェか?」
流れるように銀時の指がプ◯ッツをつまむ。そして先ほどと同じように柚希の口に差し込んだのだが、その後が違った。
「これがホントの王道中の王道ってやつな」
そう言ってパクリと反対側にかぶりついた銀時が、高速でプ◯ッツを噛み砕く。あっという間に柚希との距離を縮めた唇が柚希に触れると、後を追うように銀時の舌がその唇を舐めた。
「……っ、もう、シロってば!」
「やーっぱこれが一番美味いって。銀さんイチオシの味よ。でも銀さんだけの味だから、残念ながら売り出せねーけどな」
粉のかけらも残さぬようにと自らの唇を舐める銀時は、幸せなドヤ顔を見せている。
昔から、二人きりになるとこういう悪戯を仕掛けてくる男ではあった。だが確かに王道中の王道であるとは言え、未だにこういう不意打ちはどうにも恥ずかしくて。口の中に少しだけ残ったプ◯ッツをモゴモゴと噛み砕きながら、頬を赤く染める。
そんな柚希の照れなどおかまいなしに、銀時が言った。
「ま、そういうわけだから、残りは全部この食べ方で決まりな」
「え……えぇっ!? そんなの無理だから! 普通にそのまま……」
「これが銀さんにとっての普通なの。王道っつったろーが」
「んっ……」
有無を言わせず次が差し込まれ、温もりとともに消えていく。
やがて口に残るのはお互いの味だけとなると、さすがに柚希が「おやつの時間はもう終了でしょ!」と抵抗した。だが「銀さん、こんなんじゃ全然足りねーから延長で」というわがままな一言は、柚希の抵抗をあっさりと受け流してしまい。
結局神楽たちが戻るまで、二人の王道おやつタイムは続いたという。
〜了〜
どうやら新商品と既存の物とを一緒に食べると味が変わるらしい。
「なるほどねぇ。でもまぁよくあるタイプの物かな」
そう思って通り過ぎようとした柚希だったが、むしろそういう物ほど喜ぶ人間が傍にいる事を思い出す。
「今日のおやつって事にしちゃえばいっか」
無邪気に喜ぶ万事屋の面々の姿を想像して笑みを浮かべた柚希は、並べられていた数種類をカゴに放り込むとレジへと向かった。
一通りの買い物を終えて万事屋に戻れば、早速銀時が寄って来る。柚希が袋の中身を取り出すそばから品定めをし、今夜のメニューを予想していた。
そんな中、目の前に現れた複数のプ◯ッツ。
「へェ……普段あんまこういう菓子は買ってこねェのに、珍しいな」
「うん、新商品ってのが気になっちゃって。せっかくだから今日のお茶請けにしようと思ったの。駄目だった?」
「いや、全然」
「じゃあお茶の準備するね。寒いからあったかい緑茶にするよ」
早速ヤカンを火にかける。
買ってきた食材を所定の位置に片付け終えた頃には、ヤカンからピーッと沸騰を告げる音がした。
「そう言えば、神楽ちゃんと新八くんは?」
急須に湯を注ぎながら柚希が言う。
銀時いわく、神楽は沖田に呼び出され、新八はお通ちゃん親衛隊の会合に行ってしまったらしい。
「じゃあ今は私達だけか。だったらもっと大人向けのおやつにしておけば良かったかな」
箱を開け、中身を種類ごとに深めのコップに移し替えた柚希は、お盆を持って客間に向かった。
「でも今日はこれしか無いし、ごめんね」
「何で謝んだよ。俺がこういうのを好きなのは知ってんだろ?」
柚希の後を追ってソファに座った銀時が早速手を伸ばす。まずは素材の味からと各々を味わい、次に二種類を一度に口に運べば、確かに新しい味を感じることができたようだ。
「なるほどねェ」
「どんな感じ?」
お茶を煎れながら柚希が訊いた。
「悪かねーな。想像通りっつーか、普通に食べやすいわ」
「そっか」
「お前も食ってみろよ」
「うん、ありが……」
自然な流れで礼を言おうとした柚希の言葉が途切れる。その口には、銀時によってプ◯ッツが差し込まれていた。
「んむっ……」
「な? 結構イケるだろ?」
「ん……、確かに美味しいけど、急に突っ込まないでよ。びっくりするじゃない」
「まーまー良いじゃねーの」
悪びれず、自分の口にも次々と運んでいく銀時。そんな姿に呆れながらも、気に入っている証拠だと嬉しくなった柚希は微笑む。
すると銀時が言った。
「でもよォ、こういうのはやっぱ王道が一番美味くねェか?」
「王道?」
「そ。どんなに高級な調味料を使って味付けしても、絶対超えられねェ唯一無二の味」
「そんなに美味しい味ってどれのことよ」
銀時の言う王道とは何か知りたくて、店頭に並んでいた商品を思い出してみる。柚希の知る限りの王道は、今日は買っていなかった。
「好みがはっきりしてるなら、言っておいてくれれば次から買っておくよ」
「そいつはありがてェが、残念ながらそんじょそこらで買えるような代物じゃねェんだわ」
「はい? それってどういうこと?」
「分かんねェか?」
流れるように銀時の指がプ◯ッツをつまむ。そして先ほどと同じように柚希の口に差し込んだのだが、その後が違った。
「これがホントの王道中の王道ってやつな」
そう言ってパクリと反対側にかぶりついた銀時が、高速でプ◯ッツを噛み砕く。あっという間に柚希との距離を縮めた唇が柚希に触れると、後を追うように銀時の舌がその唇を舐めた。
「……っ、もう、シロってば!」
「やーっぱこれが一番美味いって。銀さんイチオシの味よ。でも銀さんだけの味だから、残念ながら売り出せねーけどな」
粉のかけらも残さぬようにと自らの唇を舐める銀時は、幸せなドヤ顔を見せている。
昔から、二人きりになるとこういう悪戯を仕掛けてくる男ではあった。だが確かに王道中の王道であるとは言え、未だにこういう不意打ちはどうにも恥ずかしくて。口の中に少しだけ残ったプ◯ッツをモゴモゴと噛み砕きながら、頬を赤く染める。
そんな柚希の照れなどおかまいなしに、銀時が言った。
「ま、そういうわけだから、残りは全部この食べ方で決まりな」
「え……えぇっ!? そんなの無理だから! 普通にそのまま……」
「これが銀さんにとっての普通なの。王道っつったろーが」
「んっ……」
有無を言わせず次が差し込まれ、温もりとともに消えていく。
やがて口に残るのはお互いの味だけとなると、さすがに柚希が「おやつの時間はもう終了でしょ!」と抵抗した。だが「銀さん、こんなんじゃ全然足りねーから延長で」というわがままな一言は、柚希の抵抗をあっさりと受け流してしまい。
結局神楽たちが戻るまで、二人の王道おやつタイムは続いたという。
〜了〜
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