ずっと一緒に
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熾烈な攘夷戦争に身を置く最中。
共に戦っていた仲間の大半が命を落とし、柚希たちも一時退却を余儀なくされたその日。銀時は強引に柚希を抱いた。
優しさを忘れ、ただ貪るように柚希の中を抉る行為は、敵から受けた傷よりも深くて。強い力で抱きしめられた柚希は、逃れることも銀時と目を合わせる事も叶わぬままに、そのひと時を耐えた。
「……すまねェ」
事が終わり、解放された柚希が乱れた髪を押さえながらゆっくりと体を起こす。未だ呼吸の整わない柚希を気遣い、肩に羽織をかけてやった銀時の顔に浮かんでいたのは、深い後悔の色だった。
「悪かった」
もう一度謝罪の言葉を口にした銀時だったが、柚希を見る事はできない。だがそれは当然のことだろう。例え思いが通じ合っていても、この行為にお互いの同意は無かったのだから。
「許してくれなんて、言えねーよな」
未だ銀時の形を覚えたままのその場所は、痛みを手放してはいない。でもそれ以上に柚希が痛みを感じていたのはーー心だった。
「私を抱いて、スッキリしたの?」
「……」
答えは、無い。
ならばと柚希は訊き方を変えた。
「……何かに縋りたかったんだよね?」
「それは……」
「自制が効かないくらい、辛かったんだよね」
「……ッ!」
目を見開いてビクリと大きく体を震わせた銀時は、眉間に深いシワを寄せながら、覚悟を決めたようにゆっくりと柚希を見る。赤い瞳を揺らす涙は未だそこに留まっていたが、溢れる寸前だった。
それを見てフッと小さなため息を吐いた柚希が言う。
「泣きなさいよ。今ここには私達しかいないんだから」
散り散りに退却していた最中、銀時と共に隠れ逃げ込んだこの廃屋には確かに二人以外の気配は無い。正確にはそもそもが共に逃げる仲間すらいない状況だった。
銀時が柚希を追って攘夷戦争に参戦し、白夜叉として名を挙げてからどれほどの時間が過ぎただろうか。何度か敵に圧された事はあれど、勢いで圧し返していた銀時にとって、ここまで一度に仲間を失ったのは初めてだった。さすがの銀時も、心が折れておかしくはない。
その事を見抜いていたのだろう。銀時を見つめる柚希の目に、責める感情は無かった。
「こんな時くらい皆の白夜叉じゃ無くて、吉田松陽の弟子の坂田銀時に戻ったってバチは当たらないわ。せめて私の前だけででも……シロに戻ったって良いじゃない?」
「柚希……」
責めるどころか気遣いを見せる柚希に、ますます罪の意識が強くなる銀時。だからこそ堪えられなくなったのだろう。
「……悪ィ。これで最後にすっから……」
松陽が連れ去られたあの日以来、誰にも見せていなかった涙を柚希に見せた。
共に戦っていた仲間の大半が命を落とし、柚希たちも一時退却を余儀なくされたその日。銀時は強引に柚希を抱いた。
優しさを忘れ、ただ貪るように柚希の中を抉る行為は、敵から受けた傷よりも深くて。強い力で抱きしめられた柚希は、逃れることも銀時と目を合わせる事も叶わぬままに、そのひと時を耐えた。
「……すまねェ」
事が終わり、解放された柚希が乱れた髪を押さえながらゆっくりと体を起こす。未だ呼吸の整わない柚希を気遣い、肩に羽織をかけてやった銀時の顔に浮かんでいたのは、深い後悔の色だった。
「悪かった」
もう一度謝罪の言葉を口にした銀時だったが、柚希を見る事はできない。だがそれは当然のことだろう。例え思いが通じ合っていても、この行為にお互いの同意は無かったのだから。
「許してくれなんて、言えねーよな」
未だ銀時の形を覚えたままのその場所は、痛みを手放してはいない。でもそれ以上に柚希が痛みを感じていたのはーー心だった。
「私を抱いて、スッキリしたの?」
「……」
答えは、無い。
ならばと柚希は訊き方を変えた。
「……何かに縋りたかったんだよね?」
「それは……」
「自制が効かないくらい、辛かったんだよね」
「……ッ!」
目を見開いてビクリと大きく体を震わせた銀時は、眉間に深いシワを寄せながら、覚悟を決めたようにゆっくりと柚希を見る。赤い瞳を揺らす涙は未だそこに留まっていたが、溢れる寸前だった。
それを見てフッと小さなため息を吐いた柚希が言う。
「泣きなさいよ。今ここには私達しかいないんだから」
散り散りに退却していた最中、銀時と共に隠れ逃げ込んだこの廃屋には確かに二人以外の気配は無い。正確にはそもそもが共に逃げる仲間すらいない状況だった。
銀時が柚希を追って攘夷戦争に参戦し、白夜叉として名を挙げてからどれほどの時間が過ぎただろうか。何度か敵に圧された事はあれど、勢いで圧し返していた銀時にとって、ここまで一度に仲間を失ったのは初めてだった。さすがの銀時も、心が折れておかしくはない。
その事を見抜いていたのだろう。銀時を見つめる柚希の目に、責める感情は無かった。
「こんな時くらい皆の白夜叉じゃ無くて、吉田松陽の弟子の坂田銀時に戻ったってバチは当たらないわ。せめて私の前だけででも……シロに戻ったって良いじゃない?」
「柚希……」
責めるどころか気遣いを見せる柚希に、ますます罪の意識が強くなる銀時。だからこそ堪えられなくなったのだろう。
「……悪ィ。これで最後にすっから……」
松陽が連れ去られたあの日以来、誰にも見せていなかった涙を柚希に見せた。