変わらずにいて
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攘夷戦争の最中、過去の悪夢にうなされていた銀時が目を覚ますと、未だ外は暗かった。時計を見れば、午前3時。夜明けはもう暫く先だ。
「変な夢を見たせいで、こんな時間に目が覚めちまったぜ」
やれやれとため息を吐いた銀時は冷や汗を拭い、改めて寝直そうと仰向けに布団をかぶり直す。ところがその時、視界の端が動いたことに気付いた。
ーーやべェ、起こしたか?
隣で寝ている柚希の眠りを妨げてしまったかと慌てる銀時。だがしばし息を殺して様子を伺ってみても、静かで規則正しい呼吸が乱れることはなかった。
「……寝返りを打っただけか」
ホッとして、ゆっくりと顔を柚希の方に向ける。そこにあったのは、柚希の無防備な寝顔だった。薄明かりに浮かぶその顔は、昼間の冷酷な戦闘時とは違い、あどけなさを感じさせる。
ーーこんな戦に関わってなけりゃ……俺があの時松陽を護れていれば、柚希はーー
ツキリと胸が痛むのを感じながら、銀時は柚希に背を向けるようにしてそっと寝返りを打った。すると、同じタイミングで背中に何かが触れる。
「……ッ!?」
「眠れないの? シロ」
それは、頭を擦り寄せてきた柚希だった。
「怖い夢でも見た?」
無理やり起きたせいか、ほにゃほにゃとした声ではあったが、必死に眠気と戦いながら銀時を心配している。その気遣いに小さく微笑んだ銀時は、柚希の方へと体を向き直し、柚希を抱きしめた。
「ガキ扱いすんなよ。夢くらいで俺が起きるわけねーだろ。それよか心配する暇があったらしっかり寝とけ。明日の戦も激しくなりそうだしな」
「……うん……」
銀時の腕の中、眠くてもう目を開けることも出来ない。ならばせめてと思ったのだろう。上げた口角を見せるように銀時を見上げ、柚希は小さく頷いた。そのまま安心したように眠りに落ちる柚希に、銀時はわざとらしく呆れたように言う。
「寝るのが早ェのは、ガキの頃から変わんねーな」
もちろんその声は柚希には届かない。すうすうと気持ち良さそうに聞こえてくる寝息は、銀時に優しい熱を吹きかけた。先程よりも間近で見た柚希の愛らしい寝顔と共に、銀時の胸にあった不安と痛みを消し去ってくれる。
「……ほんと、全然変わんねーや」
初めて出会った頃と変わらないこの温もり。ただ一つ違うのは、成長とともに柚希を抱きしめられるようになったことだけ。
「このまま……変わらずいてくれよ。俺の側に」
そう言って柚希の髪にキスをした銀時は、ゆっくりと瞼を閉じる。
やがて聞こえてきた銀時の寝息は柚希の物と重なり、幼き日と変わらぬ優しい音色を奏でたのだった。
〜了〜
「変な夢を見たせいで、こんな時間に目が覚めちまったぜ」
やれやれとため息を吐いた銀時は冷や汗を拭い、改めて寝直そうと仰向けに布団をかぶり直す。ところがその時、視界の端が動いたことに気付いた。
ーーやべェ、起こしたか?
隣で寝ている柚希の眠りを妨げてしまったかと慌てる銀時。だがしばし息を殺して様子を伺ってみても、静かで規則正しい呼吸が乱れることはなかった。
「……寝返りを打っただけか」
ホッとして、ゆっくりと顔を柚希の方に向ける。そこにあったのは、柚希の無防備な寝顔だった。薄明かりに浮かぶその顔は、昼間の冷酷な戦闘時とは違い、あどけなさを感じさせる。
ーーこんな戦に関わってなけりゃ……俺があの時松陽を護れていれば、柚希はーー
ツキリと胸が痛むのを感じながら、銀時は柚希に背を向けるようにしてそっと寝返りを打った。すると、同じタイミングで背中に何かが触れる。
「……ッ!?」
「眠れないの? シロ」
それは、頭を擦り寄せてきた柚希だった。
「怖い夢でも見た?」
無理やり起きたせいか、ほにゃほにゃとした声ではあったが、必死に眠気と戦いながら銀時を心配している。その気遣いに小さく微笑んだ銀時は、柚希の方へと体を向き直し、柚希を抱きしめた。
「ガキ扱いすんなよ。夢くらいで俺が起きるわけねーだろ。それよか心配する暇があったらしっかり寝とけ。明日の戦も激しくなりそうだしな」
「……うん……」
銀時の腕の中、眠くてもう目を開けることも出来ない。ならばせめてと思ったのだろう。上げた口角を見せるように銀時を見上げ、柚希は小さく頷いた。そのまま安心したように眠りに落ちる柚希に、銀時はわざとらしく呆れたように言う。
「寝るのが早ェのは、ガキの頃から変わんねーな」
もちろんその声は柚希には届かない。すうすうと気持ち良さそうに聞こえてくる寝息は、銀時に優しい熱を吹きかけた。先程よりも間近で見た柚希の愛らしい寝顔と共に、銀時の胸にあった不安と痛みを消し去ってくれる。
「……ほんと、全然変わんねーや」
初めて出会った頃と変わらないこの温もり。ただ一つ違うのは、成長とともに柚希を抱きしめられるようになったことだけ。
「このまま……変わらずいてくれよ。俺の側に」
そう言って柚希の髪にキスをした銀時は、ゆっくりと瞼を閉じる。
やがて聞こえてきた銀時の寝息は柚希の物と重なり、幼き日と変わらぬ優しい音色を奏でたのだった。
〜了〜