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十月九日午後。
銀時は一人、ブラブラと街を歩いていた。
今日は新八と神楽は出払っており、柚希も用事があると言って出かけている。ただ一人万事屋に残されていた銀時は、さすがに暇を持て余してしまったのだろう。街に出れば知り合いの一人や二人、声をかけてくれるかもしれないという期待を込めての外出だった。
ところがその日に限って、期待通りにはいかず。
知り合いとすれ違いはするのだが、平日の昼間という事もあって皆忙しいのか、銀時に絡んでくれるような相手がいなかった。
「なーんかつまんねェなァ。そういやこうして一人でブラブラすんのなんていつぶりだ?」
柚希と再会してからと言う物、常に銀時の傍らには誰かがいた。別に意識していたわけでは無い。ただ自然と、一人になる機会が無かったのだ。
「一人で甘味処に入るのも何か味気ねーし……しゃーねェな。万事屋に戻るか」
そう言って散歩を切り上げ、万事屋に帰りかけた時だった。
「あれは……?」
ふと目に入った男女二人組。道の向こうの少しおしゃれな洋菓子屋の前に立っていたのは、銀時にとってこの上なく見知った存在だった。
「柚希と土方君じゃねーの。真選組はパトロール中か?」
そう言いながら、丁度いい暇つぶしになるなと二人のいる方向へ足を踏み出した銀時。だが数歩進んだところで、その歩みは止まってしまった。
「……何だよ、柚希のやつ……」
棒立ちになり、不満げに呟いた銀時の表情はこわばっている。その視線の先では、柚希と土方が談笑していた。声は聞こえないが、二人の表情はとても柔らかく、話も弾んでいるようだ。
「用事があるっつって出かけた癖に、あんな所で土方なんかと楽しそうに話をしやがって……」
土方も満更では無いのか、珍しく笑みを絶やさずにいるのが見え、イライラが募る。
「おしゃべりなら、銀さんがいくらでも聞いてやるっつーの!」
そう言った銀時は、再び二人の元へと歩き出そうとした。しかし後ろから聞こえて来た声が、銀時の動きを止めてしまう。
「ねえねえ、向こうの洋菓子屋の前にいる二人、すっごいお似合いじゃない?」
「え?……ほんとだ。あれって確か真選組の土方さんだよね? 一緒にいる人は彼女かなぁ?」
「きっとそうだよ。まさしく美男美女って感じで羨まし~!」
「公務員でイケメンで。何よりあんな優しい目で自分を見てくれる彼氏なんて、最高だろうなぁ。私も土方さんみたいな彼氏が欲しい!」
「分かる分かる! ああいうのを理想の彼氏って言うんだよね」
横を通り過ぎていく女子たちの容赦ないトークは、誰に向けられているわけでも無いはずなのに、銀時は大きなダメージを受けていた。
「お似合い、か……」
改めて二人の姿を見れば、間違いなく仲の良い理想のカップルだ。しかも、いつもは近くにいすぎて気付かなかったが、柚希の纏う雰囲気は上品な物で、どこぞの御大臣の令嬢と言っても遜色無く見えた。
「確かにそうだよな……」
ギュッと手を握り締め、大きくため息を吐いた銀時は寂しげに笑うと、二人の元へは行かずに踵を返す。
「あいつには……土方みたいな奴の方が……」
その声はとても小さくて。誰の耳に届く事も無く、風に流されていった。
銀時は一人、ブラブラと街を歩いていた。
今日は新八と神楽は出払っており、柚希も用事があると言って出かけている。ただ一人万事屋に残されていた銀時は、さすがに暇を持て余してしまったのだろう。街に出れば知り合いの一人や二人、声をかけてくれるかもしれないという期待を込めての外出だった。
ところがその日に限って、期待通りにはいかず。
知り合いとすれ違いはするのだが、平日の昼間という事もあって皆忙しいのか、銀時に絡んでくれるような相手がいなかった。
「なーんかつまんねェなァ。そういやこうして一人でブラブラすんのなんていつぶりだ?」
柚希と再会してからと言う物、常に銀時の傍らには誰かがいた。別に意識していたわけでは無い。ただ自然と、一人になる機会が無かったのだ。
「一人で甘味処に入るのも何か味気ねーし……しゃーねェな。万事屋に戻るか」
そう言って散歩を切り上げ、万事屋に帰りかけた時だった。
「あれは……?」
ふと目に入った男女二人組。道の向こうの少しおしゃれな洋菓子屋の前に立っていたのは、銀時にとってこの上なく見知った存在だった。
「柚希と土方君じゃねーの。真選組はパトロール中か?」
そう言いながら、丁度いい暇つぶしになるなと二人のいる方向へ足を踏み出した銀時。だが数歩進んだところで、その歩みは止まってしまった。
「……何だよ、柚希のやつ……」
棒立ちになり、不満げに呟いた銀時の表情はこわばっている。その視線の先では、柚希と土方が談笑していた。声は聞こえないが、二人の表情はとても柔らかく、話も弾んでいるようだ。
「用事があるっつって出かけた癖に、あんな所で土方なんかと楽しそうに話をしやがって……」
土方も満更では無いのか、珍しく笑みを絶やさずにいるのが見え、イライラが募る。
「おしゃべりなら、銀さんがいくらでも聞いてやるっつーの!」
そう言った銀時は、再び二人の元へと歩き出そうとした。しかし後ろから聞こえて来た声が、銀時の動きを止めてしまう。
「ねえねえ、向こうの洋菓子屋の前にいる二人、すっごいお似合いじゃない?」
「え?……ほんとだ。あれって確か真選組の土方さんだよね? 一緒にいる人は彼女かなぁ?」
「きっとそうだよ。まさしく美男美女って感じで羨まし~!」
「公務員でイケメンで。何よりあんな優しい目で自分を見てくれる彼氏なんて、最高だろうなぁ。私も土方さんみたいな彼氏が欲しい!」
「分かる分かる! ああいうのを理想の彼氏って言うんだよね」
横を通り過ぎていく女子たちの容赦ないトークは、誰に向けられているわけでも無いはずなのに、銀時は大きなダメージを受けていた。
「お似合い、か……」
改めて二人の姿を見れば、間違いなく仲の良い理想のカップルだ。しかも、いつもは近くにいすぎて気付かなかったが、柚希の纏う雰囲気は上品な物で、どこぞの御大臣の令嬢と言っても遜色無く見えた。
「確かにそうだよな……」
ギュッと手を握り締め、大きくため息を吐いた銀時は寂しげに笑うと、二人の元へは行かずに踵を返す。
「あいつには……土方みたいな奴の方が……」
その声はとても小さくて。誰の耳に届く事も無く、風に流されていった。
