海辺の告白
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「あ~もう散々だったぜ」
プリプリと怒りながらスクーターを走らせる銀時。その後ろには、行きとは違って柚希が乗っていた。
ちなみに新八と神楽は、定春の上で熟睡している。
「ったく、アイツらはよォ。好き放題俺で遊びやがって」
「はいはい、大変だったねぇ。でもあのスピードで走りながらも浮き輪から落ちる事が無かった辺り、源外様の設計って凄いんだと思うわ」
「冗談じゃねェ! 振り落とされねェようにこっちは必死だったんだってェの。マジで死ぬかと思ったんだからな」
怒りながらも、定春から子供たちが落ちたりしないかを気にしつつ、スピードを調節している銀時。相変わらず素直じゃ無いなと思いながらもその姿が微笑ましくて、柚希は銀時の腰に回している手の力を強めた。
「……ん? どした?」
ぴったりと抱き着いてくる柚希を気にして、銀時が声をかける。ミラー越しに見える柚希の顔はとても穏やかで――ほんの少し寂し気だった。
「柚希?」
その意味が分からず心配そうに銀時が声をかけると、柚希は何も言わず、更に自らの頬を銀時の背中に押し付ける。
「言いたい事があんなら言えよ。俺は鈍いからな」
そう言って柚希の手を片手で優しくポンポンと叩けば、後ろでフッと小さく笑ったのが分かった。
「別に。ただすこ〜し妬いただけ」
「妬いた? 何にだよ」
ますます訳が分からず、困った表情を見せる銀時。それは想定内だったのか、柚希はクスクスと笑う。
「新八くんと神楽ちゃんによ。もう私はシロを独占できないんだなって思ったら、ちょっと寂しくなっちゃった」
「何だよそれ。俺はいつだってお前を見てんぞ」
「え〜? そうかなぁ。本当に?」
「ホントほんと! さっきだって銀さん、柚希の胸元に釘付けだったし」
「見るとこ違うっ!」
ギュッと強い力で腰を締め上げられ、「グエェッ」と叫び声をあげる銀時だったが、その姿はとても楽しそうに見えて。
そんな二人の姿を、実は最初から目を覚ましていた新八と神楽が定春の上からこっそりと見つめていた。
「人目を憚らずイチャイチャして、ほんと大人って爛れた生き物ネ」
「良いじゃないですか。あんなに幸せそうなんですし、ここは僕たちが少し大人になって見守ってあげましょうよ」
そう言って笑顔を見せる新八に、やれやれとため息を吐いてみせた神楽だったが、その表情は明るい。
「まァ、柚希なら私たちの銀ちゃんを任せてやっても良いと思ったしナ」
先程浜辺で顔を真っ赤にしながら、柚希が言った言葉を思い出す。
ーーシロは、『好き』なんて言葉じゃ足りないくらい、私にとって大切な存在だよ。
「何の捻りもない答えだったアルな」
「だからこそ信じられるんでしょ?柚希さんの事」
顔を見合わせ、クスリと笑った二人は同時に柚希と銀時を見る。
その向こうには、まるで空が赤面したかのような、美しい夕焼け空が広がっていた。
〜了〜
2018/5/30
プリプリと怒りながらスクーターを走らせる銀時。その後ろには、行きとは違って柚希が乗っていた。
ちなみに新八と神楽は、定春の上で熟睡している。
「ったく、アイツらはよォ。好き放題俺で遊びやがって」
「はいはい、大変だったねぇ。でもあのスピードで走りながらも浮き輪から落ちる事が無かった辺り、源外様の設計って凄いんだと思うわ」
「冗談じゃねェ! 振り落とされねェようにこっちは必死だったんだってェの。マジで死ぬかと思ったんだからな」
怒りながらも、定春から子供たちが落ちたりしないかを気にしつつ、スピードを調節している銀時。相変わらず素直じゃ無いなと思いながらもその姿が微笑ましくて、柚希は銀時の腰に回している手の力を強めた。
「……ん? どした?」
ぴったりと抱き着いてくる柚希を気にして、銀時が声をかける。ミラー越しに見える柚希の顔はとても穏やかで――ほんの少し寂し気だった。
「柚希?」
その意味が分からず心配そうに銀時が声をかけると、柚希は何も言わず、更に自らの頬を銀時の背中に押し付ける。
「言いたい事があんなら言えよ。俺は鈍いからな」
そう言って柚希の手を片手で優しくポンポンと叩けば、後ろでフッと小さく笑ったのが分かった。
「別に。ただすこ〜し妬いただけ」
「妬いた? 何にだよ」
ますます訳が分からず、困った表情を見せる銀時。それは想定内だったのか、柚希はクスクスと笑う。
「新八くんと神楽ちゃんによ。もう私はシロを独占できないんだなって思ったら、ちょっと寂しくなっちゃった」
「何だよそれ。俺はいつだってお前を見てんぞ」
「え〜? そうかなぁ。本当に?」
「ホントほんと! さっきだって銀さん、柚希の胸元に釘付けだったし」
「見るとこ違うっ!」
ギュッと強い力で腰を締め上げられ、「グエェッ」と叫び声をあげる銀時だったが、その姿はとても楽しそうに見えて。
そんな二人の姿を、実は最初から目を覚ましていた新八と神楽が定春の上からこっそりと見つめていた。
「人目を憚らずイチャイチャして、ほんと大人って爛れた生き物ネ」
「良いじゃないですか。あんなに幸せそうなんですし、ここは僕たちが少し大人になって見守ってあげましょうよ」
そう言って笑顔を見せる新八に、やれやれとため息を吐いてみせた神楽だったが、その表情は明るい。
「まァ、柚希なら私たちの銀ちゃんを任せてやっても良いと思ったしナ」
先程浜辺で顔を真っ赤にしながら、柚希が言った言葉を思い出す。
ーーシロは、『好き』なんて言葉じゃ足りないくらい、私にとって大切な存在だよ。
「何の捻りもない答えだったアルな」
「だからこそ信じられるんでしょ?柚希さんの事」
顔を見合わせ、クスリと笑った二人は同時に柚希と銀時を見る。
その向こうには、まるで空が赤面したかのような、美しい夕焼け空が広がっていた。
〜了〜
2018/5/30
