海辺の告白

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「シ~ロ。良い物あるよ~」

 太陽を背に、銀時を覗き込んでいるのは柚希
 銀時が眩しそうに目を細めたのは日の光か、はたまた柚希のボディラインか。

「い、良い物って何だよ」

 少しだけ頬を赤らめた銀時が言えば、目の前に出されたのは浮き輪。だがよく見るとドーナツ状ではありながら、一ヵ所にボタンのような物が付いていた。

「源外様が作って下さった、坂田銀時専用浮き輪だよ。中に小型エンジンが搭載されてて、ボタン一つで水上スキーみたいに勝手に動いてくれるんだって。泳げなくてもこれがあれば大丈夫」

 最後の部分はこっそりと、銀時にだけ聞こえるように言われたセリフだ。

「またあのカラクリじじいが、けったいなモンを作りやがったんだな」
「私たちにスーツを作るついでらしいよ。あと、新八くんにもあるんだ」
「え? 僕にもですか?」
「はい、これ」

 勢いよく手渡されたのは、眼鏡。

「……これは?」
「志村新八専用、水陸両用眼鏡だって。鼻までカバーできるだけでなく、水の中から酸素を取り込めるから呼吸が出来る上に、紫外線避けにもなるって源外様が。海に着いたら早めに本体を入れ替えるようにって言われてたの忘れてたわ。ごめんね」
柚希さんまで僕を眼鏡扱いッ!?」

 勢いのある突っ込みにクスクスと笑う柚希の横から、神楽がしっかりと茶々を入れる。

「文句言う前にさっさと入れ替わるネ眼鏡」
「いや、入れ替わるんじゃないからね! 僕は眼鏡かけ器じゃなくて本体!」

 神楽のボケもしっかりと拾う新八は流石と言うか不憫と言うか。
 兎にも角にも準備の整った万事屋面々は、海へと入って行った。

 潮干狩りの時とはまた違う、海に浸かる感覚が心地良くて、次第に上がっていくテンション。
 泳いだり、水を掛け合ったり、エキサイトし過ぎて新八が神楽に沈められたりと慌てる場面もありながらも、笑い声は絶えない。

「ねぇシロ。こんな日が続けば良いね」
「……ああ、そうだな」

 銀時の乗った浮き輪に寄り掛かり、走り回る子供たちを見ながら楽しそうに言う柚希に、銀時が答える。

柚希
「ん? なぁに?」

 昔から変わらない、名を呼んだ時に見せる振り向き様の笑顔が愛おしくて。銀時はそっと柚希の頬に手を伸ばした。

「ずっと続くさ。……続くようにしてみせる」
「……うん」

 重ねられた唇はほんの少しだけしょっぱかったが、心は甘く蕩けそうだ。
 そのまま柚希は不安定な海の中、器用に自分を抱き寄せる銀時に身を委ねようとした……はずだった。

「え……?」
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