海辺の告白
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「親父様が、お仕置きの時にいつもやってた事なんだよ。昔っからシロは悪さばかりする子供だったからね」
再び銀時に視線を戻せば、砂に埋まったまま拗ねた顔をしている。それは過去を思い出させる懐かしい物で、柚希は目を細めた。
柚希の表情から何かを感じたのか、定春が「くぅん」と鳴いて柚希に頭を擦り付ける。
「ん?……ありがとう。でも違うんだよ。今の私はとっても幸せだなぁって思ったの。笑って怒って喜んで……悲しんで。当たり前の感情を当たり前に出せる環境にいるのはこんなにも嬉しい事なんだって、改めて感じたんだ」
そう言って柚希は穏やかな笑顔で定春に抱きついた。気持ちが伝わったのか、定春も嬉しそうに「わん!」と答える。
そんな彼らを優しく見つめていた銀時だったが、砂に埋まったままではやはり格好がつかない。何とか抜け出そうと必死にもがきながら、
「くそッ……定春の奴。そのポジションは俺のだっつーの」
と小さくボヤくのだった。
気が付けば、潮は満ちてきている。
あの後お許しを得た銀時も加わり賑やかにアサリを採っていたが、既に持ってきていたバケツは一杯になっていた。
「思っていた以上に採れたねぇ。これだけ集まると、ご近所さんにも大量に配らなきゃ」
これぞまさしく嬉しい悲鳴だ。砂を洗い流し、奇麗な物だけを選り分けて水を張ると、一旦日影へと移動する。
「さすがにお腹が空いたね。お昼にしない?」
「やったぁ!」
柚希の呼びかけに、真っ先に答えたのは神楽。
あっという間に大きな風呂敷で包まれていた重箱は広げられ、食事の準備が整った。
「神楽お前、ほんと飯が絡むとよく働くな」
「何言ってるカ銀ちゃん。私はいつだって働き者ヨ」
手を合わせるのと、箸でおかずを摘まむのとが同時に見える程の速さで、早速食事を開始する神楽。
「たくさんあるから、ゆっくり噛んで食べてよね」
「む~」
口の中が一杯で喋れない神楽に呆れながら重箱に手を伸ばした銀時と新八も、一口頬張ればもう止まらない。そこからは目をキラキラと輝かせながら次々と重箱の中身を口へと運んでいった。
「十人前は作ってあるはずなんだけど……足りるかなぁ」
やれやれとため息を吐く柚希だったが、その顔はとても嬉しそうだ。
定春にもあらかじめ準備しておいた特別メニューを出してやると、こちらもまた幸せそうに大きな尻尾を振る。
あれだけ時間をかけて作った弁当は結局、三十分と経たない内に空になっていた。
「さて、と。この後少し泳ぐ? 神楽ちゃんもせっかくスーツを着てるんだし、今なら初期設定を保ちながら泳げるよ」
「泳ぎたいネ! 銀ちゃん、新八、付き合えよ」
「良いですよ。今日は少し暑いくらいですしね。銀さんも良いでしょう?」
「あ~……俺は浜辺で昼寝でもしてるわ。ガキは好きに遊んで来いよ」
膨れたお腹を叩きながら、だらしなく横になっている銀時が言う。
「え~、皆で泳がないとつまらないネ。銀ちゃんも行こうヨ」
「そうですよ。せっかく海に来たんですから、皆で遊びましょう」
「ガキの相手なんかしてられっかよ。ちゃんと待っててやるから行って来いって」
珍しく頑なに断る銀時に不満げな子供達。だがその不満はすぐに解消される事となった。
再び銀時に視線を戻せば、砂に埋まったまま拗ねた顔をしている。それは過去を思い出させる懐かしい物で、柚希は目を細めた。
柚希の表情から何かを感じたのか、定春が「くぅん」と鳴いて柚希に頭を擦り付ける。
「ん?……ありがとう。でも違うんだよ。今の私はとっても幸せだなぁって思ったの。笑って怒って喜んで……悲しんで。当たり前の感情を当たり前に出せる環境にいるのはこんなにも嬉しい事なんだって、改めて感じたんだ」
そう言って柚希は穏やかな笑顔で定春に抱きついた。気持ちが伝わったのか、定春も嬉しそうに「わん!」と答える。
そんな彼らを優しく見つめていた銀時だったが、砂に埋まったままではやはり格好がつかない。何とか抜け出そうと必死にもがきながら、
「くそッ……定春の奴。そのポジションは俺のだっつーの」
と小さくボヤくのだった。
気が付けば、潮は満ちてきている。
あの後お許しを得た銀時も加わり賑やかにアサリを採っていたが、既に持ってきていたバケツは一杯になっていた。
「思っていた以上に採れたねぇ。これだけ集まると、ご近所さんにも大量に配らなきゃ」
これぞまさしく嬉しい悲鳴だ。砂を洗い流し、奇麗な物だけを選り分けて水を張ると、一旦日影へと移動する。
「さすがにお腹が空いたね。お昼にしない?」
「やったぁ!」
柚希の呼びかけに、真っ先に答えたのは神楽。
あっという間に大きな風呂敷で包まれていた重箱は広げられ、食事の準備が整った。
「神楽お前、ほんと飯が絡むとよく働くな」
「何言ってるカ銀ちゃん。私はいつだって働き者ヨ」
手を合わせるのと、箸でおかずを摘まむのとが同時に見える程の速さで、早速食事を開始する神楽。
「たくさんあるから、ゆっくり噛んで食べてよね」
「む~」
口の中が一杯で喋れない神楽に呆れながら重箱に手を伸ばした銀時と新八も、一口頬張ればもう止まらない。そこからは目をキラキラと輝かせながら次々と重箱の中身を口へと運んでいった。
「十人前は作ってあるはずなんだけど……足りるかなぁ」
やれやれとため息を吐く柚希だったが、その顔はとても嬉しそうだ。
定春にもあらかじめ準備しておいた特別メニューを出してやると、こちらもまた幸せそうに大きな尻尾を振る。
あれだけ時間をかけて作った弁当は結局、三十分と経たない内に空になっていた。
「さて、と。この後少し泳ぐ? 神楽ちゃんもせっかくスーツを着てるんだし、今なら初期設定を保ちながら泳げるよ」
「泳ぎたいネ! 銀ちゃん、新八、付き合えよ」
「良いですよ。今日は少し暑いくらいですしね。銀さんも良いでしょう?」
「あ~……俺は浜辺で昼寝でもしてるわ。ガキは好きに遊んで来いよ」
膨れたお腹を叩きながら、だらしなく横になっている銀時が言う。
「え~、皆で泳がないとつまらないネ。銀ちゃんも行こうヨ」
「そうですよ。せっかく海に来たんですから、皆で遊びましょう」
「ガキの相手なんかしてられっかよ。ちゃんと待っててやるから行って来いって」
珍しく頑なに断る銀時に不満げな子供達。だがその不満はすぐに解消される事となった。
