海辺の告白
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「新八くんもお味見する?」
「良いんですか?」
「皆平等にね。こっちにおいでよ」
「はい!」
嬉しそうに駆け寄ってくる新八にも神楽同様ウインナーを渡してやる。最後に不貞腐れたままの銀時を冷蔵庫の前まで引っ張ると、氷の欠片を一つ取り出し、口に放り込んだ。
「しっかり冷やしておいてね。……ああいう事は、確実に二人だけの時にして」
後半は、銀時にしか聞こえない程の小さな声。うっすらと頬を赤らめている所を見ると、やはり恥ずかしさがあるのだろう。それでも敢えて言葉にしたのは何故か。
その理由が分かってしまった銀時は、一瞬目を丸くする。だがすぐにニヤリと笑うと柚希の頬に手を当てた。
「ああいう事ってなァ、こういう事か?」
驚く間も与えられず、重ねられた唇。氷でひんやりと冷たくなっていた舌が柚希の口腔をひとしきり堪能する頃には、柚希と同じ熱を取り戻していた。
「ん……っ」
膝の力が抜け、ガクリと頽れそうになる柚希の体を支えながら、満足そうにぺろりと自らの唇を舐める銀時。
顔を真っ赤にして柚希が睨みつけても、効果などあるはずもなく。
「ちゃんとアイツらの視線は確認してるさ。見られてねェから安心しろよ。ごっそーさん」
そう言ってつい、と柚希の唇を指で拭った銀時は、ククッと笑いながら台所を出て行った。もちろんその手には、自分の朝食であるサンドイッチを持っている。
「もう……シロのばかぁっ!」
銀時の後ろ姿に向けて叫ぶ柚希に、重箱の前でモソモソとしていた新八と神楽が驚いたようにこちらを見た。
「どうしたんですか? 柚希さん。銀さんがまた何か悪さを?」
「まさか私たちより多く味見したんじゃないだろうナ? 形を崩さず、嵩を減らさず。それでいてしっかりと全ての料理を味見する。それが味見の極意ネ」
「ちょっと神楽ちゃん、何言ってるか分からないから。すみません柚希さん。あまりに美味しそうなお弁当だったから、神楽ちゃんが手を付けそうになっちゃってたので必死に止めてたんです。銀さんと何かありました?」
再び重箱に手を伸ばそうとする神楽を羽交い絞めにしながら新八が言う。一番手前の重箱を見ると、確かに埋めていたはずのスペースに隙間が出来ていた。
――本当に見られてなかったんだ……。
銀時の言っていた事が嘘では無かったという事に安堵する。
「もう、神楽ちゃんってば。さっきたらふく朝食を食べなかったっけ? お弁当ができたらすぐ出かけるから、もうしばらく我慢しよう。移動中のおやつも準備してるから、ね」
「おやつ!? 仕方ないネ。我慢してやるヨ」
後ほどおやつがあると分かれば、ごきげんになる神楽。柚希に満面の笑顔見せると、やれやれとため息をつく新八に「何ボヤッとしてるネ駄眼鏡。お前もさっさと準備するヨロシ」と言いながら首根っこを掴む。
「ちょっと神楽ちゃん、引っ張らないでよ!」
「お前をここに置いてたら、柚希の邪魔になるネ」
「邪魔してたのはアンタでしょうが〜ッ!」
遠のいて行くツッコミに、苦笑いする柚希。だがお陰で台所は静かになり、広く作業のしやすい環境へと戻った。
「よ〜し、急いで詰めちゃいますか!」
握り拳を作って気合を入れた柚希は、先に作って冷ましておいた卵焼きを詰めようと皿を手に取り、重箱の前に立つ。
ーーが。
「形を崩さず、嵩を減らさず……じゃ無かったっけ」
そう言ってはぁっと大きくため息を吐いた柚希の視線の先には、虫食い状態の重箱が並んでいたのだった。
「良いんですか?」
「皆平等にね。こっちにおいでよ」
「はい!」
嬉しそうに駆け寄ってくる新八にも神楽同様ウインナーを渡してやる。最後に不貞腐れたままの銀時を冷蔵庫の前まで引っ張ると、氷の欠片を一つ取り出し、口に放り込んだ。
「しっかり冷やしておいてね。……ああいう事は、確実に二人だけの時にして」
後半は、銀時にしか聞こえない程の小さな声。うっすらと頬を赤らめている所を見ると、やはり恥ずかしさがあるのだろう。それでも敢えて言葉にしたのは何故か。
その理由が分かってしまった銀時は、一瞬目を丸くする。だがすぐにニヤリと笑うと柚希の頬に手を当てた。
「ああいう事ってなァ、こういう事か?」
驚く間も与えられず、重ねられた唇。氷でひんやりと冷たくなっていた舌が柚希の口腔をひとしきり堪能する頃には、柚希と同じ熱を取り戻していた。
「ん……っ」
膝の力が抜け、ガクリと頽れそうになる柚希の体を支えながら、満足そうにぺろりと自らの唇を舐める銀時。
顔を真っ赤にして柚希が睨みつけても、効果などあるはずもなく。
「ちゃんとアイツらの視線は確認してるさ。見られてねェから安心しろよ。ごっそーさん」
そう言ってつい、と柚希の唇を指で拭った銀時は、ククッと笑いながら台所を出て行った。もちろんその手には、自分の朝食であるサンドイッチを持っている。
「もう……シロのばかぁっ!」
銀時の後ろ姿に向けて叫ぶ柚希に、重箱の前でモソモソとしていた新八と神楽が驚いたようにこちらを見た。
「どうしたんですか? 柚希さん。銀さんがまた何か悪さを?」
「まさか私たちより多く味見したんじゃないだろうナ? 形を崩さず、嵩を減らさず。それでいてしっかりと全ての料理を味見する。それが味見の極意ネ」
「ちょっと神楽ちゃん、何言ってるか分からないから。すみません柚希さん。あまりに美味しそうなお弁当だったから、神楽ちゃんが手を付けそうになっちゃってたので必死に止めてたんです。銀さんと何かありました?」
再び重箱に手を伸ばそうとする神楽を羽交い絞めにしながら新八が言う。一番手前の重箱を見ると、確かに埋めていたはずのスペースに隙間が出来ていた。
――本当に見られてなかったんだ……。
銀時の言っていた事が嘘では無かったという事に安堵する。
「もう、神楽ちゃんってば。さっきたらふく朝食を食べなかったっけ? お弁当ができたらすぐ出かけるから、もうしばらく我慢しよう。移動中のおやつも準備してるから、ね」
「おやつ!? 仕方ないネ。我慢してやるヨ」
後ほどおやつがあると分かれば、ごきげんになる神楽。柚希に満面の笑顔見せると、やれやれとため息をつく新八に「何ボヤッとしてるネ駄眼鏡。お前もさっさと準備するヨロシ」と言いながら首根っこを掴む。
「ちょっと神楽ちゃん、引っ張らないでよ!」
「お前をここに置いてたら、柚希の邪魔になるネ」
「邪魔してたのはアンタでしょうが〜ッ!」
遠のいて行くツッコミに、苦笑いする柚希。だがお陰で台所は静かになり、広く作業のしやすい環境へと戻った。
「よ〜し、急いで詰めちゃいますか!」
握り拳を作って気合を入れた柚希は、先に作って冷ましておいた卵焼きを詰めようと皿を手に取り、重箱の前に立つ。
ーーが。
「形を崩さず、嵩を減らさず……じゃ無かったっけ」
そう言ってはぁっと大きくため息を吐いた柚希の視線の先には、虫食い状態の重箱が並んでいたのだった。