君がいるこの場所へ(ムウマリュ)
ピーッピーッ。
突然ブザーが鳴り、通信回線が開かれた。と同時に、興奮したようなキラの声が、ノイズに混じって途切れ途切れに聞こえてくる。
『……んが……りま……うしょうで……たすか……』
「キラ君? 何かあったの?」
あまりのノイズの酷さに、ドキリと心臓がはねた。まさか捜索中に何かトラブルでも起こったのだろうか。そんな不安がよぎる。だがそれは、思い過ごしでしかなかった。何故なら――。
『……ウさんが……見つかった……じゅう……けど……です……』
「え……?」
マリューは一瞬耳を疑った。今、キラは何と……?
「キラ君! 何が……何が見つかったの!? キラ君!!」
虚ろだった瞳が、一瞬にして生気を取り戻す。いけないと思いながらも、膨らんでしまう期待。
「キラ君!!」
『ムウさんが見つか……重傷ですけど助か……ポイントは……』
「今飛べるモビルアーマーは!?」
キラの言葉が終わらない内に、マリューはドックへの回線を開いていた。
――ムウが生きている。
その言葉にいても立ってもいられなくなって。
『艦長、しかし……』
今アークエンジェルにあるのは、ムウの愛機であるメビウスゼロただ一機のみ。スカイグラスパーは、捜索隊によって使われている。
『いくらなんでもあれは……』
「丁度良いわ。持ち主を迎えに行くんですもの。ただ飛ばすだけなら、私でもなんとかできるわ」
『いや、そういう問題じゃなくて……』
「何かあれば私が責任をとります。だから飛ばせて! ムウを……迎えに行かせて!」
戸惑うマードックを強引に納得させ、マリューは初めてモビルアーマーで宇宙へと飛んだ。シミュレーションではなく、現実での飛翔。
「ムウ……良かった、生きててくれて……」
飛び立つときの重力も、飛ぶ事への不安も感じない。今マリューの中にあるのは、この宇宙にも匹敵するほどに大きな喜びだけ。
ポイントに辿り着くと、ムウは救護艦で応急処置を受けている所だった。満身創痍ではあったが、一命を取り留めることは出来そうだと、医師が驚きの表情を見せている。あれだけの爆発の中心にいながらも、生きているのは奇跡としか言いようがなかった。
「ムウ……」
何だか夢を見ているようで、覚めるのではないかと怯えるようにゆっくりと近付くマリュー。そんなマリューに、ムウは小さく笑いながら言った。
「女神様がキスで呼び戻してくれた……そんな気がしたんだ」
シーツの中に隠れていた包帯だらけの腕が、ゆっくりと動く。それに気付いたマリューは、慌てて近寄るとムウの手を取った。
「帰って来るって……言ったろ?」
少し掠れた声が痛々しいけれど、それでも今手から伝わってくる熱は、ムウが生きているということをはっきりと感じさせてくれている。
「ええ、そうだったわね」
「信じてなかったのか?」
「半分、ね。」
「ひっでーの」
「ごめんなさい……」
謝りながらも、浮かぶのは笑顔で。とにかく生きていてくれたことが嬉しかった。
突然ブザーが鳴り、通信回線が開かれた。と同時に、興奮したようなキラの声が、ノイズに混じって途切れ途切れに聞こえてくる。
『……んが……りま……うしょうで……たすか……』
「キラ君? 何かあったの?」
あまりのノイズの酷さに、ドキリと心臓がはねた。まさか捜索中に何かトラブルでも起こったのだろうか。そんな不安がよぎる。だがそれは、思い過ごしでしかなかった。何故なら――。
『……ウさんが……見つかった……じゅう……けど……です……』
「え……?」
マリューは一瞬耳を疑った。今、キラは何と……?
「キラ君! 何が……何が見つかったの!? キラ君!!」
虚ろだった瞳が、一瞬にして生気を取り戻す。いけないと思いながらも、膨らんでしまう期待。
「キラ君!!」
『ムウさんが見つか……重傷ですけど助か……ポイントは……』
「今飛べるモビルアーマーは!?」
キラの言葉が終わらない内に、マリューはドックへの回線を開いていた。
――ムウが生きている。
その言葉にいても立ってもいられなくなって。
『艦長、しかし……』
今アークエンジェルにあるのは、ムウの愛機であるメビウスゼロただ一機のみ。スカイグラスパーは、捜索隊によって使われている。
『いくらなんでもあれは……』
「丁度良いわ。持ち主を迎えに行くんですもの。ただ飛ばすだけなら、私でもなんとかできるわ」
『いや、そういう問題じゃなくて……』
「何かあれば私が責任をとります。だから飛ばせて! ムウを……迎えに行かせて!」
戸惑うマードックを強引に納得させ、マリューは初めてモビルアーマーで宇宙へと飛んだ。シミュレーションではなく、現実での飛翔。
「ムウ……良かった、生きててくれて……」
飛び立つときの重力も、飛ぶ事への不安も感じない。今マリューの中にあるのは、この宇宙にも匹敵するほどに大きな喜びだけ。
ポイントに辿り着くと、ムウは救護艦で応急処置を受けている所だった。満身創痍ではあったが、一命を取り留めることは出来そうだと、医師が驚きの表情を見せている。あれだけの爆発の中心にいながらも、生きているのは奇跡としか言いようがなかった。
「ムウ……」
何だか夢を見ているようで、覚めるのではないかと怯えるようにゆっくりと近付くマリュー。そんなマリューに、ムウは小さく笑いながら言った。
「女神様がキスで呼び戻してくれた……そんな気がしたんだ」
シーツの中に隠れていた包帯だらけの腕が、ゆっくりと動く。それに気付いたマリューは、慌てて近寄るとムウの手を取った。
「帰って来るって……言ったろ?」
少し掠れた声が痛々しいけれど、それでも今手から伝わってくる熱は、ムウが生きているということをはっきりと感じさせてくれている。
「ええ、そうだったわね」
「信じてなかったのか?」
「半分、ね。」
「ひっでーの」
「ごめんなさい……」
謝りながらも、浮かぶのは笑顔で。とにかく生きていてくれたことが嬉しかった。