桜ノ色ハ血ノ色(アスラン)【全38P完結】
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「10日」
アスラン達一人一人に視線を送り、言う。
「あと10日で、OSの書き換えを遅くとも2分で出来るようになってもらいます。良いわね?」
「2分!?」
予想をしていなかった事とはいえ、それなりにプログラミングの知識はある彼らが15分近くかかってしまった書き換え。それを10日で2分にまで短縮しなければならないと言うのは、かなり難しい。
「人間その気になればできない事はないわ。参考までに、私は30秒で書き換えを完了できます。初めて触ったときは、解析だけで30秒かかってしまいましたけどね」
「30秒!?」
ざわつく少年達に、サラは更に追い打ちをかけた。
「ちなみに今回やってもらったプログラムは、まだ未完成です。短期間で一挙に組んだ事もあり、あちこち粗があるもので。これから修復作業を並行して行っていきますので、毎回少しずつ内容が変わります。随時対処して――」
「ちょっと待てよ」
サラの言葉が言い終わらないうちに、ディアッカの待ったが入る。
「このシミュレーションのプログラムってあんたが作ったのか?」
「そうよ。他に誰がいるの?」
「一人で、か?」
「大まかなプログラムはね。細かいところは何人かの技術者に頼んで手伝って貰ったけれど。3日で作ったにしては上出来でしょう?」
「……マジかよ……」
触ってみたからこそ分かる、このシミュレーションプログラムの凄さ。こんな物をたった3日で作り上げるとは……。
改めて、サラの実力を思い知らされた。というよりも、格の違いを見せつけられたようで。
「あれは、本当に地球軍のMSのOSなのか?」
ラスティが、恐る恐る尋ねる。多分それは、ここにいる皆が気になっていること。
「ええ、そうよ。これは地球軍のMSのOSを模して作った物。ただし1ヶ月前の段階の情報しかないため、途中から私の想像になっていますが。1ヶ月も経って、何も変わっていないはずがないですからね。それにこれはまだ地球軍としても初期段階の物だから、かなり簡単な作りになっているわ」
「じゃぁサラが初めて触ったと言うのは」
「もちろん、オリジナルのOSよ。」
しれっと答えるサラに、一同が納得する。
先日話題にもなったあの入隊試験で、サラが持ち帰った情報。それがこのMSのOSデータだったのだと。
地球軍の中でも極秘中の極秘事項にあたる物を、持ち帰ることが出来る程の人物。
こんな少女が――。
「イザーク・ジュール」
忌々しげにサラを睨み付けていたイザークの名が、不意に呼ばれる。虚を突かれた表情のイザークに、サラはつかつかと歩み寄ると小さなメモを手渡した。
「何だ? これは」
訝しげにメモを見ると、そこにはいくつかの走り書きがあった。
「今のシミュレーションによって分かった、大まかな貴方の弱点。その部分を重点的に訓練してください。ラスティ・マッケンジー……ディアッカ・エルスマン……ニコル・アマルフィ……」
一人一人名を呼びながらさらさらと要点を小さなメモに書き写し、手渡していく。ほんの数行という短い文章の中に、最大の情報。
「アスラン・ザラ」
最後に手渡されたアスランが、そのメモを見て嘆息する。
自分でも気になっていたところはもちろん、気付きもしなかった所まで書き出されているメモに、しばし釘付けになってしまった。
「まずは3日間。個々でシミュレーションを行ってください。分からないことがあれば遠慮なく聞いて。ちなみにあのOSはここにあるボックス5台にしか入っていません。それぞれ特性が違うから、必ず一度は全てのOSに触れておくように。3日後の1400時にまた改めてシミュレーションを見せていただきます。以上、解散」
そう言ってサラは踵を返すと、もう全ての用事は済んだとばかりにシミュレーションルームの出口へと向かう。声をかける暇も与える事なくサラの姿は扉の向こうへと消えた。
姿が見えなくなる瞬間、馬鹿にしたような笑みを残しながら。
それを見て、イザークの手の中のメモがぐしゃりと潰される。
「……やってやるさ。必ず。3日後には、あの涼しい顔を崩させてやるからな……っ!!」
怒りの形相でそう言ったイザークは、先ほどまで使っていたボックスに再び入っていった。
「ここまでコケにされるなんて初めてだぜ。やるっきゃないっしょ。絶対一泡ふかせてやる」
ディアッカもすぐさま同じ行動をとる。――静かな怒りを湛えて。
「俺も頑張んないとなー。言われっぱなしはさすがに悔しいし」
「そうですね。例え敵わなくても、努力して困ることはありませんから」
彼らに続いてラスティとニコルも、顔を見合わせて頷くと各々ボックスへと入っていった。
残るアスランはというと――4人の姿がボックスに消えた数秒後、突然意を決したように出口へと走り出した。
「アスラン!?」
ニコルが慌ててボックスから顔を出しながら叫ぶ。だがアスランは軽く手を上げて答えただけで、そのまま姿を消した。
「どうしたんだ? あいつ」
「さぁ……」
ニコルとラスティが開いた回線に真っ先に映ったのは、お互いの不可思議な表情だった。
アスラン達一人一人に視線を送り、言う。
「あと10日で、OSの書き換えを遅くとも2分で出来るようになってもらいます。良いわね?」
「2分!?」
予想をしていなかった事とはいえ、それなりにプログラミングの知識はある彼らが15分近くかかってしまった書き換え。それを10日で2分にまで短縮しなければならないと言うのは、かなり難しい。
「人間その気になればできない事はないわ。参考までに、私は30秒で書き換えを完了できます。初めて触ったときは、解析だけで30秒かかってしまいましたけどね」
「30秒!?」
ざわつく少年達に、サラは更に追い打ちをかけた。
「ちなみに今回やってもらったプログラムは、まだ未完成です。短期間で一挙に組んだ事もあり、あちこち粗があるもので。これから修復作業を並行して行っていきますので、毎回少しずつ内容が変わります。随時対処して――」
「ちょっと待てよ」
サラの言葉が言い終わらないうちに、ディアッカの待ったが入る。
「このシミュレーションのプログラムってあんたが作ったのか?」
「そうよ。他に誰がいるの?」
「一人で、か?」
「大まかなプログラムはね。細かいところは何人かの技術者に頼んで手伝って貰ったけれど。3日で作ったにしては上出来でしょう?」
「……マジかよ……」
触ってみたからこそ分かる、このシミュレーションプログラムの凄さ。こんな物をたった3日で作り上げるとは……。
改めて、サラの実力を思い知らされた。というよりも、格の違いを見せつけられたようで。
「あれは、本当に地球軍のMSのOSなのか?」
ラスティが、恐る恐る尋ねる。多分それは、ここにいる皆が気になっていること。
「ええ、そうよ。これは地球軍のMSのOSを模して作った物。ただし1ヶ月前の段階の情報しかないため、途中から私の想像になっていますが。1ヶ月も経って、何も変わっていないはずがないですからね。それにこれはまだ地球軍としても初期段階の物だから、かなり簡単な作りになっているわ」
「じゃぁサラが初めて触ったと言うのは」
「もちろん、オリジナルのOSよ。」
しれっと答えるサラに、一同が納得する。
先日話題にもなったあの入隊試験で、サラが持ち帰った情報。それがこのMSのOSデータだったのだと。
地球軍の中でも極秘中の極秘事項にあたる物を、持ち帰ることが出来る程の人物。
こんな少女が――。
「イザーク・ジュール」
忌々しげにサラを睨み付けていたイザークの名が、不意に呼ばれる。虚を突かれた表情のイザークに、サラはつかつかと歩み寄ると小さなメモを手渡した。
「何だ? これは」
訝しげにメモを見ると、そこにはいくつかの走り書きがあった。
「今のシミュレーションによって分かった、大まかな貴方の弱点。その部分を重点的に訓練してください。ラスティ・マッケンジー……ディアッカ・エルスマン……ニコル・アマルフィ……」
一人一人名を呼びながらさらさらと要点を小さなメモに書き写し、手渡していく。ほんの数行という短い文章の中に、最大の情報。
「アスラン・ザラ」
最後に手渡されたアスランが、そのメモを見て嘆息する。
自分でも気になっていたところはもちろん、気付きもしなかった所まで書き出されているメモに、しばし釘付けになってしまった。
「まずは3日間。個々でシミュレーションを行ってください。分からないことがあれば遠慮なく聞いて。ちなみにあのOSはここにあるボックス5台にしか入っていません。それぞれ特性が違うから、必ず一度は全てのOSに触れておくように。3日後の1400時にまた改めてシミュレーションを見せていただきます。以上、解散」
そう言ってサラは踵を返すと、もう全ての用事は済んだとばかりにシミュレーションルームの出口へと向かう。声をかける暇も与える事なくサラの姿は扉の向こうへと消えた。
姿が見えなくなる瞬間、馬鹿にしたような笑みを残しながら。
それを見て、イザークの手の中のメモがぐしゃりと潰される。
「……やってやるさ。必ず。3日後には、あの涼しい顔を崩させてやるからな……っ!!」
怒りの形相でそう言ったイザークは、先ほどまで使っていたボックスに再び入っていった。
「ここまでコケにされるなんて初めてだぜ。やるっきゃないっしょ。絶対一泡ふかせてやる」
ディアッカもすぐさま同じ行動をとる。――静かな怒りを湛えて。
「俺も頑張んないとなー。言われっぱなしはさすがに悔しいし」
「そうですね。例え敵わなくても、努力して困ることはありませんから」
彼らに続いてラスティとニコルも、顔を見合わせて頷くと各々ボックスへと入っていった。
残るアスランはというと――4人の姿がボックスに消えた数秒後、突然意を決したように出口へと走り出した。
「アスラン!?」
ニコルが慌ててボックスから顔を出しながら叫ぶ。だがアスランは軽く手を上げて答えただけで、そのまま姿を消した。
「どうしたんだ? あいつ」
「さぁ……」
ニコルとラスティが開いた回線に真っ先に映ったのは、お互いの不可思議な表情だった。