桜ノ色ハ血ノ色(アスラン)【全38P完結】
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「はぁっ!」
合図と共に、イザークが先制攻撃を掛ける。
場合によっては寸止めで脅しておけば良い。そんな思いで甘いパンチを繰り出したイザークだったが、サラはそれを軽く交わす。流れるような綺麗な動きを目の当たりにし、イザークは瞬時に悟った。
――こいつ、強い……!
それは、その場にいた全ての少年達の心の声と同じ物。
自分達も経験を積んでいるから分かるのだ。ちょっとした動きで、相手の実力が。
イザークは気を取り直し、今度は本気で攻撃を仕掛ける。ボディーを狙ってのパンチを繰り出しながら、避けられることを計算に入れてすぐさま蹴りを放つ。それすらも軽々とかわすサラに回転しながらもう片方の足で蹴りを放つと、なんとサラはその足に手を置き、側転する形で軽々と避ける。
そのまま体を床に伏せると、イザークに足払いをかけた。
「うわっ!」
バランスを崩して倒れそうになるイザークのウェアを掴み、床に俯せる形に引き倒すと、片腕を後ろにねじり上げる。そして軽く手を振り上げ、イザークの背にナイフを突き立てる真似をして見せた。
「ジ・エンド」
鮮やかだった。今までのことは、試合が始まってから数秒の事。
「終了! 勝者、サラ・グレン」
あまりの速さに呆気にとられていたラスティだが、サラの声にすぐさま正気を取り戻し、試合終了を告げた。静まりかえった部屋に響くのはラスティの声のみ。
しばし、無言の時が続いた。
「ザフトの赤も、白兵戦ではこんな物なのね」
「く……っそぉ!!」
サラの小馬鹿にしたような言葉に、イザークが歯噛みする。
だが、反論することはできなかった。あまりにもあっけなく勝負が付いてしまったから。
決してイザークが弱いわけではない。多分サラが強いのだ。普通では考えられないくらいに。
「一つだけ言っておきますが」
サラがイザークの腕を離し、ゆっくりと立ち上がりながら言う。
「私が最も不得意なのが生身での戦闘です。入隊試験でも最も成績が悪く、上層部より懸念されていました」
「……っ!!」
サラ以外の者の目が大きく見開かれる。これだけの動きが出来ていたにも関わらず、成績が最も悪かったと言うことは、それ以外の能力は……?
「ジュールさん、貴方が赤を着ている中で最も白兵戦に優れているというのなら、ザフトも先が知れていると言うことになるわね」
「!!」
かつて、こんな屈辱を味わったことがあっただろうか。サラのその言葉は、イザークだけでなくその場にいた少年達にも大きな屈辱感を与えた。
確かに対人戦においては、イザークは赤の中では下の方の成績になる。だが決して弱いわけではないはずなのだ。成績としてはイザークより上に当たる者と、そう大した差は無いのだから。
「この中で最も白兵戦に強いのは誰? もしジュールさん以外の方だったら、せっかくだしお手合わせ願いたいんですけど」
サラの言葉に、一斉に皆の視線が一点に集中した。
アスランへと。
「……あ……」
アスランが戸惑いがちに立ち上がる。
「一応俺、だけど……」
「ア……ザラさんがトップ? お手合わせ願えますか?」
「俺は……」
「逃げるのか? アスラン」
同じく白兵戦においてイザークの上をいくディアッカが、怒りを露わにしながらアスランを見ている。普段はあまり切れることのないディアッカだが、今回はさすがに我慢できないらしい。
「手合わせしてやれよ。アカデミートップクラスの実力、見せてやれ」
そう言いながら、ディアッカが前に進み出てくる。
「お前がやらないんなら、俺がやるぞ?」
「私は一番の方と『肩慣らし』をしたいんですけど」
更に馬鹿にしたような言葉がサラの口から出てきて、ディアッカが爆発しそうになる。アスランは、これ以上事が悪化しては溜まらないと思ったのか、しぶしぶと前に出てきた。
「分かった。俺がやる」
合図と共に、イザークが先制攻撃を掛ける。
場合によっては寸止めで脅しておけば良い。そんな思いで甘いパンチを繰り出したイザークだったが、サラはそれを軽く交わす。流れるような綺麗な動きを目の当たりにし、イザークは瞬時に悟った。
――こいつ、強い……!
それは、その場にいた全ての少年達の心の声と同じ物。
自分達も経験を積んでいるから分かるのだ。ちょっとした動きで、相手の実力が。
イザークは気を取り直し、今度は本気で攻撃を仕掛ける。ボディーを狙ってのパンチを繰り出しながら、避けられることを計算に入れてすぐさま蹴りを放つ。それすらも軽々とかわすサラに回転しながらもう片方の足で蹴りを放つと、なんとサラはその足に手を置き、側転する形で軽々と避ける。
そのまま体を床に伏せると、イザークに足払いをかけた。
「うわっ!」
バランスを崩して倒れそうになるイザークのウェアを掴み、床に俯せる形に引き倒すと、片腕を後ろにねじり上げる。そして軽く手を振り上げ、イザークの背にナイフを突き立てる真似をして見せた。
「ジ・エンド」
鮮やかだった。今までのことは、試合が始まってから数秒の事。
「終了! 勝者、サラ・グレン」
あまりの速さに呆気にとられていたラスティだが、サラの声にすぐさま正気を取り戻し、試合終了を告げた。静まりかえった部屋に響くのはラスティの声のみ。
しばし、無言の時が続いた。
「ザフトの赤も、白兵戦ではこんな物なのね」
「く……っそぉ!!」
サラの小馬鹿にしたような言葉に、イザークが歯噛みする。
だが、反論することはできなかった。あまりにもあっけなく勝負が付いてしまったから。
決してイザークが弱いわけではない。多分サラが強いのだ。普通では考えられないくらいに。
「一つだけ言っておきますが」
サラがイザークの腕を離し、ゆっくりと立ち上がりながら言う。
「私が最も不得意なのが生身での戦闘です。入隊試験でも最も成績が悪く、上層部より懸念されていました」
「……っ!!」
サラ以外の者の目が大きく見開かれる。これだけの動きが出来ていたにも関わらず、成績が最も悪かったと言うことは、それ以外の能力は……?
「ジュールさん、貴方が赤を着ている中で最も白兵戦に優れているというのなら、ザフトも先が知れていると言うことになるわね」
「!!」
かつて、こんな屈辱を味わったことがあっただろうか。サラのその言葉は、イザークだけでなくその場にいた少年達にも大きな屈辱感を与えた。
確かに対人戦においては、イザークは赤の中では下の方の成績になる。だが決して弱いわけではないはずなのだ。成績としてはイザークより上に当たる者と、そう大した差は無いのだから。
「この中で最も白兵戦に強いのは誰? もしジュールさん以外の方だったら、せっかくだしお手合わせ願いたいんですけど」
サラの言葉に、一斉に皆の視線が一点に集中した。
アスランへと。
「……あ……」
アスランが戸惑いがちに立ち上がる。
「一応俺、だけど……」
「ア……ザラさんがトップ? お手合わせ願えますか?」
「俺は……」
「逃げるのか? アスラン」
同じく白兵戦においてイザークの上をいくディアッカが、怒りを露わにしながらアスランを見ている。普段はあまり切れることのないディアッカだが、今回はさすがに我慢できないらしい。
「手合わせしてやれよ。アカデミートップクラスの実力、見せてやれ」
そう言いながら、ディアッカが前に進み出てくる。
「お前がやらないんなら、俺がやるぞ?」
「私は一番の方と『肩慣らし』をしたいんですけど」
更に馬鹿にしたような言葉がサラの口から出てきて、ディアッカが爆発しそうになる。アスランは、これ以上事が悪化しては溜まらないと思ったのか、しぶしぶと前に出てきた。
「分かった。俺がやる」