指先のキス(イザーク)
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イザークと付き合うようになって半年。
普段は俺様のくせに、恋愛には疎いのか未だキスをしようともして来ない。何とか手を繋ぎ、社交場では腕を組む所までは出来ても、肩を抱いてくれた事すら無かった。
「何で手を出そうとしないのよ」
業を煮やし、ストレートに尋ねる。
どうやら本気で驚いたらしいイザークは、顔を真っ赤にしながら怒鳴ってきた。
「サラお前……っ! 女がそんなはしたない事を言うんじゃない!」
「はしたないもへったくれも無いわよ。そもそもイザークがヘタレなんじゃない。むしろ女にこんな事を言わせた自分を恥じなさいよね」
「恥ずかしいのはお前だ! 大体いつもお前は……」
「お前って呼ばれるのは嫌いってあれほど言ってあるでしょ!」
「きら……っ! だがおま……サラが恥知らずな事を言うからだろうが!」
そこまで言われてしまうと、さすがにカチンときてしまう。
「恥知らず、ですって?」
グイ、とイザークの胸ぐらを掴んで睨みつけた私は、鼻先が数センチのところまで顔を近付けて言った。
「好きな人とキスしたい、抱きしめられたいって思うのは恥ずかしい事なの?」
「それは……」
言葉を詰まらせるイザークに、追い討ちをかける。
「それともイザークは、本当は私の事なんて好きじゃ無いの? だったらもう別れて……」
そう言った時だった。
「違うっ!」
大声で言われ、思わず後ずさる。するとイザークは私の肩を掴み、真っ直ぐに見つめてきた。
「な、何? 違うってどういう事よ」
気圧されるわけにはいかないと、強がってみせる私にイザークが言う。
「俺はお前と別れる気は無いぞ」
「だったら……」
「キスをする気もない」
「……っ! 何でよ……そんなに私とキスするのが嫌なの?」
自分で言った言葉に傷付いたが、他に理由が思いつかなかった。
「やっぱり……私の事なんて……」
ポロリと涙が溢れるのを感じながら、私は目を伏せる。その時、イザークの手が私の肩から手の先へと移動したのに気付いた。
「……イザーク?」
「サラを泣かせたいわけじゃない。ただそう言う事はその……」
言い淀むイザークの言葉の続きを待つ。少しの間葛藤を見せていたイザークは意を決したのか、私の手を握ると自らの口元へと引き寄せた。
「お前の……サラの誕生日にしたいんだよ! 特別な日に特別な事をした方が、記憶に残るだろうが!」
怒鳴るように言うのは、照れているから。実際目の前のイザークの顔は真っ赤になっていた。
「イザーク……!」
思いもよらぬ言葉に、胸が一杯になった私の目からは更に涙が溢れる。それを見たイザークは、慌てたようにこう言った。
「もう泣くな! 涙なんて見たくないんだよ! だから……今はこれで我慢しておけ」
「……え?」
指が、熱い。
不意に与えられた指先のキスは、イザークの熱を優しく伝えてきた。
〜fin〜
普段は俺様のくせに、恋愛には疎いのか未だキスをしようともして来ない。何とか手を繋ぎ、社交場では腕を組む所までは出来ても、肩を抱いてくれた事すら無かった。
「何で手を出そうとしないのよ」
業を煮やし、ストレートに尋ねる。
どうやら本気で驚いたらしいイザークは、顔を真っ赤にしながら怒鳴ってきた。
「サラお前……っ! 女がそんなはしたない事を言うんじゃない!」
「はしたないもへったくれも無いわよ。そもそもイザークがヘタレなんじゃない。むしろ女にこんな事を言わせた自分を恥じなさいよね」
「恥ずかしいのはお前だ! 大体いつもお前は……」
「お前って呼ばれるのは嫌いってあれほど言ってあるでしょ!」
「きら……っ! だがおま……サラが恥知らずな事を言うからだろうが!」
そこまで言われてしまうと、さすがにカチンときてしまう。
「恥知らず、ですって?」
グイ、とイザークの胸ぐらを掴んで睨みつけた私は、鼻先が数センチのところまで顔を近付けて言った。
「好きな人とキスしたい、抱きしめられたいって思うのは恥ずかしい事なの?」
「それは……」
言葉を詰まらせるイザークに、追い討ちをかける。
「それともイザークは、本当は私の事なんて好きじゃ無いの? だったらもう別れて……」
そう言った時だった。
「違うっ!」
大声で言われ、思わず後ずさる。するとイザークは私の肩を掴み、真っ直ぐに見つめてきた。
「な、何? 違うってどういう事よ」
気圧されるわけにはいかないと、強がってみせる私にイザークが言う。
「俺はお前と別れる気は無いぞ」
「だったら……」
「キスをする気もない」
「……っ! 何でよ……そんなに私とキスするのが嫌なの?」
自分で言った言葉に傷付いたが、他に理由が思いつかなかった。
「やっぱり……私の事なんて……」
ポロリと涙が溢れるのを感じながら、私は目を伏せる。その時、イザークの手が私の肩から手の先へと移動したのに気付いた。
「……イザーク?」
「サラを泣かせたいわけじゃない。ただそう言う事はその……」
言い淀むイザークの言葉の続きを待つ。少しの間葛藤を見せていたイザークは意を決したのか、私の手を握ると自らの口元へと引き寄せた。
「お前の……サラの誕生日にしたいんだよ! 特別な日に特別な事をした方が、記憶に残るだろうが!」
怒鳴るように言うのは、照れているから。実際目の前のイザークの顔は真っ赤になっていた。
「イザーク……!」
思いもよらぬ言葉に、胸が一杯になった私の目からは更に涙が溢れる。それを見たイザークは、慌てたようにこう言った。
「もう泣くな! 涙なんて見たくないんだよ! だから……今はこれで我慢しておけ」
「……え?」
指が、熱い。
不意に与えられた指先のキスは、イザークの熱を優しく伝えてきた。
〜fin〜
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