ポケットの中に(アスラン)
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もうすぐ時間だと、待ち合わせの場所へと小走りに向かう。
時計の針は、あと5分で6時になるところだ。
ホワイトクリスマスにはならなかったが、風が吹けば身を縮こまらせる程度には冷え込んでいるため、彼女を待たせたくはない。
そう思っていたのだがーー。
「アスラン!」
既に到着していた彼女は、俺を見つけると嬉しそうに手を振って走り寄ってきた。
「待たせてすまない、サラ」
「ううん、私も今来たところだよ」
ニコリと笑って答えるサラに、良いタイミングだったんだなとホッとした俺だったが、何の気なしに握った彼女の手の冷たさに驚いた。
「サラ……本当は随分前から来てたんだろう?」
「え? そんな事……」
「嘘をつくなよ。こんなにも手が冷え切ってるじゃ無いか」
氷のように冷たくなった彼女の手をぎゅっと握り、少しでも温めようと試みる。その意味を理解したサラは少しはにかみながら「アスランの手、あったかい」と言うと、もう片方の手も差し出した。
嬉しそうに俺から暖をとるサラはとても可愛くて。愛おしさに、俺が守ってやらなければと心の底から思わされる。
「幸せってのは、こういう事を言うんだろうな」
思わずポロリと溢れた想い。
「なぁに? 突然」
「いや……何でもない」
「変なアスラン」
クスクスと笑うサラに、俺は更なる幸せを感じながら言った。
「あっちに車を停めてある。今夜は泊まりで良いんだろう?」
「……」
付き合い始めて半年。初めてのお泊まりだけに、恥ずかしそうに俯く姿も愛おしい。
思わず抱きしめたい衝動に駆られたが、ここは往来のど真ん中。ぐっと我慢した俺は彼女の手を握ったまま、自分のポケットの中にその手を引き込んだ。
「じゃあ行こうか」
「……はい」
向けられた花のような笑顔に俺も笑顔で答える。そして、熱を取り戻した彼女の手の温もりを感じながら、停めてある車の方へと並んで歩き始めたのだった。
〜fin〜
時計の針は、あと5分で6時になるところだ。
ホワイトクリスマスにはならなかったが、風が吹けば身を縮こまらせる程度には冷え込んでいるため、彼女を待たせたくはない。
そう思っていたのだがーー。
「アスラン!」
既に到着していた彼女は、俺を見つけると嬉しそうに手を振って走り寄ってきた。
「待たせてすまない、サラ」
「ううん、私も今来たところだよ」
ニコリと笑って答えるサラに、良いタイミングだったんだなとホッとした俺だったが、何の気なしに握った彼女の手の冷たさに驚いた。
「サラ……本当は随分前から来てたんだろう?」
「え? そんな事……」
「嘘をつくなよ。こんなにも手が冷え切ってるじゃ無いか」
氷のように冷たくなった彼女の手をぎゅっと握り、少しでも温めようと試みる。その意味を理解したサラは少しはにかみながら「アスランの手、あったかい」と言うと、もう片方の手も差し出した。
嬉しそうに俺から暖をとるサラはとても可愛くて。愛おしさに、俺が守ってやらなければと心の底から思わされる。
「幸せってのは、こういう事を言うんだろうな」
思わずポロリと溢れた想い。
「なぁに? 突然」
「いや……何でもない」
「変なアスラン」
クスクスと笑うサラに、俺は更なる幸せを感じながら言った。
「あっちに車を停めてある。今夜は泊まりで良いんだろう?」
「……」
付き合い始めて半年。初めてのお泊まりだけに、恥ずかしそうに俯く姿も愛おしい。
思わず抱きしめたい衝動に駆られたが、ここは往来のど真ん中。ぐっと我慢した俺は彼女の手を握ったまま、自分のポケットの中にその手を引き込んだ。
「じゃあ行こうか」
「……はい」
向けられた花のような笑顔に俺も笑顔で答える。そして、熱を取り戻した彼女の手の温もりを感じながら、停めてある車の方へと並んで歩き始めたのだった。
〜fin〜
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