祝いに驚きは付き物で(アスラン)
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第三幕 ザフト物語
ニコルから、サラに何かがあったと教えられた俺は、大急ぎで聖の部屋へと走っていた。
隊長室からすぐの所に、サラの部屋はある。
「サラ!」
俺は、息を切らしながらサラの部屋の扉を叩いた。
「サラ! いるのか? サラ! 何があった!?」
ドンドンと扉を叩き続けたが、中からは全く反応がない。
ひょっとして部屋にはいないのか? そうも思ったが、どうも中から人の気配が感じられる。
俺は思い切って、扉のスイッチを押してみた。
シュッ
鍵は閉められていなかったらしく、あっさりと開かれた。サラにしては不用心だと思いながら、そっと部屋に入ってみる。
「特に変わった様子はなさそうだけど……」
勝手知ったる他人の部屋とはよく言った物で、俺はサラの部屋を知り尽くしていた。
理由は明白。
つきあい始めてから、俺はいつもここに遊びに来ていたから。だって、俺の部屋だとルームメイトが居るわけで――。
とにかく俺は、ゆっくりと部屋の中を見渡した。そして部屋の奥へと歩を進めている内に、気付く。
「サラ……」
仕切で隠れた場所にあるベッドの上に、サラはいた。しかも何故か……。
「このドレスは?」
サラは、真っ白なドレスを身に纏い、眠りに就いていたのだ。いつも軍服か、動きやすいジーパンにシャツといったラフな姿しか見ていなかったため、思わずドキドキしてしまう。俺は早鐘のような鼓動を必死に押さえながら、そっとサラに近付いた。
規則正しい呼吸音が聞こえてくる。さっと全身を見てみたが、どこにも外傷らしきものは見あたらない。
要するに、サラは安眠中というわけで。ただ、おかしな事がいくつかあった。
「何でドレス姿で寝てるんだ? しかも……りんご?」
何故かサラの手には、真っ赤なりんごが一つ握りしめられていた。
よく見ると、そのりんごはかじりかけで。サラが食べていたのだろうか?
「食べてるうちに眠っちゃったって事か……ん?」
不意に気付く。そういえばこのシチュエーション昔、どこかで見聞きした事があるような――。
「りんごを食べて、眠ってて……ドレスを着てるって事は……」
――お姫様は、悪い魔女の毒りんごを食べてしまい、深い眠りに就いてしまいました。
「スノーホワイト!?」
思い出し、呆気にとられてしまう。
あれは、絵本の中の物語だったのではないのか? だが現にサラは、こうしてりんごを食べて眠ってしまっているとしか考えられないわけで……。
「サラ?」
まさかと思いながらも、俺はサラに声をかけてみた。
「サラ、起きろよ。冗談が過ぎるぞ? サラ」
軽く揺らしてみるが、サラは眠ったまま。まさか、本当にこれは毒りんご……?
頭の中が真っ白になる。もし本当なら、俺はどうすればいい? どうしたらサラをこの眠りから覚ますことが出来る?
――お姫様は、王子様のキスで目を覚ましたのでした。
そういえば、絵本で見た結末は……!
ゆっくりと顔を近付ける。閉じられた目に俺の姿は映らない。その事実は、何故か無性に寂しく感じられた。
「サラ、もう起きる時間だよ?」
額の髪をかき上げて額にキスをする。
そう、俺達はまだそこまでの関係だったから。手を繋いで、頬や額にキスをして。そこまでの清い関係。
でも……サラは目を覚まさない。
「サラ、起きて?」
何としてでも目を覚まさせたい。俺は、とうとう覚悟を決めた。
「サラ……」
初めて触れた唇は、とても柔らかくて、温かくて――。
「ア……スラン……」
目を覚ましたサラの俺を呼ぶ声と、吐息が甘かった。
「サラ……っ!!」
サラの瞳に、俺の姿が映っている。頬を赤く染め、潤んだような瞳で俺を見上げているサラは、これ以上ないくらいに扇情的だった。
「アスラン……きゃ……っ!?」
気が付いたら俺は、サラを抱きしめていた。まだ横になっていたサラを、自分でも驚くくらいに力強く、自分の腕の中に引っ張り込んで。驚きのあまりじたばたと暴れているサラにもお構いなしに。
「アスラン! 放してよ~! 苦しいから……」
「良かった……」
「え?」
「このまま起きてくれなかったらどうしようって思った」
「アスラン……ごめんね?」
俺の言葉に、本当に申し訳なさそうに謝るサラ。その声がまた可愛くて、頼り無さげで。
「……許さないよ」
つい意地悪がしたくなる。子供っぽいと笑われてしまいそうだが、好きだからこそ苛めたいという気持ちがむくむくと沸いてきてしまった。
「ア、アスラン?」
「ちゃんとお詫びしてくれなきゃ、許さない」
「お詫びって、何を」
「そうだな、やっぱり……」
「……っ!」
俺は笑みを浮かべると、先ほど触れた柔らかな場所に自分の唇を再び重ねた。
驚いて固まってしまったサラの緊張をほぐすため、啄むように軽く、優しく。何度も触れている内に、力は抜けてくる。その瞬間を逃さず、俺はサラの口内へと舌を差し入れた。
「……んっ!」
サラの舌に触れた瞬間、漏れ聞こえる甘い声。それは、俺の心も体もとろかすようで――。
サラの必死の抵抗を物ともせず、俺はじっくりとサラを堪能した。
ようやく満足して唇を放すと、顔を真っ赤にして怒っているサラ。
「ア……ア……ア、アスランのばかぁっ!!」
半泣き状態でサラが叫ぶ。
「俺に心配をかけたお詫び、だよ。このくらいなら安いもんじゃないか」
俺は余裕の笑みを浮かべながら言った。
だって俺達、恋人同士なんだから。いつかは来ると思っていた日が今来ただけのことじゃないか。
好きだから、触れたい。
好きだから、確かめたい。
極当たり前の感情。
だが――。
ふるふるふる
サラは、必死に頭を横に振っている。
「サラ?」
その姿に、俺は不安になってしまう。
ひょっとしてサラは嫌だったのだろうか? 俺に触れられることが……いや、俺自身が?
「サラ……俺の事、嫌い?」
「そうじゃないの! あ、あそこ……っ!!」
ニコルから、サラに何かがあったと教えられた俺は、大急ぎで聖の部屋へと走っていた。
隊長室からすぐの所に、サラの部屋はある。
「サラ!」
俺は、息を切らしながらサラの部屋の扉を叩いた。
「サラ! いるのか? サラ! 何があった!?」
ドンドンと扉を叩き続けたが、中からは全く反応がない。
ひょっとして部屋にはいないのか? そうも思ったが、どうも中から人の気配が感じられる。
俺は思い切って、扉のスイッチを押してみた。
シュッ
鍵は閉められていなかったらしく、あっさりと開かれた。サラにしては不用心だと思いながら、そっと部屋に入ってみる。
「特に変わった様子はなさそうだけど……」
勝手知ったる他人の部屋とはよく言った物で、俺はサラの部屋を知り尽くしていた。
理由は明白。
つきあい始めてから、俺はいつもここに遊びに来ていたから。だって、俺の部屋だとルームメイトが居るわけで――。
とにかく俺は、ゆっくりと部屋の中を見渡した。そして部屋の奥へと歩を進めている内に、気付く。
「サラ……」
仕切で隠れた場所にあるベッドの上に、サラはいた。しかも何故か……。
「このドレスは?」
サラは、真っ白なドレスを身に纏い、眠りに就いていたのだ。いつも軍服か、動きやすいジーパンにシャツといったラフな姿しか見ていなかったため、思わずドキドキしてしまう。俺は早鐘のような鼓動を必死に押さえながら、そっとサラに近付いた。
規則正しい呼吸音が聞こえてくる。さっと全身を見てみたが、どこにも外傷らしきものは見あたらない。
要するに、サラは安眠中というわけで。ただ、おかしな事がいくつかあった。
「何でドレス姿で寝てるんだ? しかも……りんご?」
何故かサラの手には、真っ赤なりんごが一つ握りしめられていた。
よく見ると、そのりんごはかじりかけで。サラが食べていたのだろうか?
「食べてるうちに眠っちゃったって事か……ん?」
不意に気付く。そういえばこのシチュエーション昔、どこかで見聞きした事があるような――。
「りんごを食べて、眠ってて……ドレスを着てるって事は……」
――お姫様は、悪い魔女の毒りんごを食べてしまい、深い眠りに就いてしまいました。
「スノーホワイト!?」
思い出し、呆気にとられてしまう。
あれは、絵本の中の物語だったのではないのか? だが現にサラは、こうしてりんごを食べて眠ってしまっているとしか考えられないわけで……。
「サラ?」
まさかと思いながらも、俺はサラに声をかけてみた。
「サラ、起きろよ。冗談が過ぎるぞ? サラ」
軽く揺らしてみるが、サラは眠ったまま。まさか、本当にこれは毒りんご……?
頭の中が真っ白になる。もし本当なら、俺はどうすればいい? どうしたらサラをこの眠りから覚ますことが出来る?
――お姫様は、王子様のキスで目を覚ましたのでした。
そういえば、絵本で見た結末は……!
ゆっくりと顔を近付ける。閉じられた目に俺の姿は映らない。その事実は、何故か無性に寂しく感じられた。
「サラ、もう起きる時間だよ?」
額の髪をかき上げて額にキスをする。
そう、俺達はまだそこまでの関係だったから。手を繋いで、頬や額にキスをして。そこまでの清い関係。
でも……サラは目を覚まさない。
「サラ、起きて?」
何としてでも目を覚まさせたい。俺は、とうとう覚悟を決めた。
「サラ……」
初めて触れた唇は、とても柔らかくて、温かくて――。
「ア……スラン……」
目を覚ましたサラの俺を呼ぶ声と、吐息が甘かった。
「サラ……っ!!」
サラの瞳に、俺の姿が映っている。頬を赤く染め、潤んだような瞳で俺を見上げているサラは、これ以上ないくらいに扇情的だった。
「アスラン……きゃ……っ!?」
気が付いたら俺は、サラを抱きしめていた。まだ横になっていたサラを、自分でも驚くくらいに力強く、自分の腕の中に引っ張り込んで。驚きのあまりじたばたと暴れているサラにもお構いなしに。
「アスラン! 放してよ~! 苦しいから……」
「良かった……」
「え?」
「このまま起きてくれなかったらどうしようって思った」
「アスラン……ごめんね?」
俺の言葉に、本当に申し訳なさそうに謝るサラ。その声がまた可愛くて、頼り無さげで。
「……許さないよ」
つい意地悪がしたくなる。子供っぽいと笑われてしまいそうだが、好きだからこそ苛めたいという気持ちがむくむくと沸いてきてしまった。
「ア、アスラン?」
「ちゃんとお詫びしてくれなきゃ、許さない」
「お詫びって、何を」
「そうだな、やっぱり……」
「……っ!」
俺は笑みを浮かべると、先ほど触れた柔らかな場所に自分の唇を再び重ねた。
驚いて固まってしまったサラの緊張をほぐすため、啄むように軽く、優しく。何度も触れている内に、力は抜けてくる。その瞬間を逃さず、俺はサラの口内へと舌を差し入れた。
「……んっ!」
サラの舌に触れた瞬間、漏れ聞こえる甘い声。それは、俺の心も体もとろかすようで――。
サラの必死の抵抗を物ともせず、俺はじっくりとサラを堪能した。
ようやく満足して唇を放すと、顔を真っ赤にして怒っているサラ。
「ア……ア……ア、アスランのばかぁっ!!」
半泣き状態でサラが叫ぶ。
「俺に心配をかけたお詫び、だよ。このくらいなら安いもんじゃないか」
俺は余裕の笑みを浮かべながら言った。
だって俺達、恋人同士なんだから。いつかは来ると思っていた日が今来ただけのことじゃないか。
好きだから、触れたい。
好きだから、確かめたい。
極当たり前の感情。
だが――。
ふるふるふる
サラは、必死に頭を横に振っている。
「サラ?」
その姿に、俺は不安になってしまう。
ひょっとしてサラは嫌だったのだろうか? 俺に触れられることが……いや、俺自身が?
「サラ……俺の事、嫌い?」
「そうじゃないの! あ、あそこ……っ!!」