刻まれた想い(キラ)
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「嘘だっ! そんなの嘘だっ! 」
「キラ!」
頭を抱えてしゃがみ込む僕に、トールが手をさしのべてくる。その手をはらいのけ、僕は叫んだ。
「そんなはずない! サラが死ぬなんて……サラが死んだなんて証拠、どこにもないじゃないか!」
「あんな大きな瓦礫の下敷きになって、生きていられるはずがないんだよ……それに証拠は……」
「そんな……そんなのって……っ!」
「本当なら、サラは死ななくて済んだはずなんだ。たまたま近くを通りかかった子供を助けようとさえしなければ……」
心優しいサラは、落ちてくる瓦礫の真下にいた子供を突き飛ばし、身代わりになってしまったと言うことだった。
優しさが仇になる。こんなことがあってもいいものなのか?
「サラ……っ!!」
涙が溢れ出てくる。
まだ認めてなどいないはずなのに。
サラが死んだ、なんて。
「何処?」
「え?」
「サラは何処!? 僕、確かめに行ってくる!」
「無理だよ! あそこはもう墜ちてしまってて……だから……」
「僕は信じない! 信じるもんかっ!」
「キラ!」
なりふり構わず駆け出そうとする僕を制止したのは……ミリアリアだった。
「キラ……貴方の気持ちはよく分かるわ。彼女は私の親友だったんだもの。私だって信じたくない。何かの間違いであって欲しいと思ってる。でも……駄目なの……」
「ミリィ?」
「私の手の中で、彼女は冷たくなっていったの。痛くて苦しかったはずなのに……『早く逃げて』って私達のことを気遣ってくれて……笑顔で……」
「――っ!!」
ミリィの目に浮かぶ涙は、この話が嘘ではないと言うことを如実に表していて。どんなに嘘であって欲しいと願っても、それは叶わぬ願いだと言うことをひしひしと感じた。
「伝言……預かった」
トールにひしとしがみつき、体全体を震わせながら嗚咽を堪えているミリィ。彼女が絞り出すように言った言葉は、更に僕の涙を誘うこととなる。
「サラが……最期に言った言葉は……」
「ミリィ……お……願いが、あるの……」
「サラ! しゃべらないで! すぐに助けを呼んでくるから! お願いだから……」
「ごめ……ミリィ……伝えて……トリィの羽根の裏……黙ってき……ず付けて……ごめ……て……」
「トリィの羽根の裏?」
「キラ、に……大切な友達を思い……出すときに……ついでで良いから思い出……して……欲し……」
「サラ!」
「忘れな……で……くれる……かな……私を……」
「サラ?」
「もっと……一緒、に……」
「サラ~~っ!!!」
「トリィの羽根の裏……」
ミリィの言葉に、僕は懐に抱いていたトリィを出し、そっと羽根をめくってみる。よく見ると、内側の羽根の部分に小さな傷跡があった。
そこに書かれていたのは――。
『I want to be side』
「口にはしなかったけど、サラ……キラが好きだったんだね。きっと……」
縋り付いて泣いているミリィを抱きしめながら、トールが言った。
「サラが……僕を好き?」
「ミリィに言った言葉とその文字が、全てを語ってる」
トリィに刻まれた文字をなぞる。
多分先日メンテを頼んだときに思いついたのだろう。僕に忘れられたくないから、と刻まれた小さな文字には、大きな想いが込められていて。
「サラ……」
トリィをひしと抱きしめた僕の脳裏には、ただ一人の姿しかなかった。
――ごめん、アスラン。今だけは君のことを忘れさせて。僕を想って……僕が想った人のことだけを考えさせて。
「サラ……ずっと一緒だよ。ずっと……」
僕は、ただひたすらに涙を流し続けた。
気を失っていた軍の女性が目を覚ます、その瞬間まで――。
~END~
「キラ!」
頭を抱えてしゃがみ込む僕に、トールが手をさしのべてくる。その手をはらいのけ、僕は叫んだ。
「そんなはずない! サラが死ぬなんて……サラが死んだなんて証拠、どこにもないじゃないか!」
「あんな大きな瓦礫の下敷きになって、生きていられるはずがないんだよ……それに証拠は……」
「そんな……そんなのって……っ!」
「本当なら、サラは死ななくて済んだはずなんだ。たまたま近くを通りかかった子供を助けようとさえしなければ……」
心優しいサラは、落ちてくる瓦礫の真下にいた子供を突き飛ばし、身代わりになってしまったと言うことだった。
優しさが仇になる。こんなことがあってもいいものなのか?
「サラ……っ!!」
涙が溢れ出てくる。
まだ認めてなどいないはずなのに。
サラが死んだ、なんて。
「何処?」
「え?」
「サラは何処!? 僕、確かめに行ってくる!」
「無理だよ! あそこはもう墜ちてしまってて……だから……」
「僕は信じない! 信じるもんかっ!」
「キラ!」
なりふり構わず駆け出そうとする僕を制止したのは……ミリアリアだった。
「キラ……貴方の気持ちはよく分かるわ。彼女は私の親友だったんだもの。私だって信じたくない。何かの間違いであって欲しいと思ってる。でも……駄目なの……」
「ミリィ?」
「私の手の中で、彼女は冷たくなっていったの。痛くて苦しかったはずなのに……『早く逃げて』って私達のことを気遣ってくれて……笑顔で……」
「――っ!!」
ミリィの目に浮かぶ涙は、この話が嘘ではないと言うことを如実に表していて。どんなに嘘であって欲しいと願っても、それは叶わぬ願いだと言うことをひしひしと感じた。
「伝言……預かった」
トールにひしとしがみつき、体全体を震わせながら嗚咽を堪えているミリィ。彼女が絞り出すように言った言葉は、更に僕の涙を誘うこととなる。
「サラが……最期に言った言葉は……」
「ミリィ……お……願いが、あるの……」
「サラ! しゃべらないで! すぐに助けを呼んでくるから! お願いだから……」
「ごめ……ミリィ……伝えて……トリィの羽根の裏……黙ってき……ず付けて……ごめ……て……」
「トリィの羽根の裏?」
「キラ、に……大切な友達を思い……出すときに……ついでで良いから思い出……して……欲し……」
「サラ!」
「忘れな……で……くれる……かな……私を……」
「サラ?」
「もっと……一緒、に……」
「サラ~~っ!!!」
「トリィの羽根の裏……」
ミリィの言葉に、僕は懐に抱いていたトリィを出し、そっと羽根をめくってみる。よく見ると、内側の羽根の部分に小さな傷跡があった。
そこに書かれていたのは――。
『I want to be side』
「口にはしなかったけど、サラ……キラが好きだったんだね。きっと……」
縋り付いて泣いているミリィを抱きしめながら、トールが言った。
「サラが……僕を好き?」
「ミリィに言った言葉とその文字が、全てを語ってる」
トリィに刻まれた文字をなぞる。
多分先日メンテを頼んだときに思いついたのだろう。僕に忘れられたくないから、と刻まれた小さな文字には、大きな想いが込められていて。
「サラ……」
トリィをひしと抱きしめた僕の脳裏には、ただ一人の姿しかなかった。
――ごめん、アスラン。今だけは君のことを忘れさせて。僕を想って……僕が想った人のことだけを考えさせて。
「サラ……ずっと一緒だよ。ずっと……」
僕は、ただひたすらに涙を流し続けた。
気を失っていた軍の女性が目を覚ます、その瞬間まで――。
~END~
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