この想いは罪ですか?(キラ)
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銃が手に握られた時には、既に私の手が男の額に触れている。
「どうして私が血のマリアと呼ばれるか知ってた?」
「う……あ……」
ホルスターから銃を抜き取る事の出来ぬまま、男は蒼白になった。
「ふ~ん、それくらいは知ってたのね。でもまだ見たことはないでしょ? 良かったわね。自らの体で体験できるわよ」
私の顔に浮かぶのは、笑み。この時の私の笑顔を見た者は、皆口を揃えて言う。
「まるで聖母マリアのような微笑みだ」
と。慈愛に満ちあふれた、優しい微笑みだと。
そして、喜びと恐怖で涙を流しながら絶命するのだ。全身から血の涙を流しながら。
初めてこの笑顔を見せて以来、私のコードネームは【血のマリア】となった。本当はこの笑顔が、私の精神をギリギリ保たせるための虚勢に過ぎないと言うことを、どれだけの人間が気付いているのかは知らないが。
私の左手の小指の爪には、とある薬品が仕込まれている。
決まった角度で触れることで注入されるようになっていたその薬品は、同時に私の『気』を送ることで、様々な結果をもたらすことが出来た。
薬がほんの少しなら、精神を鎮める安定剤のような働きをする。しかし少しでも量が多いと、心身共に影響が出てくるのだ。
その結果が……血の涙。
「こんな薬さえ作らなければ、私は本当のマリアになれていたのかしら……?」
一人でも多くの人を救いたくて、始めた薬の研究。元々得意分野でもあったため、そう時間もかからず私の能力は認められた。でも施設が整っているから、と誘われたザフトで研究させられたのは、全てが戦争の為のもので。
新しい薬が出来るたびに組織内での扱いはあからさまに良くなっていったが、反比例して自分の心は壊れていっていた。
更に、遺伝子操作によって偶然生まれた『気』を操るという特異能力を持っていたせいで、ますます私の存在は重宝がられるようになってしまい……もう何もかもがどうでもよくなって、気が付けば自らの生み出した薬と能力で、上層部に言われるがままに多くの命を奪っていた。
「救うための研究をしようとしてたのに、殺めることしか出来ないなんてね」
皮肉な笑みを浮かべる私の目には、一滴の涙も無い。
ーーその時だった。
ドンッ!
不意に空気が大きく震えた。
「お前……も……道連れ、に……」
最後の力を振り絞り、呪いの言葉を吐く男。
いつの間にか血の海に立ちすくむ形となっていた自分に気付き、自嘲の笑みを浮かべる。
「あれだけたくさんの人の命を奪ったのに、まだ自分は生き延びたいだなんて……やっぱり虫の良すぎる話よね」
お腹の辺りが熱かった。それなのに不思議と痛みは感じない。
そっと手で触れてみると、左手の小指の爪が気にならないほどの紅。硝煙の匂いが鼻を突く。
「キラ……」
無意識に呟いた言葉。
「キラ……キ……」
意識が遠のき始めていた。頭の中にあるのは、ただその名前だけ。
「キラ……」
バシャリ、と派手な音が聞こえた。頽れるように倒れた自分の体が、床の血をはじき飛ばした音。血の色と血の匂いに包まれているのが分かる。
「血のマリアにふさわしい……最期……ね……」
もう、考えることすら億劫になっている。
「最期にもう一度だけ……キラに……」
「サラっ!!」
遠くで私を呼ぶ声が聞こえた。人は死ぬときに、過去を走馬燈のように見ると聞くけれど……私には幻聴が聞こえるようだ。
キラの声が聞こえるなんて……ううん、幻聴でも良い。キラの声が聞けた。それだけでも私は……救われる。
「サラ! しっかりするんだ、サラ!!」
「キ……ラ……?」
力強い腕の感触に、私は苦しい息の中、無理矢理目をこじ開ける。視界に入ったのは、紛れもなくキラ本人。
「キラ……どうし、て……」
「サラが心配で……あの後僕も救護室に行ってみたら君はいないし、探していたら突然銃声は聞こえるし……何でこんな……」
「ごめ、ね……心配か、けて……ごほっ! でももうこ……れで……終わる……」
血が逆流してくる。
せっかくキラが目の前にいるのに。最期の最後でカミサマがくれた、小さな幸せなのに。
苦しくて言葉が紡げない。
「キ……ごほごほっ!」
「しゃべらないで! お願いだから……死なないでよ、サラ! 死なせない……絶対死なせるもんか!!」
キラが私を抱き上げ、勢いよく走り出す。嬉しいはずなのに、何故かキラの体温が感じられなくて寂しかった。
キラに抱き上げられるのは二度目だな……そんな事を考えながら、キラの腕の中、私の意識は混濁の渦へと巻き込まれていった。
「どうして私が血のマリアと呼ばれるか知ってた?」
「う……あ……」
ホルスターから銃を抜き取る事の出来ぬまま、男は蒼白になった。
「ふ~ん、それくらいは知ってたのね。でもまだ見たことはないでしょ? 良かったわね。自らの体で体験できるわよ」
私の顔に浮かぶのは、笑み。この時の私の笑顔を見た者は、皆口を揃えて言う。
「まるで聖母マリアのような微笑みだ」
と。慈愛に満ちあふれた、優しい微笑みだと。
そして、喜びと恐怖で涙を流しながら絶命するのだ。全身から血の涙を流しながら。
初めてこの笑顔を見せて以来、私のコードネームは【血のマリア】となった。本当はこの笑顔が、私の精神をギリギリ保たせるための虚勢に過ぎないと言うことを、どれだけの人間が気付いているのかは知らないが。
私の左手の小指の爪には、とある薬品が仕込まれている。
決まった角度で触れることで注入されるようになっていたその薬品は、同時に私の『気』を送ることで、様々な結果をもたらすことが出来た。
薬がほんの少しなら、精神を鎮める安定剤のような働きをする。しかし少しでも量が多いと、心身共に影響が出てくるのだ。
その結果が……血の涙。
「こんな薬さえ作らなければ、私は本当のマリアになれていたのかしら……?」
一人でも多くの人を救いたくて、始めた薬の研究。元々得意分野でもあったため、そう時間もかからず私の能力は認められた。でも施設が整っているから、と誘われたザフトで研究させられたのは、全てが戦争の為のもので。
新しい薬が出来るたびに組織内での扱いはあからさまに良くなっていったが、反比例して自分の心は壊れていっていた。
更に、遺伝子操作によって偶然生まれた『気』を操るという特異能力を持っていたせいで、ますます私の存在は重宝がられるようになってしまい……もう何もかもがどうでもよくなって、気が付けば自らの生み出した薬と能力で、上層部に言われるがままに多くの命を奪っていた。
「救うための研究をしようとしてたのに、殺めることしか出来ないなんてね」
皮肉な笑みを浮かべる私の目には、一滴の涙も無い。
ーーその時だった。
ドンッ!
不意に空気が大きく震えた。
「お前……も……道連れ、に……」
最後の力を振り絞り、呪いの言葉を吐く男。
いつの間にか血の海に立ちすくむ形となっていた自分に気付き、自嘲の笑みを浮かべる。
「あれだけたくさんの人の命を奪ったのに、まだ自分は生き延びたいだなんて……やっぱり虫の良すぎる話よね」
お腹の辺りが熱かった。それなのに不思議と痛みは感じない。
そっと手で触れてみると、左手の小指の爪が気にならないほどの紅。硝煙の匂いが鼻を突く。
「キラ……」
無意識に呟いた言葉。
「キラ……キ……」
意識が遠のき始めていた。頭の中にあるのは、ただその名前だけ。
「キラ……」
バシャリ、と派手な音が聞こえた。頽れるように倒れた自分の体が、床の血をはじき飛ばした音。血の色と血の匂いに包まれているのが分かる。
「血のマリアにふさわしい……最期……ね……」
もう、考えることすら億劫になっている。
「最期にもう一度だけ……キラに……」
「サラっ!!」
遠くで私を呼ぶ声が聞こえた。人は死ぬときに、過去を走馬燈のように見ると聞くけれど……私には幻聴が聞こえるようだ。
キラの声が聞こえるなんて……ううん、幻聴でも良い。キラの声が聞けた。それだけでも私は……救われる。
「サラ! しっかりするんだ、サラ!!」
「キ……ラ……?」
力強い腕の感触に、私は苦しい息の中、無理矢理目をこじ開ける。視界に入ったのは、紛れもなくキラ本人。
「キラ……どうし、て……」
「サラが心配で……あの後僕も救護室に行ってみたら君はいないし、探していたら突然銃声は聞こえるし……何でこんな……」
「ごめ、ね……心配か、けて……ごほっ! でももうこ……れで……終わる……」
血が逆流してくる。
せっかくキラが目の前にいるのに。最期の最後でカミサマがくれた、小さな幸せなのに。
苦しくて言葉が紡げない。
「キ……ごほごほっ!」
「しゃべらないで! お願いだから……死なないでよ、サラ! 死なせない……絶対死なせるもんか!!」
キラが私を抱き上げ、勢いよく走り出す。嬉しいはずなのに、何故かキラの体温が感じられなくて寂しかった。
キラに抱き上げられるのは二度目だな……そんな事を考えながら、キラの腕の中、私の意識は混濁の渦へと巻き込まれていった。
