合わせ鏡(イザーク)
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屋敷を出て、車の所まで戻るとシートをはずす。そこにあったのは、小型の爆弾と灯油。
サラはそれらを担ぐと、手際よく屋敷の周りに設置していった。
「手伝え」
無言で見つめていた俺に、残りの爆弾を手渡してくる。
全てを設置し終えると、俺にジープを運転させながら、サラは最後まで後部座席に残っていたバズーカを放った。あっと言う間に炎に包まれる屋敷は、暗い空を赤々と照らし出す。
「任務……かんりょ……う……」
絞り出すような声と同時に頽れるサラ。
「おい! サラ!!」
俺は安全なところまで車を走らせると、車を止めてサラを抱き上げた。
「サラ! しっかりしろ!! サラ!!」
「お疲れさん、イザーク……結構きついだろ? この任務……」
心配されるはずのサラが、ぼろぼろになりながら俺に労いの言葉をかける。胸を締め付けるような笑顔を浮かべながら。
「馬鹿野郎! きついのは貴様だろうが!」
「私は……もう慣れてるから……」
「慣れてるなら何故倒れる! 何故……!!」
「すまない……もっと私に力があったら、あの子達を助けてやれたかもしれない……イザークにもこんな思いをさせなくて良かったかもしれない……ほんとに……すまない……」
その時になって、やっと気付いた。
あの時の能面のような顔。あれは、泣くのを我慢していたのだと。その証拠に、今のサラの瞳からは、止まることを知らないかのように涙が溢れ出ている。
「そんな辛そうな顔をしながら謝るな! 貴様に謝られる筋合いなどない! 俺は、上から命令を受けただけだ。お前には関係ない」
「ごめん……ごめんなさい……」
無意識なのかもしれないが、サラの手は俺の服を強く握りしめていた。まるで縋るかのように。
「サラ……」
気が付けば、俺はサラを抱きしめていた。
同時に気付く。
こんなにも細くて小さい体で、あの辛い任務をこなしたのかと。今まで我慢してきたのかと。
「サラ、一人で抱え込むな。目の前にパートナーがいるんだ。俺にも分けろ」
「イザ……ク……」
「俺だってこの任務を与えられているんだ。サラにばかり、良い格好をさせられるか!」
「イザーク……」
驚いた表情で俺を見上げていたサラだったが、俺の言葉に安心したのか、そっと頭を俺の胸に頭を付け、
「ありがとう」
と小さく呟いた。やがて漏れ聞こえてくる嗚咽。
それから暫く、サラが泣きやむことはなかった。
次の日クルーゼ隊長に呼び出された俺は、心臓を鷲掴みにされるかのような衝撃を受けることとなる。
「サラが……投獄!?」
信じられない言葉に、俺は呆気にとられた。
昨日から、こう立て続けに驚くことばかり続くと、感覚も麻痺して良いはずなのに……ひっきりなしに俺を襲う驚きは、それを許してはくれないようで。
「先ほど上からそう連絡が入った。どうやら反乱を起こしたらしい。昨夜の任務報告の席で、上の者数人を殺したそうだ」
「な……っ!」
「即刻処刑という話も出たのだが、彼女の腕はかなりのものだ。殺すのは惜しいという話も出ている。そこでだ、イザーク。彼女を説得してみてはくれまいか?」
「俺が……ですか?」
「そうだ。共に任務をこなした君なら、分かってくれるかもしれん」
「……サラは何故、反乱を起こしたのでしょう」
たった一度共に任務をこなしただけの相方。そんな俺にこんな話が来ると言うことは、おそらく――。
「それは、君が一番よく分かっているのではないかね?」
決定的だった。
昨日の事は、全て上には筒抜けらしい。サラは、ザフトに疑問、または反逆心を抱いている。そう認識されたのだ。
「一つだけ聞かせてください。隊長」
「何だね?」
「俺は、サラの監視役として適任だと判断されたのですか?」
「否定はせんよ。君はフユツキがこの任務について初めて心を開いた相手だ。奴は今まで、どんな人間とも接触せず、顔を合わせても話をしなかった。それに君は、任務に忠実だからな」
「……分かりました。話をしてきます」
俺はこの話を引き受けた。
「頼んだぞ、イザーク。それと……」
サラはそれらを担ぐと、手際よく屋敷の周りに設置していった。
「手伝え」
無言で見つめていた俺に、残りの爆弾を手渡してくる。
全てを設置し終えると、俺にジープを運転させながら、サラは最後まで後部座席に残っていたバズーカを放った。あっと言う間に炎に包まれる屋敷は、暗い空を赤々と照らし出す。
「任務……かんりょ……う……」
絞り出すような声と同時に頽れるサラ。
「おい! サラ!!」
俺は安全なところまで車を走らせると、車を止めてサラを抱き上げた。
「サラ! しっかりしろ!! サラ!!」
「お疲れさん、イザーク……結構きついだろ? この任務……」
心配されるはずのサラが、ぼろぼろになりながら俺に労いの言葉をかける。胸を締め付けるような笑顔を浮かべながら。
「馬鹿野郎! きついのは貴様だろうが!」
「私は……もう慣れてるから……」
「慣れてるなら何故倒れる! 何故……!!」
「すまない……もっと私に力があったら、あの子達を助けてやれたかもしれない……イザークにもこんな思いをさせなくて良かったかもしれない……ほんとに……すまない……」
その時になって、やっと気付いた。
あの時の能面のような顔。あれは、泣くのを我慢していたのだと。その証拠に、今のサラの瞳からは、止まることを知らないかのように涙が溢れ出ている。
「そんな辛そうな顔をしながら謝るな! 貴様に謝られる筋合いなどない! 俺は、上から命令を受けただけだ。お前には関係ない」
「ごめん……ごめんなさい……」
無意識なのかもしれないが、サラの手は俺の服を強く握りしめていた。まるで縋るかのように。
「サラ……」
気が付けば、俺はサラを抱きしめていた。
同時に気付く。
こんなにも細くて小さい体で、あの辛い任務をこなしたのかと。今まで我慢してきたのかと。
「サラ、一人で抱え込むな。目の前にパートナーがいるんだ。俺にも分けろ」
「イザ……ク……」
「俺だってこの任務を与えられているんだ。サラにばかり、良い格好をさせられるか!」
「イザーク……」
驚いた表情で俺を見上げていたサラだったが、俺の言葉に安心したのか、そっと頭を俺の胸に頭を付け、
「ありがとう」
と小さく呟いた。やがて漏れ聞こえてくる嗚咽。
それから暫く、サラが泣きやむことはなかった。
次の日クルーゼ隊長に呼び出された俺は、心臓を鷲掴みにされるかのような衝撃を受けることとなる。
「サラが……投獄!?」
信じられない言葉に、俺は呆気にとられた。
昨日から、こう立て続けに驚くことばかり続くと、感覚も麻痺して良いはずなのに……ひっきりなしに俺を襲う驚きは、それを許してはくれないようで。
「先ほど上からそう連絡が入った。どうやら反乱を起こしたらしい。昨夜の任務報告の席で、上の者数人を殺したそうだ」
「な……っ!」
「即刻処刑という話も出たのだが、彼女の腕はかなりのものだ。殺すのは惜しいという話も出ている。そこでだ、イザーク。彼女を説得してみてはくれまいか?」
「俺が……ですか?」
「そうだ。共に任務をこなした君なら、分かってくれるかもしれん」
「……サラは何故、反乱を起こしたのでしょう」
たった一度共に任務をこなしただけの相方。そんな俺にこんな話が来ると言うことは、おそらく――。
「それは、君が一番よく分かっているのではないかね?」
決定的だった。
昨日の事は、全て上には筒抜けらしい。サラは、ザフトに疑問、または反逆心を抱いている。そう認識されたのだ。
「一つだけ聞かせてください。隊長」
「何だね?」
「俺は、サラの監視役として適任だと判断されたのですか?」
「否定はせんよ。君はフユツキがこの任務について初めて心を開いた相手だ。奴は今まで、どんな人間とも接触せず、顔を合わせても話をしなかった。それに君は、任務に忠実だからな」
「……分かりました。話をしてきます」
俺はこの話を引き受けた。
「頼んだぞ、イザーク。それと……」
