合わせ鏡(イザーク)
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しかしどんなにインパクトの強い物が存在していても、毎日新しい変化が起これば忘れていくもの。ここのところの戦闘は激しく、俺自身も何度も煮え湯を飲まされていた為、何だかんだですっかりとあのフユツキの存在など忘れてしまっていた。
思い通りに事が運ばない事へのいらだちと、仲間を一人、また一人と失っていく焦燥感。
ニコル、ラスティ、ミゲル……オロールもいない。アスランとディアッカに関しては、生きているのかどうかすら分からない状況。
あいつらの分まで、俺がやらなきゃいけない。カタキは絶対に俺がとる……!
口にはしないが、密かに心の中で誓っていた。
「イザーク!」
いつも通りに朝礼を終えて部屋を出ようとした俺は、クルーゼ隊長に呼び止められた。
「はっ! 何かご用でしょうか。隊長」
「君に話がある。これからすぐ私の部屋に来られるか?」
「私に……ですか? 構いませんが……」
俺は、隊長の能力は認めている。確かに軍人としては尊敬できる人物だ。しかしここ最近の隊長の行動にはどうも不審な点が多すぎて気になっていた。
例えば、ナチュラルのあの女。フレイとかいう女を攫ってきた上、連れ回している。
女子供とはいえ、敵なのだから監禁しておくべきではないかと進言したこともあったが、別に問題なかろうと却下され、今ではあの女にある程度の行動の自由まで与えているのだ。
その怪しい行動に、小さくはあるものの隊内で不満の声が上がっている。
「何、そんなに時間は取らせない。来たまえ」
「はっ」
敬礼し、隊長の後に続く。
「入りたまえ」
「イザーク=ジュール。入ります」
隊長に促され、ソファーに腰を下ろす。暫く待機していてくれ、と一言残すと、隊長は奥の部屋へと入っていった。
その直後、部屋から争うような声が聞こえてきた。相手は……女? あのフレイとかいう女だろうか? 気にはなるが、まぁ俺にはどうでも良いことだ。
それよりも今は、隊長の話とやらが気にかかる。わざわざ自室に俺を連れてきたと言うことは、何か重要な極秘任務でもあるのだろうか?
数分後、隊長が奥の部屋から出てきた。
「待たせてすまない。話というのは……これだよ」
顔を傾け、奥の部屋を見るよう促す。俺がそちらに視線を向けると、そこにいたのは……。
「フユツキ……!?」
「……イザーク=ジュール……クルーゼ隊長! 確かに私は良い人材がいたら貸して欲しいと頼みましたが、だからと言ってこんな子供を……」
「子供じゃない! 俺だって赤を着た立派な軍人だ!お前だってそう俺と変わらない年だろうが!」
せっかく忘れかかっていたのに、その姿を見てしまったせいで再びいらだちが募る。しかも、子供扱いされれば尚のこと腹が立ち、クルーゼ隊長の前と言うことも忘れて、つい怒鳴ってしまった。
「隊長! 一体どういうことなのですか?」
俺達の反応にくすくすと笑っている隊長。一方フユツキはと言うと、もう口を利くのも馬鹿馬鹿しいと言った様子で、黙り込んでいる。
隊長は、その姿を楽しそうに見つめながら言った。
「イザーク。君にはこれより、彼女と共に極秘任務を遂行して貰う。もちろん任務完了すれば、また元の部署に配属となる」
「クルーゼ隊長! 私は認めていませんよ!!」
「認めるも認めないも、上が決めたことだ。まぁ確かにこの任務はイザークが適任ではないか、と進言したが」
「ちっ……あの爺共……」
「君だってこの任務には、本当に優秀な人材が欲しいだろう? 今私の下にいる者の中では、最高の人材だと思うのだが?」
「最高でも何でも、この若さであの任務は過酷すぎます!」
「では君は? イザークとは確か……2つ違いだったか?」
「わ、私のことなど今はどうでも良い事です!」
俺の存在を無視して、勝手に進められていく会話。何でこの女が絡むと、こうイライラすることばかり起きるのだろう。
まだ会ったのはたった2回だというのに、こんなにも心をかき乱す人物は初めてだ。
「隊長! 極秘任務とは何でありますか!」
二人の言い合いを見ていたところで、話は進まない。俺は会話に割り込んで尋ねた。
「それは彼女に聞きたまえ。私は君を彼女に紹介するよう命令を受けただけだ。後のことは全てフユツキ君に任せられている」
「しかし隊長!」
「では、私はこれで失礼するよ。暫く戻ってこないので、この部屋は自由に使ってくれてかまわんよ」
言いたいことだけを言ってさっさとその場を去っていく隊長に、呆気にとられる俺達。
「……何で俺がこんな奴と組まなきゃならないんだ!」
突然の命令に、どうしても納得がいかない。いや、命令と言うよりも、この女が関わっていると言うことが気にくわないのだ。
「お前にも不満があるようだが……私も同じだ。だが上の命令なら仕方ないだろう。さっさと済ませてこの任を解く」
「それについては俺も同意見だな」
「この任務は、軍のトップシークレットに当たる。実際の所、クルーゼ隊長にも大まかな内容しか伝えられていないだろうな」
「隊長も詳細をご存じない任務……?」
そんなにも重い任務なのか? しかもそれだけ重要な任務を俺が任された。
この女と組まなければならないのは不本意だが、それでも自分の実力を認められたと言うことは素直に嬉しかった。
「とある団体の長に当たる人物の屋敷を急襲する。行くのはお前と私の二人だけだ」
「二人だけ、だと?」
「人数が少なければ、秘密の漏れる確率も少ない。つまりはそれだけ上が重要視している任務だと言うことさ」
「襲撃してどうする」
「……全てを排除する。ザフトに徒なすモノは全て……だ」
「屋敷の中の人員構成や武器弾薬の状況などは?」
「それは心配しなくて良い。言ってしまえば前線にいるよりはよっぽど安全な仕事だ。だが……」
違和感があった。
普通何かの作戦を遂行するには、事前の調査や用意が必要だ。それと同時に、自分がこれから作戦を遂行するのだという勢いと強い意志、冷静さが必要となる。
それなのにこのフユツキにはそれらが足りないように思えた。イヤイヤというか、乗り気ではないというか……表情も曇りがちで覇気がない。
「だが……なんだ?」
「いや、いいさ。こればかりは目の当たりにしないと実感が沸かないだろうからな。覚悟しておけよ。体の傷は治っても、心の傷は治りにくい」
「はぁ?」
「つまりはそういうことさ」
こんないい加減な話があるものか。
俺はさすがに腹を立て、食ってかかろうとしたが……。
「イザーク=ジュール! 明日0200時、第三倉庫に集合の事。なお、銃とナイフは必ず携帯しておくように。以上!」
「偉そうに命令するな!!」
「私の方が先輩だからな。じゃぁな。遅れるなよ!」
「おいフユツキ!! 貴様……っ」
フユツキは小さく口の端に笑みを浮かべると、そのままさっさと部屋を出ていった。
この部屋にいるのは俺一人。
「また言いたいことを言って去って行きやがって……なんなんだ? あの女は本当に……」
悪態を付いたところで、誰かに伝わるわけでもない。
腹を立てるだけ時間の無駄だ。そう無理矢理思い直すと俺は大きく溜息をつき、隊長の部屋を出た。
思い通りに事が運ばない事へのいらだちと、仲間を一人、また一人と失っていく焦燥感。
ニコル、ラスティ、ミゲル……オロールもいない。アスランとディアッカに関しては、生きているのかどうかすら分からない状況。
あいつらの分まで、俺がやらなきゃいけない。カタキは絶対に俺がとる……!
口にはしないが、密かに心の中で誓っていた。
「イザーク!」
いつも通りに朝礼を終えて部屋を出ようとした俺は、クルーゼ隊長に呼び止められた。
「はっ! 何かご用でしょうか。隊長」
「君に話がある。これからすぐ私の部屋に来られるか?」
「私に……ですか? 構いませんが……」
俺は、隊長の能力は認めている。確かに軍人としては尊敬できる人物だ。しかしここ最近の隊長の行動にはどうも不審な点が多すぎて気になっていた。
例えば、ナチュラルのあの女。フレイとかいう女を攫ってきた上、連れ回している。
女子供とはいえ、敵なのだから監禁しておくべきではないかと進言したこともあったが、別に問題なかろうと却下され、今ではあの女にある程度の行動の自由まで与えているのだ。
その怪しい行動に、小さくはあるものの隊内で不満の声が上がっている。
「何、そんなに時間は取らせない。来たまえ」
「はっ」
敬礼し、隊長の後に続く。
「入りたまえ」
「イザーク=ジュール。入ります」
隊長に促され、ソファーに腰を下ろす。暫く待機していてくれ、と一言残すと、隊長は奥の部屋へと入っていった。
その直後、部屋から争うような声が聞こえてきた。相手は……女? あのフレイとかいう女だろうか? 気にはなるが、まぁ俺にはどうでも良いことだ。
それよりも今は、隊長の話とやらが気にかかる。わざわざ自室に俺を連れてきたと言うことは、何か重要な極秘任務でもあるのだろうか?
数分後、隊長が奥の部屋から出てきた。
「待たせてすまない。話というのは……これだよ」
顔を傾け、奥の部屋を見るよう促す。俺がそちらに視線を向けると、そこにいたのは……。
「フユツキ……!?」
「……イザーク=ジュール……クルーゼ隊長! 確かに私は良い人材がいたら貸して欲しいと頼みましたが、だからと言ってこんな子供を……」
「子供じゃない! 俺だって赤を着た立派な軍人だ!お前だってそう俺と変わらない年だろうが!」
せっかく忘れかかっていたのに、その姿を見てしまったせいで再びいらだちが募る。しかも、子供扱いされれば尚のこと腹が立ち、クルーゼ隊長の前と言うことも忘れて、つい怒鳴ってしまった。
「隊長! 一体どういうことなのですか?」
俺達の反応にくすくすと笑っている隊長。一方フユツキはと言うと、もう口を利くのも馬鹿馬鹿しいと言った様子で、黙り込んでいる。
隊長は、その姿を楽しそうに見つめながら言った。
「イザーク。君にはこれより、彼女と共に極秘任務を遂行して貰う。もちろん任務完了すれば、また元の部署に配属となる」
「クルーゼ隊長! 私は認めていませんよ!!」
「認めるも認めないも、上が決めたことだ。まぁ確かにこの任務はイザークが適任ではないか、と進言したが」
「ちっ……あの爺共……」
「君だってこの任務には、本当に優秀な人材が欲しいだろう? 今私の下にいる者の中では、最高の人材だと思うのだが?」
「最高でも何でも、この若さであの任務は過酷すぎます!」
「では君は? イザークとは確か……2つ違いだったか?」
「わ、私のことなど今はどうでも良い事です!」
俺の存在を無視して、勝手に進められていく会話。何でこの女が絡むと、こうイライラすることばかり起きるのだろう。
まだ会ったのはたった2回だというのに、こんなにも心をかき乱す人物は初めてだ。
「隊長! 極秘任務とは何でありますか!」
二人の言い合いを見ていたところで、話は進まない。俺は会話に割り込んで尋ねた。
「それは彼女に聞きたまえ。私は君を彼女に紹介するよう命令を受けただけだ。後のことは全てフユツキ君に任せられている」
「しかし隊長!」
「では、私はこれで失礼するよ。暫く戻ってこないので、この部屋は自由に使ってくれてかまわんよ」
言いたいことだけを言ってさっさとその場を去っていく隊長に、呆気にとられる俺達。
「……何で俺がこんな奴と組まなきゃならないんだ!」
突然の命令に、どうしても納得がいかない。いや、命令と言うよりも、この女が関わっていると言うことが気にくわないのだ。
「お前にも不満があるようだが……私も同じだ。だが上の命令なら仕方ないだろう。さっさと済ませてこの任を解く」
「それについては俺も同意見だな」
「この任務は、軍のトップシークレットに当たる。実際の所、クルーゼ隊長にも大まかな内容しか伝えられていないだろうな」
「隊長も詳細をご存じない任務……?」
そんなにも重い任務なのか? しかもそれだけ重要な任務を俺が任された。
この女と組まなければならないのは不本意だが、それでも自分の実力を認められたと言うことは素直に嬉しかった。
「とある団体の長に当たる人物の屋敷を急襲する。行くのはお前と私の二人だけだ」
「二人だけ、だと?」
「人数が少なければ、秘密の漏れる確率も少ない。つまりはそれだけ上が重要視している任務だと言うことさ」
「襲撃してどうする」
「……全てを排除する。ザフトに徒なすモノは全て……だ」
「屋敷の中の人員構成や武器弾薬の状況などは?」
「それは心配しなくて良い。言ってしまえば前線にいるよりはよっぽど安全な仕事だ。だが……」
違和感があった。
普通何かの作戦を遂行するには、事前の調査や用意が必要だ。それと同時に、自分がこれから作戦を遂行するのだという勢いと強い意志、冷静さが必要となる。
それなのにこのフユツキにはそれらが足りないように思えた。イヤイヤというか、乗り気ではないというか……表情も曇りがちで覇気がない。
「だが……なんだ?」
「いや、いいさ。こればかりは目の当たりにしないと実感が沸かないだろうからな。覚悟しておけよ。体の傷は治っても、心の傷は治りにくい」
「はぁ?」
「つまりはそういうことさ」
こんないい加減な話があるものか。
俺はさすがに腹を立て、食ってかかろうとしたが……。
「イザーク=ジュール! 明日0200時、第三倉庫に集合の事。なお、銃とナイフは必ず携帯しておくように。以上!」
「偉そうに命令するな!!」
「私の方が先輩だからな。じゃぁな。遅れるなよ!」
「おいフユツキ!! 貴様……っ」
フユツキは小さく口の端に笑みを浮かべると、そのままさっさと部屋を出ていった。
この部屋にいるのは俺一人。
「また言いたいことを言って去って行きやがって……なんなんだ? あの女は本当に……」
悪態を付いたところで、誰かに伝わるわけでもない。
腹を立てるだけ時間の無駄だ。そう無理矢理思い直すと俺は大きく溜息をつき、隊長の部屋を出た。
