この想いは罪ですか?(キラ)
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「そう言えば」
ひとしきり泣いた後、私は不意に思い出した疑問を投げかけた。
「私をここまで運んでくれたのって、誰なの?」
「僕ですよ。声をかけてみたんですけど、全然目覚めそうになかったから」
「キラが!?……お、重くなかった? 私ってば見かけ以上に重かったりしちゃうから……」
「僕も『お・と・こ』ですからね。大丈夫でしたよ」
「……ひょっとして、先日食堂でミリアリアとからかった事、根に持ってたりする?」
「い~え~、全然」
「嘘つくな~~っ!!」
嬉しくて、楽しくて。こんな普通の会話ですら幸せを感じられる。
キラに抱き上げられ、運ばれたのは夢だと思っていたのだが、現実の物だったと言う事がますます喜びをかき立てる。
意識の無い時ではあったけれど、キラの腕の中にいられた。それを考えると、思わず口元がほころぶ。
「何笑ってるんですか。サラ」
「え~、何でもないよ」
「そんな風には見えないんですけど」
「何でもないない! そんな事より、そろそろ戻らなくて大丈夫なの? ずっと私に付いていてくれたんでしょ。また少尉に怒られちゃうわよ?」
照れ隠しもあって、私は慌ててベッドから下りて部屋からの移動を促した。ところが……。
「……あれ……?」
意識がふわりとしてしまう。
どうやらまだ疲労は回復していなかったらしい。足に力が入らず、頽れそうになった私をキラは慌てて受け止めてくれた。
倒れ込んだ腕の中は、私の想像とは裏腹にがっしりとしていて。
「あ……と、ごめん、キラ! 私ってば躓いちゃっ……!!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら立ち上がろうとした私を、突然キラが抱きしめた。驚きのあまり二の句が繋げなくなる。
「キ……ラ……??」
息が詰まるかと思う程の強い包容。一体何が起こっているのか分からず、私はただ抱きしめられるがままになっていた。
「キラ、苦しいよ……どうしたの? 一体……」
「恐かった……」
「え……??」
恐い。そう言ったキラの声は泣きそうだった。
「そりゃ恐かったよね。アークエンジェルの中の私も恐くて仕様が無かったもの。直接戦ってるキラの恐怖は半端じゃないと思うよ」
「違う……」
「違う?」
「倒れていたサラを見た時、心臓が止まるかと思った……このブロックへの攻撃があったと聞いた時も恐かったけれど、サラが目に入った瞬間の方が恐くて……」
「それって私が死んだかと思ったって事?」
「だって全然動かなかったから……」
キラの体が震えているのが分かる。
誰かを失う悲しみや苦しみ。戦争に関わっている以上、切り離すことの出来ないその現実が、キラを臆病にさせていた。
「大丈夫だよ。ほら、私はここにこうして生きてるじゃない。今のも能力を使いすぎてちょっと疲れてただけだから。もう大丈夫だから。ね?」
「……」
「キラ……」
窘めようとしても、抱きしめる腕の力を緩めようとはしないキラ。
「もうあんな無茶はしないで下さい」
「分かったよ。大丈夫だから。ね?」
「約束してくれますか?」
「約束する!」
「ずっと僕の側にいて下さいね」
「うん!……え?」
信じられない言葉が聞こえて、思わず聞き返す。一瞬聞き間違えたかと思われたその言葉は、キラの温もりと共にゆっくりと私の中に染み込んできた。
まさか……。
「キラ……それって……」
「好きです。サラ」
「……っ!!」
ドクンッ! と心臓が跳ね上がった。
今度こそ本当に聞き間違えた? 私の願望が、空耳となって聞こえただけ?
「いきなりこんな事を言っても信じてもらえないかもしれないけど……ずっと気になってたんです。戦いの最中にもサラが浮かんできて、その度に勇気づけられた。サラの存在が、僕に力をくれるんです。サラを守りたい。その気持ちが僕を強くしてくれた」
「……同じだ……」
空耳なんかじゃなかった。しかも、キラは私と同じ思いを抱いてくれている。
驚きがそのまま言葉になった。
「私も……私もずっとキラのことが気になってたの。今回能力を使ったのも、少しでもキラの力になりたかったから。キラのために何かをしたかったから。だから……」
「サラ……」
不意にキラの腕の力が緩む。
そっと肩を押され、二人の顔が向き合う形になって最初に見たキラの表情は、とても驚いているように見えた。
多分それは、私が気持ちを伝えたから。
きっと彼も私と同じで、こんな想いを抱いていたのは自分だけだと思っていたのだろう。
でもこうしてお互いの気持ちを確かめた今。次に浮かんでくるのは……笑顔。
「良かった……いきなりの告白だったから、嫌われるんじゃないかとびくびくしてたんですよ」
「嫌うだなんて、そんなこと絶対ない! 嬉しかったよ」
「でも、泣かせちゃったなぁ」
「え?」
「涙」
そう言いながら、キラの指が私に触れる。そのまま頬をなぞったキラの指は、明らかに濡れていた。
「やだ。私……」
「サラは泣き虫なんですね」
「ふ~んだ。どうせ泣き虫ですよ~。喜怒哀楽がはっきりし過ぎて自分でも困ってるもん」
「そこがまた良いんじゃないかな」
「……っ!」
さらりと言われて、思わず照れてしまう。
「もう、からかわないでよ!」
「からかってなんかいないですよ。本当にそう思ったんだから」
にっこりと笑うキラに、私は降参するしかなかった。
ちょっといたずらっ子のような表情を見せているキラ。初めて見るその顔は新鮮で、ますます私の心の中のキラという存在が大きくなる。
「キラ……」
名前を呼んだ。
キラが、その意味に気付いてくれる。
「サラ……」
キラが、私の名前を呼んでくれる。
そしてそっと私を引き寄せると……。
私達の影は、重なった。
ひとしきり泣いた後、私は不意に思い出した疑問を投げかけた。
「私をここまで運んでくれたのって、誰なの?」
「僕ですよ。声をかけてみたんですけど、全然目覚めそうになかったから」
「キラが!?……お、重くなかった? 私ってば見かけ以上に重かったりしちゃうから……」
「僕も『お・と・こ』ですからね。大丈夫でしたよ」
「……ひょっとして、先日食堂でミリアリアとからかった事、根に持ってたりする?」
「い~え~、全然」
「嘘つくな~~っ!!」
嬉しくて、楽しくて。こんな普通の会話ですら幸せを感じられる。
キラに抱き上げられ、運ばれたのは夢だと思っていたのだが、現実の物だったと言う事がますます喜びをかき立てる。
意識の無い時ではあったけれど、キラの腕の中にいられた。それを考えると、思わず口元がほころぶ。
「何笑ってるんですか。サラ」
「え~、何でもないよ」
「そんな風には見えないんですけど」
「何でもないない! そんな事より、そろそろ戻らなくて大丈夫なの? ずっと私に付いていてくれたんでしょ。また少尉に怒られちゃうわよ?」
照れ隠しもあって、私は慌ててベッドから下りて部屋からの移動を促した。ところが……。
「……あれ……?」
意識がふわりとしてしまう。
どうやらまだ疲労は回復していなかったらしい。足に力が入らず、頽れそうになった私をキラは慌てて受け止めてくれた。
倒れ込んだ腕の中は、私の想像とは裏腹にがっしりとしていて。
「あ……と、ごめん、キラ! 私ってば躓いちゃっ……!!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら立ち上がろうとした私を、突然キラが抱きしめた。驚きのあまり二の句が繋げなくなる。
「キ……ラ……??」
息が詰まるかと思う程の強い包容。一体何が起こっているのか分からず、私はただ抱きしめられるがままになっていた。
「キラ、苦しいよ……どうしたの? 一体……」
「恐かった……」
「え……??」
恐い。そう言ったキラの声は泣きそうだった。
「そりゃ恐かったよね。アークエンジェルの中の私も恐くて仕様が無かったもの。直接戦ってるキラの恐怖は半端じゃないと思うよ」
「違う……」
「違う?」
「倒れていたサラを見た時、心臓が止まるかと思った……このブロックへの攻撃があったと聞いた時も恐かったけれど、サラが目に入った瞬間の方が恐くて……」
「それって私が死んだかと思ったって事?」
「だって全然動かなかったから……」
キラの体が震えているのが分かる。
誰かを失う悲しみや苦しみ。戦争に関わっている以上、切り離すことの出来ないその現実が、キラを臆病にさせていた。
「大丈夫だよ。ほら、私はここにこうして生きてるじゃない。今のも能力を使いすぎてちょっと疲れてただけだから。もう大丈夫だから。ね?」
「……」
「キラ……」
窘めようとしても、抱きしめる腕の力を緩めようとはしないキラ。
「もうあんな無茶はしないで下さい」
「分かったよ。大丈夫だから。ね?」
「約束してくれますか?」
「約束する!」
「ずっと僕の側にいて下さいね」
「うん!……え?」
信じられない言葉が聞こえて、思わず聞き返す。一瞬聞き間違えたかと思われたその言葉は、キラの温もりと共にゆっくりと私の中に染み込んできた。
まさか……。
「キラ……それって……」
「好きです。サラ」
「……っ!!」
ドクンッ! と心臓が跳ね上がった。
今度こそ本当に聞き間違えた? 私の願望が、空耳となって聞こえただけ?
「いきなりこんな事を言っても信じてもらえないかもしれないけど……ずっと気になってたんです。戦いの最中にもサラが浮かんできて、その度に勇気づけられた。サラの存在が、僕に力をくれるんです。サラを守りたい。その気持ちが僕を強くしてくれた」
「……同じだ……」
空耳なんかじゃなかった。しかも、キラは私と同じ思いを抱いてくれている。
驚きがそのまま言葉になった。
「私も……私もずっとキラのことが気になってたの。今回能力を使ったのも、少しでもキラの力になりたかったから。キラのために何かをしたかったから。だから……」
「サラ……」
不意にキラの腕の力が緩む。
そっと肩を押され、二人の顔が向き合う形になって最初に見たキラの表情は、とても驚いているように見えた。
多分それは、私が気持ちを伝えたから。
きっと彼も私と同じで、こんな想いを抱いていたのは自分だけだと思っていたのだろう。
でもこうしてお互いの気持ちを確かめた今。次に浮かんでくるのは……笑顔。
「良かった……いきなりの告白だったから、嫌われるんじゃないかとびくびくしてたんですよ」
「嫌うだなんて、そんなこと絶対ない! 嬉しかったよ」
「でも、泣かせちゃったなぁ」
「え?」
「涙」
そう言いながら、キラの指が私に触れる。そのまま頬をなぞったキラの指は、明らかに濡れていた。
「やだ。私……」
「サラは泣き虫なんですね」
「ふ~んだ。どうせ泣き虫ですよ~。喜怒哀楽がはっきりし過ぎて自分でも困ってるもん」
「そこがまた良いんじゃないかな」
「……っ!」
さらりと言われて、思わず照れてしまう。
「もう、からかわないでよ!」
「からかってなんかいないですよ。本当にそう思ったんだから」
にっこりと笑うキラに、私は降参するしかなかった。
ちょっといたずらっ子のような表情を見せているキラ。初めて見るその顔は新鮮で、ますます私の心の中のキラという存在が大きくなる。
「キラ……」
名前を呼んだ。
キラが、その意味に気付いてくれる。
「サラ……」
キラが、私の名前を呼んでくれる。
そしてそっと私を引き寄せると……。
私達の影は、重なった。