この想いは罪ですか?(キラ)
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気が付けば、辺りはもう静かになっていた。
私が触れた人達は、どうやら皆自室へと戻っていったらしい。能力の制御はしておいたから、ただ興奮状態から冷めただけであるはずだが、それでも功を奏したようで。大きな問題が起きる事もなく、外の戦闘も終了していた。
それがはっきりと分かった途端、眩暈に襲われる。
さすがに一度に張り切りすぎたな……と思った時には体の自由が利かなくて。そのまま廊下にへたりこんでしまった。
「疲れた……」
体が動かない。
「今はこんな事しか出来ないけど、少しはキラ達の助けになれたかなぁ?」
瞼が、重い。
「キラ……無事で帰ってきてね……」
意識が遠のく。
「少し……休む……」
目の前が真っ暗になった。
どこからか、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。
体が疲れ切っていて、目を開けることすら辛い。妙な浮遊感が無ければ、無理矢理こじ開けることなどしなかっただろう。不思議と温かくて心地良い感覚の理由が気になって、私はうっすらと目を開けた。
「何……?」
ぼんやりとしていてよく見えない。
でも、周りの景色が揺れているのは分かった。
「私……?」
「サラ……大丈夫?」
「ん……誰……?」
名前を呼ばれたものの、その声が誰の物なのかがはっきりしない。もう、目も開けられない。
「本当に無茶な人ですね。でも……」
「……」
何だか失礼な事を言われている気がする。でも、反論する元気もない。
そのまま私は深い眠りに就いていた。
とても幸せな温もりに包まれながら。
ガタガタガタッ頭の上で音がする。
「ん……」
――何の音? 目覚ましの音にしては聞き覚えがないんだけど……。
ガササッ
今度は枕の上にそれが乗ってきたらしい。何か固い物が、シーツと擦れたような音。
「もう……うるさいなぁ……何なのよ~。せっかくキラに……」
「僕に、何?」
「ほえ!?」
突然聞こえた声に驚き、思わず奇声を上げてしまう。低血圧のはずだった私の体が俊敏に起きあがれてしまう程の驚き。
「キ……キキキキラ……!?!?」
「はい?」
「何でここに……!? ってあれ? 何で私、ベッドで寝てるの!?」
「トリィ」
「っひゃぁっ! 何か肩に乗った!? ぅえ!? 鳥?」
完全に泡を食ってしまっている私を見て、キラがくすくすと笑っている。
よっぽど私はまぬけな慌てぶりをご披露してしまったのだろう。笑い声に我を取り戻し、あまりの恥ずかしさに頭のてっぺんまでシーツを引き上げる。
「一体なんなのよ~~」
半泣き状態で怒る私に、キラは相変わらず笑いながら答えてくれた。
「僕がアークエンジェルに戻ってきたら、こっちのブロックに着弾があったと聞いて慌てて来たんです。そしたら中は幸いなことに何ともなかったんだけど、サラが廊下に倒れてたんですよ。周りの人から、聖がこのブロックの騒動を鎮めてくれたんだって聞いて……」
「あぁそっか。私、疲れ切って眠っちゃったんだっけ」
「このブロックの居住者は相当の人数だってのに、無茶するなぁ。」
「だって……私にはそれしか出来ないんだもの」
私は臆病者だから、キラやミリアリアのように前線に立つ事は出来ない。出た所で足を引っ張るだけだと言う事が分かっているから。
かと言って、もう二度と『あんな戦い方』はしたくない。
私は誰かを傷つけるのではなく、誰かを救う手助けがしたかった。
「私はキラみたいに皆を守ることが出来ないから……」
「十分守ってるじゃないですか。あんなにたくさんの人達を」
「ううん、私は安全……って言うのも変な話だけど、まだ危険の少ない所で守られてるだけだわ」
「そんな事ないですよ。サラのお陰でこのブロックの人達はかすり傷一つ追っていない。知ってますか? 他のブロックではパニック状態になった人たちが大勢怪我をしているんですよ」
「……怪我人……出てたんだ……」
「サラがいなかったら、もっと大変な事になっていたかもしれない。皆感謝してましたよ。最悪の状態に陥らなかったのは、サラがいてくれたお陰だって」
「……ほんと……?」
私はそっとシーツから顔を出しながら尋ねた。
キラの顔が視界に入る。
「嘘なんかついてないですよ。本当です」
「ほんとにほんと?」
「はい」
「私……役に立ててる?」
「皆そう言ってましたよ。」
「キラも……?」
キラはどう思ってるの? 私はキラの役に立ててる?
その事が気になって仕方ない。伺うように見つめる私に向かって、キラは微笑んだ。
「僕もそう思ってますよ」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れ出てきた。慌てて腕で顔を隠そうとするが、しっかりとキラにはそれが見えてしまったようで。
「サラ?」
心配そうに声をかけてくる。
「ごめん……嬉しくて……」
そう、これは嬉し涙。
自分の能力が、人の為に使うことの出来る物なのだと初めて実感出来たから。ここでなら、この能力を『あんな事』に使わなくて済むから。もう『あんな思い』をする事はない。
「ねぇ、キラ。これからも一緒に戦おうね。大切な人達を守るために。それぞれの場所で」
「……そうですね。」
泣きながら笑っている私に戸惑いながらも、キラは答えてくれた。
それがまた嬉しくて。頬を伝わる涙は、まだ暫く止まりそうになかった。
私が触れた人達は、どうやら皆自室へと戻っていったらしい。能力の制御はしておいたから、ただ興奮状態から冷めただけであるはずだが、それでも功を奏したようで。大きな問題が起きる事もなく、外の戦闘も終了していた。
それがはっきりと分かった途端、眩暈に襲われる。
さすがに一度に張り切りすぎたな……と思った時には体の自由が利かなくて。そのまま廊下にへたりこんでしまった。
「疲れた……」
体が動かない。
「今はこんな事しか出来ないけど、少しはキラ達の助けになれたかなぁ?」
瞼が、重い。
「キラ……無事で帰ってきてね……」
意識が遠のく。
「少し……休む……」
目の前が真っ暗になった。
どこからか、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。
体が疲れ切っていて、目を開けることすら辛い。妙な浮遊感が無ければ、無理矢理こじ開けることなどしなかっただろう。不思議と温かくて心地良い感覚の理由が気になって、私はうっすらと目を開けた。
「何……?」
ぼんやりとしていてよく見えない。
でも、周りの景色が揺れているのは分かった。
「私……?」
「サラ……大丈夫?」
「ん……誰……?」
名前を呼ばれたものの、その声が誰の物なのかがはっきりしない。もう、目も開けられない。
「本当に無茶な人ですね。でも……」
「……」
何だか失礼な事を言われている気がする。でも、反論する元気もない。
そのまま私は深い眠りに就いていた。
とても幸せな温もりに包まれながら。
ガタガタガタッ頭の上で音がする。
「ん……」
――何の音? 目覚ましの音にしては聞き覚えがないんだけど……。
ガササッ
今度は枕の上にそれが乗ってきたらしい。何か固い物が、シーツと擦れたような音。
「もう……うるさいなぁ……何なのよ~。せっかくキラに……」
「僕に、何?」
「ほえ!?」
突然聞こえた声に驚き、思わず奇声を上げてしまう。低血圧のはずだった私の体が俊敏に起きあがれてしまう程の驚き。
「キ……キキキキラ……!?!?」
「はい?」
「何でここに……!? ってあれ? 何で私、ベッドで寝てるの!?」
「トリィ」
「っひゃぁっ! 何か肩に乗った!? ぅえ!? 鳥?」
完全に泡を食ってしまっている私を見て、キラがくすくすと笑っている。
よっぽど私はまぬけな慌てぶりをご披露してしまったのだろう。笑い声に我を取り戻し、あまりの恥ずかしさに頭のてっぺんまでシーツを引き上げる。
「一体なんなのよ~~」
半泣き状態で怒る私に、キラは相変わらず笑いながら答えてくれた。
「僕がアークエンジェルに戻ってきたら、こっちのブロックに着弾があったと聞いて慌てて来たんです。そしたら中は幸いなことに何ともなかったんだけど、サラが廊下に倒れてたんですよ。周りの人から、聖がこのブロックの騒動を鎮めてくれたんだって聞いて……」
「あぁそっか。私、疲れ切って眠っちゃったんだっけ」
「このブロックの居住者は相当の人数だってのに、無茶するなぁ。」
「だって……私にはそれしか出来ないんだもの」
私は臆病者だから、キラやミリアリアのように前線に立つ事は出来ない。出た所で足を引っ張るだけだと言う事が分かっているから。
かと言って、もう二度と『あんな戦い方』はしたくない。
私は誰かを傷つけるのではなく、誰かを救う手助けがしたかった。
「私はキラみたいに皆を守ることが出来ないから……」
「十分守ってるじゃないですか。あんなにたくさんの人達を」
「ううん、私は安全……って言うのも変な話だけど、まだ危険の少ない所で守られてるだけだわ」
「そんな事ないですよ。サラのお陰でこのブロックの人達はかすり傷一つ追っていない。知ってますか? 他のブロックではパニック状態になった人たちが大勢怪我をしているんですよ」
「……怪我人……出てたんだ……」
「サラがいなかったら、もっと大変な事になっていたかもしれない。皆感謝してましたよ。最悪の状態に陥らなかったのは、サラがいてくれたお陰だって」
「……ほんと……?」
私はそっとシーツから顔を出しながら尋ねた。
キラの顔が視界に入る。
「嘘なんかついてないですよ。本当です」
「ほんとにほんと?」
「はい」
「私……役に立ててる?」
「皆そう言ってましたよ。」
「キラも……?」
キラはどう思ってるの? 私はキラの役に立ててる?
その事が気になって仕方ない。伺うように見つめる私に向かって、キラは微笑んだ。
「僕もそう思ってますよ」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れ出てきた。慌てて腕で顔を隠そうとするが、しっかりとキラにはそれが見えてしまったようで。
「サラ?」
心配そうに声をかけてくる。
「ごめん……嬉しくて……」
そう、これは嬉し涙。
自分の能力が、人の為に使うことの出来る物なのだと初めて実感出来たから。ここでなら、この能力を『あんな事』に使わなくて済むから。もう『あんな思い』をする事はない。
「ねぇ、キラ。これからも一緒に戦おうね。大切な人達を守るために。それぞれの場所で」
「……そうですね。」
泣きながら笑っている私に戸惑いながらも、キラは答えてくれた。
それがまた嬉しくて。頬を伝わる涙は、まだ暫く止まりそうになかった。